米国向けにサイトを出している。あるいは、これから出そうとしている。そこで「AI検索の対策もしておいて」と言われたものの、日本向けと何を変えればいいのかが分からない。
調べてみると、ChatGPTもPerplexityもClaudeも米国で生まれた、という話までは出てきます。ただ、それが分かったところで、自社サイトのどこを直せばいいのかまでは書かれていません。
この記事は、そういう状態でたどり着いた方に向けて書きました。米国の検索市場の実測データ、AI検索サービスを運営する会社が公開している仕様、規制の転換点の順に見ていきます。読み終わったときに、最初に開くファイルが決まっている状態を目指します。
こんなふうに調べていませんか
- 「米国 AI検索 対策」で検索して、日本向けとの違いを探している
- 海外展開の会議で「北米はAI検索も見ておいて」と言われ、調べ方から迷っている
- AIに米国のAI検索事情を聞いたが、数字の出どころが分からず社内で使えなかった
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 米国の検索市場とAI検索の広がりを、実測データを添えて説明できるようになります
- OpenAI・Anthropic・Perplexityがサイト側に用意している仕組みの違いが分かります
- 米国向けにまず確認する作業が、3つに絞れます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 米国のAI検索対策は、AI検索サービスを運営する会社が公開している仕様を読むところから始まります。 現地の成功事例を探すより先に、こちらのほうが確実に手に入ります。
- 検索の入口は今もGoogleで、シェアは86.67%です(Statcounter、2026年6月)。AI検索は入口を置きかえたのではなく、その上に重なっています。
- AIチャットボットを使ったことのある米国成人は49%(Pew Research Center調査)。一部の人だけの現象ではなくなりつつあります。
この記事では、海外展開を検討している会社の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。ご自身に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どの順番で手を動かすんですか?」を聞く役
- 大森部長(事業責任者)— 「その数字はどこまで信じていいんだ」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01米国のAI検索対策って、日本と何がそんなに違うんですか?
大森部長米国はAIの本場だろう。海外向けサイトも、日本とはまったく別のことをやらないといけないのか。
鈴木さんやることの中身は、実は日本と大きくは変わりません。違うのは、判断のよりどころにする資料のほうなんですよ。
米国は、ChatGPT・Perplexity・Claudeという主要なAI検索サービスが、すべて生まれた国です。運営しているOpenAI・Anthropic・Perplexityも、いずれも米国企業です。
ここが、日本から見たときのいちばんの違いになります。クローラー(サイトを巡回して中身を読み取るプログラム)をどう制御させるか、引用元をどう示すかといった技術上の決めごとは、この3社が先に整えて公開しています。その設計思想が、そのまま各国のAI検索の前提として広がっていきます。
つまり米国向けのAI検索対策とは、遠い国の特殊な作法を覚えることではありません。日本向けでも参照している仕様の、発信元を直接読みにいく作業です。AIO(AI検索最適化。LLMOやGEOと呼ばれることもあります)としてやることの骨格は、市場が変わっても変わりません。
この章のまとめ
米国は主要なAI検索サービスの発祥地で、仕様を決めている会社が集まっています。だから対策も、その会社の公開資料を読むところから始まります。
02AI検索が広がっても、米国の検索の入口はGoogleのままなんですか?
高梨課長米国はAI検索が進んでいると聞きます。だとすると、Google向けの対策は優先度を下げてもいいんでしょうか。
鈴木さんそこは数字を見ると判断しやすくなります。米国でも、検索の入口はまだGoogleが大きいままなんですよ。
Statcounterの実測データで見ると、米国の検索エンジン市場は今もGoogleの寡占が続いています。2026年6月時点の全デバイス合算のシェアは、次のとおりです。
| 検索エンジン | シェア(2026年6月) |
|---|---|
| 86.67% | |
| Bing | 8.73% |
| Yahoo! | 2.55% |
| その他(DuckDuckGo・Yandex・Ecosiaなど) | 2.05% |
出典: Statcounter Global Stats(米国)
読み取れることは、はっきりしています。AI検索が話題の中心になっても、検索の入口そのものはGoogleが占めたままです。ここを見ずに「これからはAI検索だけ」と切り替えると、いま来ている流入の土台を自分で外すことになります。
もう1か所、米国ならではの特徴があります。Bingが8.73%と、他の地域に比べて高い水準にあることです。Microsoft製品との連携などが背景にあると考えられますが、一次情報での裏付けは確認できていません。社内で説明するときは、ここは「そう言われている」段階の話として、実測値と分けて扱ってください。
この章のまとめ
米国でも検索の入口はGoogleが86.67%。AI検索は入口を置きかえたのではなく、その上に重なっている段階です。
03米国では、AI検索はもう一部の人だけのものではないんですか?
