「韓国にも展開するので、AI検索の対策をお願いします」。そう頼まれて調べ始めると、たいてい最初の数字でつまずきます。
Googleのシェアが半分に届かない。しかも調査によって、GoogleとNaverのどちらが上かが入れ替わる。世界の主要市場を見慣れている人ほど、韓国の数字は落ち着かないはずです。
この記事は、韓国向けのサイトやコンテンツを担当することになった方に向けて書きました。市場の形、Naverが進めているAI検索、そして韓国のAI関連法。この3つを、図解と会話で順番に整理します。
こんなふうに調べていませんか
- 韓国でSEOをやるとき、GoogleとNaverのどちらを優先するのか決めたい
- 「韓国 AI検索 対策」で検索して、何から手をつけるかを探している
- 海外の検索シェアの数字を、どこまで信じていいのか迷っている
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 韓国の検索市場が二極構造である理由を、数字の出どころごと説明できるようになります
- Naverが進めているAI検索で何が起きているかが、図で分かります
- 韓国向けのAI検索最適化で押さえる論点が、4つに絞れます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 韓国は、Googleが検索市場を独占していない、世界でも数少ない市場です。Statcounter基準ではGoogleが45.91%、Naverが43.68%で拮抗しています(2026年6月・全プラットフォーム合算)。
- ただし、この拮抗はStatcounter基準の話です。韓国国内の実アクセスログ指標ではNaverが60%超という調査もあり、測り方で結論が変わります。
- Naverは会話型のAI検索機能「AI Tab」を全ユーザー向けに展開しました。韓国ではAI基本法も施行されています。市場と規制の両方を見る必要があります。
この記事では、韓国向けの案件を受け持つことになったマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01韓国のAI検索対策は、なぜGoogle向けの設計だけでは足りないんですか?
若葉さん韓国向けのAI検索対策をお願いされたんですが、いつもどおりGoogle向けに整えれば大丈夫ですよね?
鈴木さんそこが韓国のいちばん特徴的なところなんです。Google向けの設計だけだと、届く範囲が市場の半分ほどで止まってしまうと考えられます。
世界の主要な検索市場は、Googleが90%以上を占めるところが大半です。だから多くの国では、「検索対策とはGoogle対策のことだ」という前提が、そのまま成り立ちます。
韓国は、その前提が成り立たない数少ない市場です。自国の検索エンジンであるNaverが、Googleとほぼ並ぶシェアを保っています。しかもNaverは、AI検索の機能まで自社で開発し、自社の検索へ組み込んでいます。
つまり韓国では、読者が検索を始める入口が2つあることになります。入口が2つあるなら、見つけてもらうための設計も2系統が必要です。ここを1系統のまま進めると、後から「半分に届いていなかった」と分かります。
この章のまとめ
韓国は、Googleが独占していない例外的な市場です。読者が検索を始める入口が2つあるので、対策も2系統で設計します。
02韓国のAI検索シェアは、どの数字を見ればいいんですか?
高梨課長社内は数字がないと動きません。まず、いま公開されている実測値を見せてもらえますか。
鈴木さんはい。Statcounterの実測データです。2026年6月・全プラットフォーム合算の数値になります。
韓国の検索エンジン市場の内訳は、次のようになっています。
| 検索エンジン | シェア |
|---|---|
| 45.91% | |
| Naver | 43.68% |
| Bing | 6.28% |
| Coccoc | 1.22% |
| Yandex | 1.14% |
| Daum | 1.14% |
上位2つの差は、2ポイントほどしかありません。この僅差が、韓国のAIO対策をGoogle一辺倒で組めない理由です。Google向けの構造化データ対策だけでは、韓国市場の半分近くに届かない計算になります。
なお、Daumを運営してきたKakaoのポータル部門は、2026年5月にAI企業Upstageへ移管されています。運営体制の変化と技術対応については、韓国ポータルDaumを扱った別記事で詳しく整理しています。
この章のまとめ
Statcounter基準では、Googleが45.91%、Naverが43.68%で並びます。差は2ポイントほどなので、片方だけを見る設計は成り立ちません。
03同じ韓国のAI検索なのに、調査で数字が違うのはなぜですか?
