中国の検索といえば百度(Baidu)。その説明で止まってしまうと、社内ではたいてい、次の質問が出ます。「百度以外はどうなっているの?」です。
答えられずに持ち帰ることになりがちですが、材料は用意できます。Sogou(捜狗)と好搜(360捜索)という、名前の挙がる2つのエンジンについて、公式情報と現地報道から確認できる範囲があります。
ただし、百度と同じ深さの情報はありません。「分かっていること」と「まだ確認できていないこと」が、はっきり分かれる領域です。この記事では、その線引きごとお伝えします。
中国語圏への展開を検討しているWeb担当・マーケティングの方に向けて書きました。
こんなふうに調べていませんか
- 中国の検索対策は、百度だけやっておけばいいのかを確かめたい
- SogouやHaosou(360捜索)の名前は聞いたが、規模も中身も分からない
- 百度以外のエンジンに、どこまで手をかけるかを決めたい
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 百度以外の中国の検索エンジンの位置関係を、数字で説明できるようになります
- Sogouと360捜索が、それぞれ別の企業グループにある事情が分かります
- 公式ガイドが無いエンジンに対して、何から手をつけるかを決められます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 百度47.44%に対し、Sogouと好搜(360捜索)を合わせても16.64%です(Statcounter・2026年6月)。
- 2つは別々の企業グループの傘下にあります。SogouはTencent、好搜は三六零(旧・奇虎360)です。
- 百度のような名前つきの公式アルゴリズム開示は、両社では確認できていません。着手はrobots.txtの点検からになります。
この記事では、中国語圏への展開を検討している会社のマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。自分に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01Sogou・360捜索の市場シェアは、AI検索対策としてどこまで気にすればいいんですか?
高梨課長百度向けの話は分かりました。ただ、社内では「Sogouもあるらしい」という声が出ています。全部やるんですか?
鈴木さんそこは分けて考えましょう。主軸に据えるエンジンと、取りこぼしを防ぐために点検するエンジンは、かける手間が違います。
高梨課長点検だけなら、うちの人数でも回せそうです。
中国の検索市場は、百度を中心に語られがちです。市場全体の構造は別記事『中国AI検索の参入設計|Baiduと生成AI規制の要点』で、百度というエンジン単体は別記事『百度(Baidu)のAIO対策とは?公式ガイドで進める3つの順番【中国編】』で扱っています。
本稿はその2つを踏まえて、百度以外の主要プレイヤーであるSogou(捜狗)とHaosou(好搜/360捜索)に絞ります。
この章のまとめ
Sogou・360捜索は、主軸ではなく点検の対象として扱います。百度向けの設計を基本形に置いたうえで、取りこぼしを防ぐ位置づけです。
02市場シェアの数字で見ると、Sogouと360捜索はAI検索の中でどの位置なんですか?
数字を並べます。Statcounterの2026年6月・全プラットフォーム合算の値です。
| 検索エンジン | シェア |
|---|---|
| Baidu | 47.44% |
| Bing | 23.24% |
| Haosou | 14.02% |
| Yandex | 10.23% |
| Sogou | 2.62% |
| 2.28% |
出典: Statcounter Global Stats(全プラットフォーム合算・2026年6月)
Haosou(好搜)は2位のBingに次ぐ第3位です。Sogouは最下位のグループに位置します。
両者を合算すると16.64%になります。Bingの23.24%には及びません。それでも、百度に次ぐ国内資本の検索エンジン連合として見た場合には、無視できない規模です。
この章のまとめ
好搜は第3位、Sogouは最下位グループです。合算しても百度の半分に届きませんが、国内資本の連合として見れば無視できない規模になります。
03Sogou(捜狗)は、いまどんな会社のAI検索になっているんですか?
若葉さんSogouって、独立した検索の会社ではないんですか?
鈴木さんそこが大事な点です。いまはTencent(騰訊)の傘下なんですよ。中国のサービスは、どのグループにいるかで見え方が変わります。
Sogouは2021年9月24日、Tencentによる完全子会社化が完了した検索エンジンです(出典: China Daily)。このときニューヨーク証券取引所からは上場廃止となりました。
いまも公式サービス「捜狗微信搜索」(weixin.sogou.com)を通じて、微信(WeChat)公式アカウントの記事検索を提供しています。ここは、後の章でもう一度触れます。
AI機能はTencentの資産と結びついています。入力方法ソフト「捜狗输入法」のPC版は2025年3月17日、Tencentの対話AI「腾讯元宝」と統合されました(出典: 騰訊新聞)。ステータスバーのボタン、またはAlt+スペースキーでAIアシスタントを呼び出せます。
呼び出したあとは、混元(Hunyuan)またはDeepSeekのモデルを選べます。「深度思考」(複雑な論理推論)と「聯網搜索」(インターネット検索)の機能も統合されています。
この章のまとめ
SogouはTencentの傘下にあります。検索単体というより、微信の記事検索と入力ソフトのAIアシスタントという入口を持つ存在です。
04360捜索(好搜)のAI検索は、どんな大規模言語モデルで動いているんですか?