入口がGoogleのままだとしても、その先の使われ方は動いています。Pew Research Centerが2026年2月17日〜23日に米国成人5,119人を対象に実施した調査から、主な数値を引きます。
- AIチャットボットを使ったことがある: 49%(2024年33%・2023年23%から増加)
- ChatGPTを使ったことがある: 44%(2025年34%・2023年18%から増加)
- 毎日使っている層: 約24%
- 検索結果の上部に出るAIの要約を読んだことがある: 60%(読んだことがない30%・わからない10%)
- 使いみちの上位は、情報収集42%・仕事関連のタスク38%(就業者のみ)・娯楽25%
出典: Pew Research Center(同調査は画像制作・医療アドバイスなど、他の項目も集計しています)
主要なAI検索サービスごとの違いは、別記事『AI検索エンジンの種類と使い分けまとめ』で比較表にまとめています。
この章のまとめ
利用経験は49%、毎日使う層は約24%。米国では、AIに質問すること自体が特別な行為ではなくなりつつあります。
04検索結果の上に出るAI要約は、米国のAI検索対策にどう効くんですか?
この調査でいちばん実務に効くのは、AIの要約を読んだことがあるという60%です。AI検索を意識して選んだ人ではなく、いつもの検索結果の上に出てきた要約を読んだ人が、6割にのぼるということです。
読んだことがない層は30%、わからないと答えた層は10%でした。つまり、AIの要約に触れているかどうかで見ると、触れている側がすでに多数派です。
ここが、米国向けのAI検索対策の出発点になります。特別な入口を通らなくても、AIがまとめた答えのほうが先に目に入る。だとすれば、その答えの中で自社が引用されるかどうかが、そのまま見え方を決めます。
この章のまとめ
AIの要約に触れた経験がある人が6割。答えの中で引用されるかどうかが、そのまま見え方を左右します。
05その数字は、AI検索最適化の判断材料としてどこまで使えるんですか?
大森部長会議に出す以上、数字の出どころは聞かれる。この数字は、どこまで信じていいんだ。
鈴木さんいい確認です。どちらも出典が公開されている数字ですが、そのまま裸で出さないほうが安全です。時点と対象を必ず添えてください。
海外市場の数字は、社内でひとり歩きします。「米国はAI検索が49%」とだけ書かれた資料は、いつの間にか別の意味に読み替えられます。次の3つを必ず一緒に書いてください。
①いつの数字かを書く。 シェアは2026年6月時点、利用状況は2026年2月17日〜23日の調査です。市場の数字は、時点が変われば動きます。
②誰を対象にした調査かを書く。 利用状況の数値は、米国成人5,119人を対象にした調査結果です。全世界の平均でも、特定業界の担当者の話でもありません。
③裏が取れていないことは、分けて書く。 たとえばBingのシェアが他地域より高い理由は、一次情報での裏付けが確認できていません。理由づけの部分だけ推測で埋めると、資料全体の信頼が落ちます。
この章のまとめ
市場データは、時点・調査対象・出典をセットで書く。裏が取れていない理由づけは、実測値と分けて書きます。
06米国発のAI検索サービスは、引用元のサイトをどう見ているんですか?
ここからが、この記事の中心です。米国のAI検索サービスは、サイト側が制御できる仕組みを公開しています。まずOpenAIは、用途ごとに異なる4種類のクローラーを運用しています。
| クローラー名 | 用途 | robots.txtでの制御 |
|---|---|---|
| OAI-SearchBot | ChatGPT検索での表示 | ブロックするとChatGPT検索に非表示 |
| GPTBot | AIモデルの学習データ収集 | ブロックすると学習データから除外 |
| OAI-AdsBot | 広告ランディングページの安全性検証 | 学習には不使用 |
| ChatGPT-User | ユーザーの質問に応じた個別ページ取得 | 自動巡回ではなくユーザー起点 |
出典: OpenAI Crawlers公式ドキュメント
大事なのは、役割ごとに名前が分かれているという点です。名前が分かれているということは、片方だけ断るという判断ができる、ということでもあります。
Anthropicも同じ考え方の設計を採っています。用意されているのは3種類です。学習データ収集用のClaudeBot、ユーザーの質問に応じて取得するClaude-User、検索インデックス用のClaude-SearchBotです。それぞれ個別のユーザーエージェント(クローラーが名乗る名前)で公開され、robots.txtでの選択的な許可・拒否に対応しています。
各クローラーの詳しい違いは、別記事『GPTBot・OAI-SearchBot・ChatGPT-User比較』で解説しています。Claude側の仕組みは、別記事『Claude Web Search APIの仕組みを理解する』にまとめています。
この章のまとめ
主要各社は、サイト側が用途ごとに判断できる形でクローラーを分けて公開しています。まずここを直接確認できます。
07Perplexityのやり方は、米国のAI検索対策とどう関係するんですか?
