チリという国名から、AI検索の話がすぐに浮かぶ方は多くないと思います。人口は約1,990万人。市場としては中規模で、検索エンジンのシェアも南米の平均から大きくは外れません。
それでもこの国を1本の記事にしたのは、制度のほうが先に動いているからです。国家のAI政策は改定を重ねました。個人データを扱うルールも、大きく書き換わりました。市場の大きさだけで優先順位を決めていると、この動きを取りこぼします。
この記事では、チリについて一次情報で確認できたことだけを並べます。検索エンジンのシェア、AIサービスの使われ方、ニュースの読まれ方、政策と法律。そして同じくらい大事な、まだ確認できていないことも、そのまま書きます。
海外市場の記事は、言い切ったほうが読みやすくなります。それでも、確認できていないことを断定に見せる書き方は避けました。投資判断の材料として読んでいただくためです。
こんなふうに調べていませんか
- 「チリ AI検索 対策」で検索して、市場の実態を知りたいと思っている
- 中南米向けのデジタル投資を検討していて、判断材料になる数字を探している
- 現地の個人データ保護法やAI政策が、いまどこまで進んだのかを確かめたい
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- チリの検索市場がどれだけGoogleに寄っているかを、数字で説明できるようになります
- 現地でのAIサービスの使われ方について、確認できている範囲が分かります
- 日本企業として先に確認しておくことが、3つに絞れます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- チリの検索市場は、Googleが90.18%を占めます。南米地域計の90.94%とほぼ同じで、特異な市場ではありません(2026年6月・Statcounter)。
- この国の特徴は、シェアではなく制度の更新の速さです。国家AI政策は改定版が出ており、データ保護法制も抜本改正を迎えました。
- 一方で、チリ企業のAIO対応事例は、一次情報でまだ確認できていません。この記事では、確認できたことと、できていないことを分けて書きます。
この記事では、ある会社のマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。あなたに近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01チリの検索市場は、AI検索対策の前提としてどうなっているんですか?
若葉さん中南米って、検索エンジンの使われ方も日本とは違うんでしょうか。国が変われば、また別の勢力図があるのかなと思っていて。
鈴木さんそれが、チリに関してはあまり変わらないんですよ。数字で見ると、むしろ「ふつう」です。特徴は別のところにあります。
チリの検索エンジン市場は、Googleが大きく優位に立っています。2位のBingとの差は開いていて、それ以外のサービスはいずれも3%未満です。
| 検索エンジン | シェア |
|---|---|
| 90.18% | |
| Bing | 7.02% |
| Yahoo! | 2.09% |
| DuckDuckGo | 0.34% |
| Yandex | 0.24% |
| Ecosia | 0.09% |
出典: Statcounter Global Stats(全デバイス合算・2026年6月)
表で並べるより、棒の長さで見たほうが早いかもしれません。1本が大きく伸びていて、残りは短いという形です。ただし2位のBingは、南米の他の市場より少し目立つ位置にいます。
この章のまとめ
チリの検索市場は、Googleが90.18%。2位のBingが7.02%で、それ以外は3%未満です(2026年6月・Statcounter)。
02Googleが9割という数字は、チリのAI検索対策にどう効くんですか?
高梨課長数字は分かりました。ただ、その数字がうちの打ち手をどう変えるのかが知りたいんです。シェアが高いから何なんだ、という話でして。
鈴木さんおっしゃるとおりです。シェアは、読み替えてはじめて判断材料になります。チリの場合、読み替え方は3つあります。
シェアの数字そのものが施策になるわけではありません。自社の打ち手に翻訳して、はじめて使えます。
入口がほぼ1つに寄っているというのが、まず押さえる点です。複数の検索エンジンに分散して手当てをするより、Google側での見え方を先に確かめるほうが優先されます。
次に、南米地域計の90.94%とほぼ同水準だという点です。チリだけ別の設計を用意する理由は、シェアの面からは見つかりません。地域全体の見取り図は、別記事『北米・南米のAI検索動向|Googleシェアと規制の3類型』で総覧しています。
3つ目は、この「ふつうさ」自体が判断材料になるということです。中南米の中で、際立った特異性を持たない標準的なGoogle優位市場だと分かれば、地域向けに作った型をそのまま持ち込めます。市場ごとに作り分ける工数を、制度対応のほうへ回せます。
この章のまとめ
90.18%という数字は、「入口がほぼ1つに寄っている、地域の平均どおりの市場だ」と読み替えると使えます。分散対応より、まずGoogle側の見え方が起点になります。
03このシェアの数字は、AI検索最適化の判断材料としてどこまで信じていいんですか?
