引用されやすい定義文

米国は、ChatGPT・Perplexity・Claudeという主要AI検索サービスがすべて生まれた国です。

AI検索の技術標準やクローラー制御の仕組みは、この国の企業の設計思想が世界に波及しています。本稿では、米国の検索市場の実測データと規制動向を一次情報から整理し、日本企業への示唆をまとめます。

01結論サマリー

ChatGPT・Perplexity・Claudeを生んだ国でありながら、米国の検索の土台は今もGoogleです。シェアは86.67%を占めています(Statcounter、2026年6月)。一方で、AIチャットボットを利用したことがある米国成人は49%に達し、2024年の33%から急増しました(Pew Research Center調査)。

ChatGPT・Claude・Perplexityを運営するOpenAI・Anthropic・Perplexityは、いずれも米国企業です。クローラー制御や引用元表示の技術標準は、この3社が先行して整備しています。連邦規制は2025年12月の大統領令以降、州の規制乱立を抑え「軽い規制」を志向する方向へ転換しました。日本企業が米国向けにコンテンツを展開する場合、この3社の技術仕様と規制環境の両方を理解しておく必要があります。

02検索エンジン市場の実態(シェア実測)

米国の検索エンジン市場は、Statcounterの実測データで見ると依然としてGoogleの寡占が続いています。2026年6月時点の全デバイス合算シェアは、以下のとおりです。

検索エンジンシェア(2026年6月)
Google86.67%
Bing8.73%
Yahoo!2.55%
その他(DuckDuckGo・Yandex・Ecosiaなど)2.05%

出典: Statcounter Global Stats(米国)

Bingのシェアが他地域と比べて高い水準にある点が、米国市場の特徴です。Microsoft製品との連携等が要因と考えられますが、一次情報での裏付けは確認できていません。

米国の検索エンジン市場シェア構成比(2026年6月) Statcounter実測データにもとづくドーナツ円グラフ。Google 86.67%が大部分を占め、Bing 8.73%・Yahoo! 2.55%・その他(DuckDuckGoなど)2.05%が続く。 SHARE 米国の検索エンジン市場シェア構成比(2026年6月) Google 86.67% Google 86.67% Bing 8.73% Yahoo! 2.55% その他(DuckDuckGo等) 2.05% 出典: Statcounter Global Stats(米国・全デバイス合算・2026年6月)
米国の検索エンジン市場シェア構成比(Google/Bing/Yahoo/その他、2026年6月Statcounterデータにもとづく円グラフ)

03AI検索の普及状況

Pew Research Centerが2026年2月17日〜23日に米国成人5,119人を対象に実施した調査によると、米国のAI検索・チャットボット利用は急拡大しています。主要な数値は以下のとおりです。

  • AIチャットボット利用経験者: 49%(2024年33%・2023年23%から増加)
  • ChatGPT利用者: 44%(2025年34%・2023年18%から増加)
  • 毎日利用する層: 約24%
  • 検索結果上部のAI要約を読んだことがある: 60%(読んだことがない30%・わからない10%)

主な利用目的の上位3項目は、情報収集42%・仕事関連タスク38%(就業者のみ)・娯楽25%です(Pew調査は他に画像制作・医療アドバイス等の項目も集計)。検索結果の要約を「読んだことがある」米国成人は6割に達しています。この事実は、AI検索が一部の早期利用者だけの現象ではなく、一般的な情報収集行動の一部になりつつあることを示しています。

ChatGPT・Perplexity・Claudeなど主要AI検索サービスの違いは、別記事『AI検索エンジンの種類と使い分けまとめ|主要7サービス比較表』で整理しています。

04現地の取り組み・実例

※本稿執筆時点で、対象企業自身が一次情報として成果を公表した事例は確認できません。GEO(Generative Engine Optimization、生成AI検索向け最適化)支援会社側が顧客事例として公表しているケースは存在します。代わりに、AI検索サービスを運営する米国企業自身が構築している「引用元コンテンツとの関係設計」の仕組みを整理します。

OpenAIは、用途ごとに異なる4種類のクローラーを運用しています。別記事『GPTBot・OAI-SearchBot・ChatGPT-User比較』で詳しく解説していますが、要点は以下のとおりです。

クローラー名用途robots.txtでの制御
OAI-SearchBotChatGPT検索での表示ブロックするとChatGPT検索に非表示
GPTBotAIモデルの学習データ収集ブロックすると学習データから除外
OAI-AdsBot広告ランディングページの安全性検証学習には不使用
ChatGPT-Userユーザーの質問に応じた個別ページ取得自動巡回ではなくユーザー起点