高梨課長別の資料には「韓国はNaverが優勢」と書いてありました。どちらが正しいんでしょうか。
鈴木さんどちらも間違いではないんです。測り方が違うだけで。ここを先に押さえておくと、社内の議論が短く済みます。
韓国国内の実アクセスログ指標(InternetTrend)では、Naverが60%超で優位という調査もあります。Naver自身も、Statcounterの数値が実態と離れていることに、公に異議を唱えています。
違いは、集計のもとになるデータにあります。Statcounterは、トラッキングコードを設置したサイトのPVを集計しています。InternetTrendは、韓国国内の主要サイトの実アクセスログを集計しています。
見ている母集団が違えば、出てくる数字も変わります。測定方法によって結論が大きく変わる市場である点は、韓国を扱ううえで最初に共有しておきたい前提です。
この章のまとめ
韓国のシェアは、測り方で結論が変わります。Statcounter基準では拮抗、国内の実ログ指標ではNaver優位。どちらの数字も、出どころとセットで扱います。
04NaverのAI検索は、いま何が起きているんですか?
若葉さんNaverもAI検索をやっているんですね。Googleと同じようなものですか?
鈴木さん向いている方向がだいぶ違います。Naverは「調べて終わり」ではなく、そのまま行動まで進める形を作ろうとしています。
Naverは2023年9月から、会話型のAI検索サービス「Cue:」を実験的に提供していました。ただしCue:は、2026年4月にClova Xとともにサービスを終了しています(出典: 現地報道各社)。
後継として位置づけられているのが「AI Tab」です。Naverは2026年6月26日、AI Tabを全ユーザー向けに正式展開しました(出典: Naver公式)。
Naver公式の説明によると、AI Tabは検索意図を理解したうえで、ショッピング・場所探し・予約などの実行できるアクションへ誘導する「行動指向型AIエージェント」です。
規模も公表されています。ベータ版は約2か月で400万ユーザーを獲得しました。正式版は、Naverメインページの平均日次訪問者5,000万人が1クリックでアクセスできる形で展開されています(出典: Naver公式、2026年6月26日)。
この章のまとめ
韓国のAI検索は、Naverが自社主導で進めています。Cue:の実験を経て、行動指向型のAI Tabが全ユーザーへ展開されました。
05AI Tabを前提にすると、韓国のAI検索対策は何が変わりますか?
高梨課長検索結果の中で予約まで終わるとなると、うちのサイトへの流入はどうなるんでしょうか。
鈴木さんそこは正直にお伝えすると、クリックが減る方向の動きです。ゼロクリック化の一形態と考えられます。
検索結果の中で予約や購入まで完結する設計は、読者がサイトへ移動しなくても用が足りることを意味します。流入の数だけを目標に置いていると、努力が数字に表れにくくなります。投資配分の考え方は、ゼロクリックの類型を扱った別記事が参考になります。
だからといって、韓国向けのサイトを持つ意味がなくなるわけではありません。AI Tabが答えや提案を組み立てるときも、もとになる情報はどこかから取ってきます。行動が起きる手前で、情報源として選ばれることが、これまで以上に効いてきます。
言い換えると、韓国向けのAI検索対策は、見に来てもらう設計から、選ばれて引かれる設計へ重心が移ります。
この章のまとめ
AI Tabは、検索結果の中で行動が終わる方向の動きです。流入の前提が変わるので、情報源として選ばれる設計へ重心を移します。
06韓国のAI基本法は、AI検索最適化にどう関わるんですか?
若葉さん韓国はAIの法律もできたと聞きました。私たちの記事づくりにも関係しますか?