数字を出したので、その数字の限界もあわせて書いておきます。ここを飛ばすと、社内での判断を誤ります。
本稿のシェア数値は、Statcounter単独の実測にもとづいています。チリ政府による独自の市場調査データとの突合は、本稿執筆時点で確認できていません。
Statcounterは、加盟サイト群のページビューをタグで計測する方式です。どのサイトが加盟しているかによって、数字が振れる余地があります。サイト構成の偏りに由来する誤差が生じうる点には、留意してください。
この章のまとめ
シェアの数字はStatcounter単独に依拠しています。政府調査との突合は未確認で、計測方式に由来する誤差もありえます。
04チリでAI検索は、どのサービスがどれくらい使われているんですか?
若葉さん検索エンジンは分かりました。AIのほうはどうなんでしょう。日本と同じような顔ぶれなんでしょうか。
鈴木さんそこも実測値があります。ChatGPTが大きく先行しているという形で、顔ぶれ自体は見慣れたものですよ。
チリのAIチャットボット市場では、ChatGPTが最も大きな割合を占めています。
| サービス | シェア |
|---|---|
| ChatGPT | 71.52% |
| Google Gemini | 15.02% |
| Perplexity | 5.01% |
| Claude | 4.52% |
| Microsoft Copilot | 3.93% |
出典: Statcounter Global Stats(AIチャットボット市場シェア・2026年6月)
検索エンジンと同じく、ここでも1つのサービスが大きく先行しています。ただし2番手以降の顔ぶれは、検索エンジンのときとは変わります。AI検索対策を考えるときは、検索エンジンの勢力図とAIサービスの勢力図を、別々に見る必要があります。
この章のまとめ
チリのAIチャットボット市場では、ChatGPTが71.52%。次いでGoogle Gemini、Perplexity、Claude、Microsoft Copilotと続きます(2026年6月・Statcounter)。
05ニュースの読まれ方は、チリのAI検索対策に何を教えてくれるんですか?
シェアの次に見ておきたいのが、情報がどう受け取られているかです。ここはReuters Institute Digital News Report 2026(2026年6月16日公開)で確認できます。
チリのインターネット普及率は96%です。ニュース全般への信頼度は34%で、世界平均37%をやや下回り、前年比2ポイント低下しました。
あわせて、ニュースを時々または頻繁に回避する人の割合は45%、オンラインニュースの有料購読率は10%と報告されています。
数字を並べただけでは使えないので、実務の言葉に置き換えます。信頼度が世界平均を下回り、回避する人も少なくない市場では、情報の出どころをはっきり示すことの重みが増します。有料購読率が高くない点も、無料で読める情報の質がそのまま影響することを示しています。
ただし、これは「信頼度が低いから出典が効く」という因果が検証された話ではありません。市場の性質から導ける、方針の立て方だと受け取ってください。
この章のまとめ
ニュースへの信頼度は34%で、世界平均を下回ります。出典の明示と、無料で読める情報の質が効きやすい市場だと読めます。
06チリ企業のAI対策の事例は、見つかっているんですか?
高梨課長現地企業の成功事例はありますか。他社がどうしているかは、社内を通すときに必ず聞かれるところでして。
鈴木さん正直に申し上げます。チリ発のAIO対応事例を裏づける公開情報は、本稿執筆時点でまだ見当たりません。無いとも言えませんが、確認できたとは言えない状態です。
チリ発のAIO対応事例を裏づける公開情報は、本稿執筆時点でまだ見当たりません。確認できるのは、政府主導のAI国家政策の整備状況までです。
事例が見つからないことを、「まだ誰もやっていない」と読み替えないでください。公開情報として出ていないというだけの可能性もあります。この段階で言えるのは、他社事例を待つより、自社でデータを取りにいくほうが早いということです。
同じ構図は、南米の他の市場でも見られます。ブラジルの状況は別記事『ブラジルのAI検索対策|法制度が先に整った市場で確かめる3つのこと』、メキシコの状況は別記事『メキシコのAI検索対策|投資は活発・情報は薄い市場の3つの論点』で扱っています。
この章のまとめ
現地企業のAIO対応事例は、一次情報で確認できていません。確認できるのは、政府側の政策と法制度の側だけです。
07チリの国家AI政策は、AI検索対策の判断材料になりますか?