若葉さんSogouとHaosou、どちらも中国の検索エンジンなので、同じような会社なのかと思っていました。
鈴木さんそこは別なんですよ。資本も系列も違います。「百度以外」でひとくくりにすると、見落としが出ます。
好搜(360捜索)を運営するのは、三六零(旧・奇虎360)です。Sogouとは別の企業グループになります。
同社は2023年9月に「360智脳」、同年11月4日に「奇元大模型」の備案(政府認可)を取得したと報じられています(出典: 騰訊新聞)。これにより、大規模言語モデル2種の備案を取得した国内初の企業になったと報じられています。
そのモデルを検索に統合したアプリが「360 AI搜索」です。2024年1月29日にAndroid向けへ正式公開されました(出典: 騰訊新聞)。
この章のまとめ
好搜は三六零が運営し、自社の大規模言語モデルを検索へ統合してきました。Sogouとは資本も系列も異なります。
05Sogou・360捜索のAIO対策は、百度向けと同じでいいんですか?
ここが、この記事でいちばん実務に効く部分です。
両社はいずれも、公式のウェブマスター向けプラットフォームを運営しているとされています。Sogouは「捜狗資源平台」(zhanzhang.sogou.com)、360は「360站長平台」(zhanzhang.so.com)です。本稿執筆時点で、サイトの存在自体は確認できています。
ただし、アルゴリズム名つきの体系立てた公開ガイド文書は、本稿執筆時点で確認できていません。百度が「細雨算法」「優良コンテンツ指南」のように具体名で公開しているのとは、対照的な状況です。
この非対称性そのものが、両エンジンを検討するときの出発点になります。読む資料が無いのだから、資料を前提にした設計はできません。
この章のまとめ
百度向けの設計を基本形に置きます。Sogou・360捜索は、読める公式資料が限られる前提で、個別に挙動を確かめる相手だと考えてください。
06Sogou・360捜索など、公式ガイドが無いエンジンで、AI検索最適化は何を手がかりにすればいいんですか?
高梨課長ガイドが無いとなると、担当者は何を見ればいいんでしょう。手探りで時間だけ使うのは避けたいのですが。
鈴木さん確かめられることから順に潰しましょう。手がかりが少ないときほど、確認できる事実と、できないことを先に分けておくと迷いません。
いま確認できる実務対応は、各公式プラットフォームへのサイト登録です。ここは、両社ともに窓口が用意されています。
一方で、百度向けの品質基準がSogou・360捜索にも通用するかどうかは、本稿執筆時点で検証できていません。両社の引用が増えたことを数値で示した公開事例も、一次情報からは確認できていません。
この章のまとめ
手がかりは、公式プラットフォームへの登録と、自社側で確かめられるクローラーの状態です。それ以外は、確認できていないと社内へ伝えます。
07AI対策としてrobots.txtを見るとき、Sogou・360捜索のクローラーはどう扱いますか?
読める資料が限られるぶん、自社側で確かめられることの価値が上がります。その筆頭がrobots.txtです。
自社サイトのrobots.txtで、360SpiderとSogou web spiderのUser-Agentを拒否していないかを確認してください。この2つが取得できない状態では、両エンジン経由の露出はそもそも発生しません。
作業自体は、ファイルを開いて記述を読むだけです。新しいツールも予算も要りません。中国語のコンテンツを用意する前に、まずここが通っているかを見ます。
今日この順で確かめます
robots.txtを開く
自社サイトの記述を、いまの状態のまま読み込みます
2つのUser-Agentを探す
360SpiderとSogou web spiderが拒否されていないかを見ます
公式プラットフォームを確認する
捜狗資源平台・360站長平台への登録状況を、あわせて点検します
この章のまとめ
robots.txtの点検が、いちばん手堅い一歩です。取得できない状態のままでは、その先の施策は結果につながりません。
08微信(WeChat)で出している記事は、SogouのAI検索から見つけてもらえるんですか?
