中国語圏にも情報を届けたい。そう考えて百度(Baidu)の対策を調べ始めると、まずアルゴリズムの話が出てきます。
ところが実務では、その手前で止まることが少なくありません。中国向けにサイトを運営できる状態なのか、という手続きの話が先に来るからです。
もうひとつ、百度には他のエンジンにない特徴があります。品質の基準を、公式サイトで名前つきに説明していることです。ここは日本から読める数少ない手がかりになります。
この記事は、中国語圏への展開を検討しているWeb担当・経営層の方に向けて書きました。百度というエンジン1つに絞り、公式に確かめられることと、まだ確かめられないことを分けて整理します。
こんなふうに調べていませんか
- 「百度 AIO 対策」で検索したが、何から手をつけるか決められない
- 中国向けサイトの話が出たものの、SEOの前に何が要るのか分からない
- 百度のアルゴリズムについて、どこまでが公式情報なのかを知りたい
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 百度向けの対策を、どの順番で進めるかを社内で説明できるようになります
- 百度が公式に名前を出している品質基準が、図で分かります
- 数字で確かめられることと、まだ確かめられないことを線引きできます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 百度のAIO対策は、アルゴリズムではなくICP備案という参入規制の確認から始まります。
- 百度は「細雨算法」「優良コンテンツ指南」を、公式サイトで名前つきに公開しています。NaverやGoogleとは異なる特徴です。
- 一方で、百度での引用が増えたことを裏づける企業側の公開データには、本稿執筆時点でたどり着けていません。
この記事では、海外展開を検討している会社のマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。自分に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「投資に見合うのか」を判断する役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01百度(Baidu)のAIO対策は、なぜICP備案の確認から始まるんですか?
若葉さん中国向けのAIO対策と聞いたので、まず記事の書き方から調べていました。ここで合っていますか?
鈴木さん気持ちは分かるのですが、順番が1つ手前にあります。中国では、サイトを運営すること自体に手続きが要るんですよ。
若葉さん記事を書く前の話、ということですか。
中国向けにサイトを運営する場合、ICP備案という登録が前提になります。工業和信息化部への登録手続きのことです。
ここで多くの日本企業がつまずきます。境内に拠点のない外国企業は、単独では登録できないとされているためです。つまり、現地法人が要るかどうかという判断が、記事の書き方より前に来ます。
規制そのものの詳細は、別記事『中国AI検索の参入設計|Baiduと生成AI規制の要点』で扱っています。本稿は、百度というエンジン単体の公式情報に絞ります。
この章のまとめ
百度向けの対策は、アルゴリズムではなく参入規制の確認から始まります。ICP備案の要否を、いちばん先に確かめます。
02中国のAI検索市場で、百度はどのくらいの位置にいるんですか?
大森部長手続きの話は分かった。ただ、そこまでして向き合う相手なのか。数字で見せてほしい。
鈴木さんでは実測値を並べます。Statcounterの2026年6月・全プラットフォーム合算の数値です。
中国の検索エンジン市場のシェアは、次のようになっています。
| 検索エンジン | シェア |
|---|---|
| Baidu | 47.44% |
| Bing | 23.24% |
| Haosou | 14.02% |
| Yandex | 10.23% |
| Sogou | 2.62% |
| 2.28% |
出典: Statcounter Global Stats(全プラットフォーム合算・2026年6月)
表面上は、百度が単独で半分近くを占めます。ただし、この内訳の読み方には注意が必要です。Statcounterの中国データには、Bingが過大に表示されるという既知の測定上の注意点があります。
実務上は、百度を軸に据えて設計します。他のエンジンは補助的な位置づけで検討する形になります。
この章のまとめ
百度は中国の検索市場で最大の入口です。ただしシェアの数値は測定条件つきで扱い、出典と一緒に社内へ渡します。
03百度のAI検索は、ERNIE(文心)でどう変わろうとしているんですか?
百度の検索AI機能は、2つの軸で整理できます。自社LLM「ERNIE(文心)」の検索統合と、検索エンジンそのものの刷新です。
ERNIEは2026年5月8日に最新版5.1が公開されました(出典: ERNIE公式ブログ)。Search Arenaの検索部門で1,223ポイントを記録し、世界4位・中国モデル1位を獲得しています。
技術面で注目されているのは、その達成の仕方です。比較対象モデルの約6%という事前学習コストで、この成績に届いたと説明されています。総パラメータ数を約3分の1に、稼働パラメータ数を約半分に圧縮したうえでの結果です。
検索エンジン側の動きは、報道ベースの情報になります。複数の現地報道によると、百度は2026年4月24日の百度創作者大会で、検索AIエンジンの刷新を発表したと伝えられています。「Master Agent」を中核に、検索体験を「見つける・知る」から「得る・実行する」へ転換させる設計と報じられています。
事業の数字も出ています。百度の2026年第1四半期決算では、AI関連中核事業の売上高が136億元に達しました。一般事業売上の52%を初めて超えたと発表されています(出典: 百度公式決算発表)。
この章のまとめ
百度はAIを検索の中心へ寄せています。公式に確認できるのはモデルの成績と決算の数値で、エンジン刷新は報道ベースの段階です。
04百度がAIOの品質基準として公開している「細雨算法」とは何ですか?