事例が見えない一方で、政府側の動きは日付まで追えます。ここがチリという市場のいちばんの特徴です。
チリ科学技術知識革新省は2024年5月、2021年策定の国家AI政策の改定版を発表しました(出典: Cooperativa.cl報道、アイセン・エッチェベリ大臣)。正式名称はPolítica Nacional de Inteligencia Artificialです。
改定版は、100以上の具体的な施策を2026年までに実行する計画です。国際連携、環境と気候危機、インクルージョンと非差別、児童と青少年、文化と文化遺産保護という5つの副軸が新たに加わりました。
ユネスコのオードレイ・アズレイ事務局長は、チリをラテンアメリカで初めて評価プロセスを完了した国と評価したと報じられています。同事務局長は、それを具体的な行動に反映させた点も評価したとされています(出典: Cooperativa.cl)。
副軸に並んだ言葉は、そのまま自社の情報発信の点検項目にもなります。非差別や透明性を掲げる市場に向けて、根拠のない表現や出どころ不明の数字を出さない。AI検索対策としてやることと、政策が求めることの向きは、ここでは揃っています。
この章のまとめ
国家AI政策は初版から改定版へ更新され、2026年までに100以上の施策を実行する計画です。政策の言葉は、自社の発信の点検項目にも使えます。
08データ保護法の改正は、チリのAI検索最適化にどう関わりますか?
チリのデータ保護法制は、2024年に大きな転換点を迎えました。従来の個人データ保護法(Ley19.628)を、Ley21.719が抜本的に改正します。
| 制度 | 時期 | 概要 |
|---|---|---|
| 旧個人データ保護法(Ley19.628) | 従来法 | Ley21.719により抜本改正される対象 |
| Ley21.719(新データ保護法) | 2024年12月13日官報公布 | データ保護庁(Agencia de Protección de Datos Personales)を新設、ARCO権を強化 |
| 国家AI政策改定版 | 2024年5月発表 | 2026年までに100以上の施策を実行する計画 |
出典: Carey Abogados法律事務所解説/チリ科学技術知識革新省(Cooperativa.cl報道)
改正の中身で目を引くのは、データ保護庁(Agencia de Protección de Datos Personales)が新設される点です。あわせて、本人が自分のデータに関与するためのARCO権も強化されます。
窓口が新しくできるということは、問い合わせ先と判断の基準が寄っていくということでもあります。チリ向けにユーザーデータを扱う予定があるなら、社内のどの部署が受け皿になるかを先に決めておくと動きやすくなります。
この章のまとめ
Ley21.719は、データ保護庁の新設とARCO権の強化を含む抜本改正です。従来の個人データ保護法(Ley19.628)を置き換える形で進みます。
09Ley21.719の施行までに、チリ向けのAI検索対策は何を合わせるんですか?
Ley21.719は、公布から24ヶ月後の完全施行が計画されています(出典: Carey Abogados)。その間に、関連規則の制定が6ヶ月以内、データベースの整理が20ヶ月以内という形で、段階的に準備が進みます。
大事なのは、完全施行を待つ設計になっていないという点です。規則の制定もデータベースの整理も、施行前に区切りが置かれています。チリ向けにユーザーデータを扱う予定があるなら、逆算して自社の段取りを引くほうが安全です。
なお、AI専用の包括的な法律は、本稿執筆時点でチリにまだ制定されていません。データ保護法制の抜本改正と、改定を重ねた国家AI政策。この2つの動きが、いまの規制環境の土台を形づくっています。
この章のまとめ
Ley21.719は公布から24ヶ月後の完全施行に向け、途中に区切りが置かれています。AI専用の包括法は、本稿執筆時点では確認できていません。
10制度が速く動く市場で、LLMO対策は何を優先するんですか?
高梨課長制度が動くのは分かりました。ただ、うちに専任はいません。誰がこれを追い続けるんでしょうか。
鈴木さん全部を追う必要はありません。確定したことと、まだ確定していないことを分けて置いておく。それだけで、追いかける量はかなり減りますよ。
制度の更新が速い市場では、情報の鮮度そのものがリスクになります。半年前の理解のまま社内資料が回ると、判断がずれていきます。
やることは、大きく2つに分かれます。1つは、確定した事実だけで社内資料を作ること。もう1つは、未確認のものにその旨の注記の印を付けたまま残すことです。印を消してしまうと、次に読んだ人が確定事実として扱ってしまいます。
この考え方は、チリに限った話ではありません。AI検索に情報源として選ばれる書き方そのものが、出どころのはっきりした文を求めています。基礎の整理は、別記事『AIOとは?AI検索に選ばれる会社がやっている3つのこと【図解でわかる入門】』をご覧ください。
この章のまとめ
制度が速く動く市場では、確定・報道どまり・未確認を分けたまま持ち歩きます。印を消さないことが、いちばん安い保険になります。
11日本企業がチリ向けにAI検索対策で確認することは何ですか?