鈴木さんはい。とくに生成AIで作ったコンテンツの示し方に関わる部分は、先に確認しておきたい場所です。
韓国は2026年1月22日、AI関連の包括法である「AI基本法」を施行しました(出典: 韓国国家法令情報センター)。正式名称は인공지능 발전과 신뢰 기반 조성 등에 관한 기본법(AI発展と信頼基盤造成等に関する基本法)です。
同法は2025年1月21日に公布され、1年間の準備期間を経て全面施行されました。これにより韓国は、EUに次いで世界2番目に包括的なAI法制を持つ国になりました。
法律ができたこと自体より、その中のどこが自社の配信に効くのかが実務の関心事になります。次の章で、確認する場所を絞ります。
この章のまとめ
韓国ではAI基本法が施行されています。公布から全面施行まで準備期間が置かれ、韓国はEUに次いで世界2番目の包括的なAI法制を持つ国になりました。
07AI基本法の中で、韓国のAI検索対策として確認するのはどこですか?
中身はリスクベースアプローチです。医療・エネルギー・公共サービスなどの「高影響AI」には、分野別の義務が課されています。一部の生成AIコンテンツには、ラベル表示も義務づけられています。
施行後1年間は、行政制裁金より是正指導を優先する猶予期間が設けられています。
この章のまとめ
実務で確認する中心は2つです。高影響AIに当たるかどうかと、生成AIコンテンツのラベル表示が要るかどうかです。
08Naver向けのLLMO対策は、Google向けと何が違うんですか?
高梨課長実務の話に戻します。Naver向けというのは、具体的に何をすることになりますか。
鈴木さんまずは窓口を持つことです。Naverにも、Google Search Consoleに当たる管理ツールがあります。
Naver検索への登録や診断は、Naver Search Advisor(ウェブマスターツール)から行えます。韓国向けのサイトを持つなら、Google Search Consoleと併せて登録を検討してください。
LLMO対策という言葉で語られる作業の中身は、AI検索に情報源として選ばれるための整えです。やること自体は、Google向けと大きく変わりません。変わるのは、届ける相手と窓口が増えることです。
Naver独自のアルゴリズム傾向を踏まえた実務は、Naver公式ガイドを読み解いた別記事でさらに深掘りしています。AIOという概念そのものの整理から入りたい方は、入門記事を先に読むほうが近道です。
この章のまとめ
Naver向けのLLMO対策で新しく増えるのは、窓口です。Naver Search Advisorへの登録を、Google Search Consoleと並行させます。
09韓国向けのAI対策は、どこから手をつければいいですか?
若葉さんやることが増えてきました。順番をつけるとしたら、どこからでしょうか。
鈴木さん4つに絞れます。上から順にやれば、いまの体制のままでも回せるはずです。
韓国市場でのAIO対応にあたり、日本企業が押さえるべき実務ポイントは次の4つです。どれも大がかりな体制変更を伴いません。
韓国向けは、この順でやります
Google対策とNaver対策を並行させる
シェアがほぼ並ぶので、Google向けの構造化データ対策だけでは韓国市場の半分をカバーできません
行動指向型のAI検索を前提に置く
検索結果の中で予約や購入まで進む設計は、ゼロクリック化の一形態として扱います
AI基本法のラベル表示義務を確認する
韓国向けにAI生成コンテンツを配信するなら、対象範囲を事前に確認します
Naver Search Advisorに登録する
Google Search Consoleと併せて、両方の窓口から状態を確認します
信頼性のシグナルをどう設計するかは、E-E-A-Tを扱った別記事も参考になります。AI検索エンジンごとの性格の違いを整理したい場合は、主要サービスを比較した別記事が近道です。
この章のまとめ
韓国向けのAI対策は、この4つで始められます。専任の体制を作る前に、窓口の登録と規制の確認から入ります。
10韓国のAI検索対策で、いま確認できていないことは何ですか?