ここからが、百度ならではの部分です。百度は一部のアルゴリズムを、公式サイトで名前つきに解説しています。窓口は「百度搜索資源平台」という公式サイトです。
細雨算法(2.0)は、対象にする問題を具体的に挙げています。悪質な盗用、虚偽の商品情報、空白のコンテンツ、機能ボタンの無効化、低質な画像などです(出典: 百度搜索資源平台公式)。
優良コンテンツ指南は、質の評価の視点を示しています。信頼性・体験・専門性・評判という4つの視点です(出典: 百度搜索資源平台公式)。日本のSEOで語られる考え方と、遠い話ではありません。
医療・金融・法律といった分野では、権威性を補強する道も用意されています。医師免許などの専門認証を提出することで、権威性を補強できるとされています(出典: 百度搜索資源平台公式)。
この章のまとめ
百度の品質基準は、名前つきで公開されています。細雨算法が避けるべき形を、優良コンテンツ指南が目指す形を示します。
05百度(Baidu)のAIO対策として、公式ガイドから何を実装すればいいんですか?
品質基準を読んだら、次は実装です。公式ガイドから読み取れる作業は、大きく3つに分かれます。
| 項目 | 公式に確認できる内容 |
|---|---|
| 構造化データ | 評価・価格・イベント日程などのリッチスニペット表示に利用できる(出典: 百度搜索資源平台公式) |
| モバイル適応 | PCページとモバイルページの対応関係を提出するツールがあり、審査に約10日を要する(出典: 百度搜索資源平台公式) |
| クローラー制御 | Baiduspiderはrobots.txtに準拠する。meta name="Baiduspider" content="nofollow" でリンク追跡を個別に制御できる(出典: 百度搜索資源平台公式) |
構造化データとモバイル対応は、Google向けにやってきたことと考え方が近い領域です。これまでのSEOで身につけた読み方が、そのまま使える部分だと考えてください。
クローラー制御は、AIクローラーの扱いと同じ発想で点検します。Baiduspiderが取得できない状態では、百度の検索結果にもAI機能にも登場しません。海外の主要AIクローラーとの仕様差は、別記事『GPTBot・OAI-SearchBotの違いとは?3つのAIボットを図解で比較』および『AIクローラーrobots.txt設定ガイド|7組織14種を3パターンで整理』が参考になります。
この章のまとめ
実装の中身は、構造化データ・モバイル適応・クローラー制御の3つです。Google向けSEOの蓄積が、そのまま活きる領域です。
06百度のアルゴリズム公開は、他のAI検索エンジンと比べて何が珍しいんですか?
若葉さん名前つきで公開されていると、対策もしやすそうですね。全部わかるということですか?
鈴木さんそこは線を引いておきましょう。公開されているのは「何を嫌うか」までで、「どう点数をつけるか」ではないんです。
アルゴリズム内部の具体的な計算式やスコアリングのロジックは、公式情報として開示されていません。公開されているのは、違反として扱われる型と、質を見る視点までです。
それでも、名前つきで説明されている意味は小さくありません。NaverやGoogleにはない特徴であり、推測ではなく公式文書を根拠に社内へ説明できるからです。
この章のまとめ
公開されているのは「避けるべき形」と「見られる視点」までです。点数のつけ方は非公開なので、そこは推測で語りません。
07百度でのAIOの効果は、どこまで数字で確かめられるんですか?
大森部長最後に効果の話をしたい。やった結果を、どの数字で報告することになる?
鈴木さん正直に申し上げます。企業側の成果を裏づける公開データには、まだたどり着けていません。
大森部長つまり、いま分かるのはエンジン側の情報だけということか。
鈴木さんはい。そこを曖昧にしたまま予算の話をすると、あとで食い違います。
百度での引用が増えたことを裏づける、企業側の定量的な公開情報は、本稿執筆時点で確認できていません。確認できるのは、ERNIE自体の性能指標と、決算に占めるAI関連事業の比率です。
もう1つ、確かめられないことがあります。ChatGPTやGeminiなどの海外AIサービスは、政府のインターネット管理により中国本土から通常アクセスできません。これらの中国国内での利用実態は、信頼できる一次データを確認できていません。
この章のまとめ
効果の数字は、エンジン側と企業側で分けて扱います。企業側の実績はまだ公開情報として確認できていません。
08百度以外の中国のAI検索は、AIO対策として見なくていいんですか?