ここまでを、日本企業の立場でやることに落とします。事例が出そろうのを待つのではなく、先に手をつけられることが3つあります。
先に手をつけられる3つ
施行日程を自社の予定表に置く
Ley21.719の完全施行は公布から24ヶ月後です。チリ向けにユーザーデータを扱うなら、データ保護庁への対応方針を早めに検討します
透明性を設計に織り込む
国家AI政策が掲げる倫理性や非差別といった副軸を踏まえ、AIを用いたコンテンツ配信の透明性を担保できる形にします
自社データの計測体制を先に整える
GA4などで、AI経由の流入を自分で計測できるようにしておきます
3つ目がいちばん効きます。チリ固有のAIO対応事例が確認できない現時点では、公開データを待つより自社データの蓄積が優先だからです。政策の改定サイクルが速い市場でもあるため、定点観測がそのまま実務の武器になります。
この章のまとめ
待つのではなく、施行日程の把握・透明性の設計・自社計測の3つから始めます。事例が無い市場では、自社データがいちばん早い判断材料になります。
12よくある質問
チリの検索エンジン市場に、Google以外で存在感のあるサービスはありますか?
Bingが7.02%で2位につけていますが、それ以外のサービスはいずれも3%未満です(出典: Statcounter、2026年6月)。南米地域計の90.94%と近い水準で、特異な市場構造ではありません。
チリのAI政策は、他の中南米諸国と比べて先行しているのですか?
本稿執筆時点で、他国との定量比較は確認できていません。確認できるのは、チリが2021年の初版から2024年5月に改定を重ね、2026年までの100以上の施策を計画している事実と、ユネスコから評価プロセスの完了を報じられている事実です。
チリに、データ保護に関する新しい法律はありますか?
はい。2024年12月13日に公布されたLey21.719が、新しいデータ保護庁の設立を含む抜本改正を行います。公布から24ヶ月後の完全施行に向けて、規則制定などの準備が進む段階です。
チリ企業のAI検索対策の事例はありますか?
本稿執筆時点で、チリ発のAIO対応事例を裏づける公開情報は見当たりません。確認できるのは、国家AI政策の整備状況とデータ保護法制の改正という、政府側の動きです。
チリ向けのAI検索最適化は、いつから準備すればいいですか?
法制度の完全施行を待つ必要はありません。AI経由の流入を自社で計測し始めることは、いつからでもできます。制度の更新が速い市場なので、定点観測を先に始めておくほうが、あとから追いつくより負担が軽くなります。
13まとめ|今日やる3つのこと
チリの検索市場は、Googleが90.18%を占めます。南米地域計の90.94%とほぼ同水準で、シェアの面では際立った特異性がありません。AIチャットボット市場ではChatGPTが71.52%と先行しています。
この国の特徴は、制度の更新の速さにあります。国家AI政策は改定版が出て、データ保護法制も抜本改正を迎えました。一方で、現地企業のAIO対応事例は一次情報で確認できていません。
確認できたことと、まだ確認できていないことを分けたまま社内に出す。それが、この市場でいちばん外しにくい進め方です。
もう一度、先に手をつける3つ
施行日程を予定表に置く
Ley21.719の完全施行から逆算して、自社の段取りを引きます
透明性を設計に織り込む
国家AI政策の副軸を、自社の発信の点検項目として使います
自社データを取り始める
GA4などでAI経由の流入を自分で計測します
AI検索では、こう聞かれています
チリの検索エンジンシェアはどうなっていますか?
「チリの検索市場は、AI検索対策の前提としてどうなっているんですか?」の章に、実測値の表と棒グラフがあります
チリでAI検索はどれくらい使われていますか?
「チリでAI検索は、どのサービスがどれくらい使われているんですか?」の章で、AIチャットボット市場のシェアを並べています
チリの国家AI政策とデータ保護法は、いまどうなっていますか?
「チリの国家AI政策は、AI検索対策の判断材料になりますか?」と「データ保護法の改正は、チリのAI検索最適化にどう関わりますか?」の2つの章で整理しています
日本企業は何から手をつければいいですか?
「日本企業がチリ向けにAI検索対策で確認することは何ですか?」の章に、手順があります
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