Perplexityは、少し違う角度から引用元との関係を設計しています。2025年8月に、月額5ドルのサブスクリプション「Comet Plus」を発表しました。
パブリッシャー(記事を出している媒体社)への対価が、3種類のトラフィックにもとづいて配分される仕組みです。対象とされているのは「人間による訪問」「AI検索での引用」「エージェントによる操作」の3つです。
注目したいのは、訪問だけでなく引用そのものが対価の対象に置かれていることです。クリックされなくても引用されれば価値がある、という考え方が、サービス側の設計に入り始めているという読み方ができます。
なお、還元の総額や配分比率については複数の報道で言及がありますが、一次情報での確認が取れていないため、この記事では数値を書きません。
この章のまとめ
引用そのものを対価の対象に置く設計も現れています。クリック以外の価値の測り方が動いている領域です。
08クローラーを全部止めると、うちのAI対策はどうなるんですか?
高梨課長社内には「AIに学習させたくない」という声もあります。まとめて止めるのが早いのでは、という意見なんですが。
鈴木さんお気持ちは分かります。ただ、まとめて止めると、検索の表示に使われる経路まで一緒に閉じてしまうんですよ。
前の章で見たとおり、クローラーは役割ごとに名前が分かれています。ということは、学習には使ってほしくないが、AI検索での表示は残したいという中間の判断ができます。
ところが実務では、この粒度を知らないまま一律にブロックしている例が見られます。その状態だと、ChatGPT検索やClaude検索の答えに自社が出てくる機会そのものを失います。閉じたつもりがなくても、結果は同じです。
米国向けのAI対策として、まず開くファイルがrobots.txtになるのはこのためです。何かを新しく作る前に、いま自分がどの窓を閉めているのかを確認する。順番としては、こちらが先です。
この章のまとめ
学習と検索表示は分けて判断できます。一律ブロックは、露出の機会そのものを閉じる選択になります。
09米国のAI規制は、AI検索対策の前提としてどう変わったんですか?
米国のAI規制は、2025年12月11日を境に連邦一元化の方向へ転換しました。この日、トランプ大統領が大統領令14365号に署名しています。正式名称は「Ensuring a National Policy Framework for Artificial Intelligence」です。
要点は3つです。
- 「50通りの矛盾した州法」ではなく、負担の軽い全国統一基準を志向する
- 司法長官の下にAI訴訟タスクフォースを新設し、連邦方針と矛盾する州法を提訴する
- 子どもの安全・データセンターインフラ・政府調達の3分野は、州の権限を維持する
出典: ホワイトハウス公式ページ
2026年3月20日には、この大統領令にもとづく議会向けの立法提言も公表されました。名称は「National Policy Framework for Artificial Intelligence」です。
方向性としては、EUのAI法のような包括的な事前規制とは対照的です。イノベーション優先・軽規制という立場が明確になっています。ただし、州法への提訴や議会審議の帰結は流動的で、この先の絵はまだ描き切れません。
実務の側から見るとき、押さえておきたい点がもう1か所あります。AIクローラーの活動そのものを直接規律する連邦法は、本稿執筆時点では存在しないということです。裏を返せば、サイト側が自分で決められる範囲が、いまのところ広いということでもあります。だからこそrobots.txtでの意思表示が効いてきます。
この章のまとめ
連邦は軽規制の方向へ動きました。クローラーを直接縛る連邦法は確認できず、サイト側の設定で決められる範囲が広い状態です。
10米国企業のAIO事例が見つからないのは、探し方が悪いんですか?
大森部長他社事例はどうだ。米国でうまくやっている会社の話があれば、社内は動きやすいんだが。
鈴木さん正直に申し上げると、そこは薄いです。企業自身が一次情報として成果を公表した事例は、確認できていません。
本稿執筆時点で、対象企業みずからが一次情報として成果を公表した事例は確認できていません。GEO(Generative Engine Optimization、生成AI検索向け最適化)の支援会社が、顧客事例として公表しているケースは存在します。ただし、こちらも数字の裏付けまで一次情報で確認できているわけではありません。
ここで大事なのは、事例が見つからないことと、取り組む価値がないことは別だという整理です。AI検索での引用は、順位のように第三者が外から測れる指標がまだ整っていません。だから公表しづらい事情も考えられます。
だからこの記事では、事例ではなく仕様を土台に置いています。運営会社が公開している資料は、誰でも同じものを読めます。社内を説得する材料としても、こちらのほうが長持ちします。
この章のまとめ
公表された成功事例はまだ薄い領域です。代わりに、誰でも同じものを読める公開仕様を土台にします。
11日本企業が米国向けにAI検索対策を始めるなら、何から確認しますか?