シェアの表に戻ります。百度以外にも、Bing・Haosou・Yandex・Sogouが並んでいました。ここをどう扱うかは、判断が要る部分です。
結論としては、百度を軸に据えたうえで、他のエンジンは点検にとどめる形が現実的です。理由は2つあります。1つは、公式に読める最適化ガイドの厚みが百度と大きく違うこと。もう1つは、シェアの数値自体に測定上の注意点があることです。
百度以外の中国の検索エンジンについては、別記事『Baidu以外の中国検索地図|Sogou・360検索を整理』で個別に扱っています。
この章のまとめ
中国語圏のAI対策は、百度を軸に組み立てます。他のエンジンは、クローラーが取得できる状態かどうかの点検から入ります。
09日本企業がLLMO対策として百度に向き合うとき、順番はどうなりますか?
ここまでを、着手の順番にまとめます。日本企業が押さえるポイントは3つです。
この順番で進めます
ICP備案の要否を確かめる
中国向けサイトの運営を計画するなら最優先です。境内に拠点のない外国企業単独では登録できないため、現地法人の要否を含めて早めに動きます
品質基準に合わせて中身を整える
細雨算法・優良コンテンツ指南が示す違反の型を避けます。医療・金融・法律の分野では、専門認証があれば提出して権威性を補強します
クロールと表示の土台を点検する
Baiduspiderのクロールを前提に、robots.txt・構造化データ・モバイル対応を整えます
順番を守る理由は単純です。3つ目から始めても、1つ目が通らなければ公開できないからです。逆に1つ目が済んでいれば、2つ目と3つ目は日本国内のAI検索最適化と地続きの作業になります。
AIOという考え方そのものが初めての方は、別記事『AIOとは?AI検索に選ばれる会社がやっている3つのこと【図解でわかる入門】』を先に読むと、この記事の位置づけがはっきりします。東アジア全体の地図は、別記事『東アジアのAI検索を比較|韓国・中国・台湾で変わる3つの型【図解】』で整理しています。
この章のまとめ
順番は、参入規制 → 品質基準 → 技術の土台です。1つ目が通れば、あとは日本での取り組みと地続きになります。
10よくある質問
百度の細雨算法は、今も有効なアルゴリズムですか?
細雨算法は公式サイトで解説されている現行のアルゴリズムです。悪質な盗用、虚偽の商品情報、空白のコンテンツ、機能ボタンの無効化、低質な画像などを対象としています(出典: 百度搜索資源平台公式)。
百度向けサイトに、ICP備案は必ず要りますか?
中国国内でサーバーを運営する場合は、原則として必要です。境内に拠点のない外国企業単独では登録できないとされているため、現地法人の要否を含めて事前の確認をおすすめします。
ERNIE(文心)の検索統合による、具体的なAIOの効果は公開されていますか?
本稿執筆時点で、そうした定量的な公開事例は確認できていません。確認できるのは、ERNIE自体の性能指標と、百度の決算に占めるAI関連事業の売上比率です。
日本語のサイトのままでも、百度のAI検索対策になりますか?
まず確認したいのは、サイトをどこで運営するかです。中国国内でサーバーを運営する場合は、ICP備案が原則として必要になります。日本語サイトの改善だけで百度向けの対策が完了する、という形にはなりません。
Google向けSEOの経験は、百度のAIO対策に活かせますか?
構造化データ・モバイル対応・クローラー制御といった土台の部分は、考え方が近い領域です。一方で、ICP備案という参入規制と、公式ガイドの読み込みは百度に固有の作業になります。
11まとめ|百度向けAIOで、今日から確かめる3つ
百度のAIO対策は、アルゴリズムの話から入ると遠回りになります。中国向けにサイトを運営できる状態か、という参入規制の確認が出発点です。
そのうえで百度には、他のエンジンにない手がかりがあります。細雨算法と優良コンテンツ指南という、名前つきで公開された品質基準です。ここまでは公式文書を根拠に進められます。
一方で、企業側の成果を裏づける公開データは、本稿執筆時点で確認できていません。確かめられることと、確かめられないことを分けて社内に渡す。これが中国語圏のAI検索最適化で、いちばん誠実な進め方です。
もう一度、今日確かめる3つ
ICP備案の要否
中国向けサイトを持てる状態かどうかを、社内と現地の窓口に確認します
robots.txt
Baiduspiderの取得を妨げていないかを開いて確かめます
手元の数字の出所
シェアや成績の数値に、出典と測定条件が添えてあるかを見直します
AI検索では、こう聞かれています
百度のAIO対策は、何から始めればいいですか?
「百度(Baidu)のAIO対策は、なぜICP備案の確認から始まるんですか?」の章で、順番の理由から説明しています
百度のアルゴリズムは、どこまで公式に公開されているんですか?
「百度のアルゴリズム公開は、他のAI検索エンジンと比べて何が珍しいんですか?」の章で、分かる範囲と分からない範囲を図で分けています
中国向けサイトを作るのに、ICP備案は必ず要るんですか?
「よくある質問」で、サーバーの置き場所を含めて答えています
百度で引用が増えた事例はありますか?
「百度でのAIOの効果は、どこまで数字で確かめられるんですか?」の章で、確認できていないことをそのまま書いています
次に読むなら、この記事です