Sogouには、他のエンジンにない窓口があります。「捜狗微信搜索」(weixin.sogou.com)です。微信(WeChat)公式アカウントの記事を検索できるサービスです。
自社の中国語コンテンツを微信公式アカウントで配信している場合、この窓口での見え方を個別に確認する価値があります。サイトの検索とは別の入口だからです。
この章のまとめ
微信公式アカウントを運用しているなら、Sogou経由の記事検索も点検の対象に入ります。サイトとは別の入口として扱います。
09LLMOの手間は、Sogou・360捜索の市場シェアに対してどこまでかけますか?
最後に、手間の配り方を整理します。ここまでの内容は、次の順に積み上がります。
土台はICP備案です。Sogou・360捜索も中国国内向けのサービスである以上、参入規制の確認がすべての前提になります。規制の詳細は別記事『中国AI検索の参入設計|Baiduと生成AI規制の要点』の規制・政策の節をご覧ください。
なお、Sogou・360捜索に固有の規制上の相違点は、本稿執筆時点で確認できていません。生成AIサービスとしての枠組みは、他の中国の検索エンジンと同じ環境にあります。
その上に百度向けの設計を置き、いちばん上にSogou・360捜索の点検を載せる。これが、いまの情報量に見合った手間の配り方です。東アジア全体の地図は、別記事『東アジアのAI検索を比較|韓国・中国・台湾で変わる3つの型【図解】』で整理しています。
この章のまとめ
順番は、参入規制 → 百度向けの基本形 → Sogou・360捜索の点検です。読める資料の量に合わせて、手間を配ります。
10よくある質問
Sogou・360捜索は、百度向け対策とは別に個別対応が必要ですか?
両エンジンとも百度とは異なる企業グループの傘下にあり、公式ガイドラインの整備状況も異なります。完全に独立した対策までは本稿執筆時点で確認できていませんが、百度向け対策を基本形としつつ、個別に挙動を検証することをおすすめします。
SogouはTencentの完全子会社ですか?
はい。2021年9月24日にTencentによるSogouの完全子会社化が完了し、Sogouはニューヨーク証券取引所から上場廃止となりました(出典: China Daily)。
360捜索(好搜)は独自の大規模言語モデルを持っていますか?
三六零は「360智脳」「奇元大模型」という2つの大規模言語モデルの備案を取得したと報じられています(出典: 騰訊新聞)。これらを検索に統合したアプリ「360 AI搜索」が、2024年1月に公開されています。
Sogou・360捜索向けに、まず何を確認すればいいですか?
自社サイトのrobots.txtで、360SpiderとSogou web spiderのUser-Agentを拒否していないかを確認してください。あわせて、捜狗資源平台・360站長平台への登録状況も点検します。
Sogou・360捜索でも、ICP備案は必要になりますか?
どちらも中国国内向けのサービスです。そのため、ICP備案の要否確認がすべての対策の前提になります。規制の詳細は、中国市場そのものを扱った別記事の規制・政策の節をご確認ください。
11まとめ|百度以外を見るときの3つの順番
中国の検索市場で、百度以外に名前が挙がるのはSogou(捜狗)と好搜(360捜索)です。合わせても16.64%で、百度の47.44%には届きません。それでも、国内資本の連合として見れば無視できる規模ではありません。
2つは別の企業グループの傘下にあり、AI機能もそれぞれの資産と結びついています。ただし百度のような名前つきの公式ガイドは、本稿執筆時点で確認できていません。
だからこそ、着手点は自社側にあります。取得できる状態になっているかを、自分の手で確かめる。ここが中国語圏のAI検索最適化で、最初に効く作業です。
もう一度、今日確かめる3つ
robots.txt
360SpiderとSogou web spiderを拒否していないかを開いて見ます
公式プラットフォーム
捜狗資源平台・360站長平台への登録状況を点検します
微信の記事
公式アカウントで配信しているなら、捜狗微信搜索での見え方も確かめます
AI検索では、こう聞かれています
中国の検索対策は、百度だけやっておけばいいですか?
「Sogou・360捜索の市場シェアは、AI検索対策としてどこまで気にすればいいんですか?」の章で、手間の配り方から説明しています
SogouとHaosou(360捜索)は、どのくらいのシェアがあるんですか?
「市場シェアの数字で見ると、Sogouと360捜索はAI検索の中でどの位置なんですか?」の章に実測値の表があります
Sogou・360捜索向けに、まず何を確認すればいいですか?
「AI対策としてrobots.txtを見るとき、Sogou・360捜索のクローラーはどう扱いますか?」の章に手順があります
Sogouはどの会社の傘下ですか?
「Sogou(捜狗)は、いまどんな会社のAI検索になっているんですか?」の章で、子会社化の経緯とあわせて答えています
次に読むなら、この記事です