高梨課長話は分かりました。それで、うちが実際に着手するとしたら何から手をつければいいでしょうか。専任は置けません。
鈴木さん3つに絞りましょう。どれも、新しいツールを買わずに着手できます。
①クローラーを一括で許可・拒否しない。 OpenAI・Anthropicは、いずれも用途別に複数のクローラーを分けています。学習データの収集は断りつつ、検索表示は許可するという選択ができます。robots.txtの粒度を理解せずに一律ブロックすると、ChatGPT検索やClaude検索での露出機会そのものを失います。
②AI検索が普通に使われる前提で、書き方を整える。 米国成人の6割が、検索結果のAI要約を読んだ経験があると回答しています。米国向けのコンテンツでも、抜き出しても意味が通る定義文と、構造化データの整備が前提になります。この考え方の全体像は、別記事『AIOとは何か』で解説しています。
③規制動向は、変わる前提で見にいく。 連邦レベルでは軽規制の路線ですが、州法との攻防や議会審議の行方で前提が変わり得ます。担当を決めて、継続的に見る形にしてください。
この章のまとめ
着手は3つ。robots.txtの粒度確認、抜き出せる書き方と構造化データ、規制動向の定点観測です。
12よくある質問
米国は日本よりAI検索対策が進んでいますか?
AI検索サービス自体の開発では米国が先行していますが、「対策が進んでいる」かどうかは指標次第です。Googleへの依存度は日本と同様に高く、AIチャットボットの利用経験も49%と、まだ半数程度にとどまります。技術標準の策定で先行している、という理解が実態に近いといえます。
米国のクローラー制御は、Googleとどう違うんですか?
OpenAIやAnthropicは、学習用・検索表示用・ユーザー起点用のクローラーを、個別のユーザーエージェント名で公開しています。robots.txtで用途ごとに許可・拒否を選べる設計です。単一クローラーが中心のGooglebotとは、求められる制御の粒度が異なります。
米国向けにコンテンツを出す日本企業は、まず何をすべきですか?
まずOpenAI・Anthropicのクローラー一覧を確認し、自社のrobots.txtの設定が意図どおりかを点検することが出発点です。そのうえで、抜き出しても意味が通る定義文や構造化データといったAIOの基本設計を、英語コンテンツにも適用していきます。
AI検索が広がっても、Google向けの対策を続ける必要はありますか?
米国の検索エンジンシェアはGoogleが86.67%です(Statcounter、2026年6月)。入口が置きかわったわけではないため、既存の検索対策を外す判断は、いま来ている流入の土台を手放すことになりかねません。
米国のAIO事例を社内資料に載せたいのですが、どこから探せばいいですか?
企業自身が一次情報として成果を公表した事例は、本稿執筆時点で確認できていません。事例の代わりに置けるのは、OpenAI・Anthropicの公開仕様と、Statcounter・Pew Research Centerの実測データです。ここを根拠にすれば、出どころのはっきりした資料になります。
13まとめ|米国のAI検索対策で、今日確認する3つ
米国のAI検索対策は、現地の成功事例を探すことから始まりません。AI検索サービスを運営する会社が公開している仕様を読み、自社サイトの設定と照らし合わせるところから始まります。
検索の入口は今もGoogleが86.67%。その上でAIチャットボットの利用経験が49%、AIの要約を読んだ経験が60%まで広がっている。これが実測データから見える米国の現在地です。規制は軽い方向へ動きましたが、クローラーを直接縛る連邦法は確認できていません。だからこそ、サイト側の設定が効きます。
もう一度、今日確認する3つ
robots.txtを開く
OpenAI・Anthropicのクローラーを、用途ごとに意図どおり扱えているか確認します
書き方を整える
抜き出しても意味が通る定義文と、構造化データを英語コンテンツにも適用します
見る担当を決める
規制と各社の仕様は動きます。棚卸しではなく定点観測にします
AI検索では、こう聞かれています
米国のAI検索対策は、日本向けの対策と何が違うんですか?
「米国のAI検索対策って、日本と何がそんなに違うんですか?」の章で、変わらないことと増えることを比較しています
米国でAI検索はどれくらい使われているんですか?
「米国では、AI検索はもう一部の人だけのものではないんですか?」の章に、調査の実測値をまとめています
米国向けにサイトを出すとき、robots.txtは何を確認すればいいですか?
「クローラーを全部止めると、うちのAI対策はどうなるんですか?」の章と、まとめの手順で答えています
米国のAI規制はどう変わったんですか?
「米国のAI規制は、AI検索対策の前提としてどう変わったんですか?」の章で時系列に整理しています
次に読むなら、この記事です