高梨課長最後に確認させてください。「韓国でAI検索対策をやったら、こうなった」という事例はありますか。
鈴木さんそこは正直にお伝えします。数値で示された公開事例は、一次情報では確認できていません。
本稿の執筆時点で、AI検索での引用増加を数値で示した定量的な公開事例は、一次情報で確認できません。定性的な取り組みの紹介は、現地のマーケティングメディアに存在します。
ChatGPTやGeminiなど海外のAI検索サービスが、韓国国内でどれくらい使われているかについても、信頼できる一次データを確認できていません。
代わりに確認できるのは、プラットフォームと政府の動きです。Naverは検索・地図・予約の機能をAI Tabへ統合しています。韓国政府はAI基本法を通じて、AI活用の透明性を求める規制を敷いています。
この章のまとめ
韓国は、市場と規制の一次情報は確認できますが、成果の公開事例はまだ確認できません。判断は、自社での定点観測で補います。
11よくある質問
韓国でSEO対策をする場合、Googleだけで十分ですか?
十分ではありません。Naverが43.68%のシェアを持つため、Google向けの対策だけでは韓国市場の半分近くをカバーできません(出典: Statcounter)。Naver独自のアルゴリズム傾向を理解した対策が要ります。なお韓国国内の実ログ指標では、Naverのシェアはさらに高く出ます。測定方法によって数値が大きく変わる点にも注意してください。
韓国版のAI Overviewsのような機能はありますか?
Naverが2026年6月26日に全面展開した「AI Tab」が、それに当たります。検索意図の理解から行動の実行までを担う機能として位置づけられています(出典: Naver公式)。
Statcounterと国内の実ログ指標では、どちらの数字を社内資料に使えばいいですか?
どちらか一方を選ぶより、両方を併記するほうが実務では安全です。Statcounter基準ではGoogleとNaverが拮抗し、国内の実ログ指標ではNaverが優位に出ます。集計のもとになるデータが違うためです。片方だけを載せると、別の資料を見た人と数字が食い違います。
AI基本法は日本企業にも適用されますか?
韓国国内でAIサービスを提供する事業者が対象です。適用範囲の詳細は事業形態によって異なるため、韓国向けの事業を計画する際は専門家への確認をおすすめします。とくにAI生成コンテンツを配信する場合は、ラベル表示義務の対象範囲を先に確認してください。
Naver向けの登録は、どこから始めればいいですか?
Naver Search Advisor(ウェブマスターツール)から、検索への登録と診断を行えます。韓国向けサイトを運用するなら、Google Search Consoleと併せて登録しておくと、両方の窓口から状態を確認できます。
12まとめ|韓国向けに押さえる4つの論点
韓国は、Googleが検索市場を独占していない、世界でも数少ない市場です。Statcounter基準ではGoogleが45.91%、Naverが43.68%で並びます。ただし国内の実ログ指標ではNaverが優位で、測り方によって結論が変わります。
AI検索の側では、Naverが自社主導でAI Tabを展開しています。検索結果の中で行動まで完結させる設計なので、流入の前提そのものが動きます。あわせてAI基本法が施行され、生成AIコンテンツのラベル表示など、確認すべき義務も生まれています。
もう一度、韓国向けの4つ
Google対策とNaver対策を並行させる
入口が2つある市場なので、設計も2系統で持ちます
行動指向型のAI検索を前提に置く
AI Tabは検索結果の中で予約や購入まで進みます
AI基本法のラベル表示義務を確認する
対象範囲を、配信の前に確かめます
Naver Search Advisorに登録する
Google Search Consoleと両輪で状態を見ます
AI検索では、こう聞かれています
韓国でSEOをやるとき、GoogleとNaverのどちらを優先すればいいですか?
「韓国のAI検索対策は、なぜGoogle向けの設計だけでは足りないんですか?」の章で、実測値をもとに答えています
韓国版のAI Overviewsのような機能はありますか?
「NaverのAI検索は、いま何が起きているんですか?」の章で、AI Tabの中身を図解にしています
韓国のAI基本法は、日本企業にも関係しますか?
「韓国のAI基本法は、AI検索最適化にどう関わるんですか?」の章と、よくある質問で答えています
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