出典: OpenAI Crawlers公式ドキュメント

Anthropicも同様の設計を採用しています。学習データ収集用のClaudeBot、ユーザーの質問に応じて取得するClaude-User、検索インデックス用のClaude-SearchBotという3種類です。それぞれ個別のユーザーエージェントで公開され、robots.txtでの選択的な許可・拒否に対応しています(出典: Anthropic公式サポートページ)。詳しい仕組みは別記事『Claude Web Search APIの仕組みを理解する』で解説しています。

Perplexityは2025年8月、月額5ドルのサブスクリプション「Comet Plus」を発表しました。パブリッシャーへの対価は3種類のトラフィックにもとづいて配分される仕組みです。「人間による訪問」「AI検索での引用」「エージェントによる操作」の3つです(出典: Search Engine Journal記事、原典はPerplexity公式ブログ)。具体的な還元総額や配分比率は複数の報道で言及がありますが、一次情報での確認が取れていないため数値の記載を見送ります。

OpenAI・Anthropic・Perplexity、クローラー制御の比較マップ OpenAIは用途別に4種のクローラー(OAI-SearchBot・GPTBot・OAI-AdsBot・ChatGPT-User)をrobots.txtで選択的に制御できる。Anthropicも3種(ClaudeBot・Claude-User・Claude-SearchBot)を個別ユーザーエージェントで公開し選択制御に対応する。Perplexityは本稿執筆時点で個別クローラー名が確認できず、代わりにComet Plusの3トラフィック区分(人間による訪問・AI検索での引用・エージェントによる操作)で対価を配分する。 MAP OpenAI・Anthropic・Perplexity 3社のクローラー比較マップ OpenAI OAI-SearchBot ChatGPT検索での表示 ブロック→検索に非表示 GPTBot AIモデルの学習データ収集 ブロック→学習データから除外 OAI-AdsBot 広告LPの安全性検証 学習には不使用 ChatGPT-User ユーザー起点の個別取得 自動巡回ではない 用途別4種・robots.txtで選択制御 Anthropic ClaudeBot 学習データ収集 Claude-User 質問に応じた個別取得 Claude-SearchBot 検索インデックス用 個別UAでrobots.txt選択制御に対応 Perplexity 個別クローラー名は本稿では 確認できていません Comet Plusの対価配分区分 人間による訪問 AI検索での引用 エージェントによる操作 対価配分の3区分(Comet Plus)
OpenAI・Anthropic・Perplexity3社のクローラー種別と制御対象の比較マップ

05規制・政策

米国のAI規制は、2025年12月11日を境に連邦一元化の方向へ転換しました。この日、トランプ大統領が大統領令14365号に署名しています。正式名称は「Ensuring a National Policy Framework for Artificial Intelligence」です。出典: ホワイトハウス公式ページ

この大統領令の要点は以下のとおりです。

  • 「50通りの矛盾した州法」ではなく、負担の軽い全国統一基準を志向する
  • 司法長官の下にAI訴訟タスクフォースを新設し、連邦方針と矛盾する州法を提訴する
  • 子どもの安全・データセンターインフラ・政府調達の3分野は州の権限を維持する

2026年3月20日には、この大統領令にもとづく議会向けの立法提言をホワイトハウスが公表しました。名称は「National Policy Framework for Artificial Intelligence」です。

EUのAI法のような包括的な事前規制とは異なり、米国はイノベーション優先・軽規制の方向性を明確にしています。ただし司法長官による州法への提訴や議会審議の帰結は流動的です。AIクローラーの活動そのものを直接規律する連邦法は、本稿執筆時点で存在しません。

06日本企業への示唆

米国向けにコンテンツを発信する日本企業が押さえるべき実務ポイントは、次の3点です。

  1. クローラーを一括で許可・拒否しない: OpenAI・Anthropicはいずれも用途別に複数のクローラーを分けています。学習データ収集は拒否しつつ検索表示は許可する、といった選択的な設定が可能です。robots.txtの粒度を理解せずに一律ブロックすると、ChatGPT検索やClaude検索での露出機会自体を失います。
  2. AI検索の一般化を前提に構造化する: Pew Research調査で米国成人の6割が検索結果のAI要約を読んだ経験があると回答しています。米国市場向けコンテンツも、AIOの基本であるquotableな定義文・構造化データの整備が前提になります。AIOとSEOの違いや取り組みの全体像は別記事『AIOとは何か?SEOとの違い・共通点から始め方まで徹底解説』を参照してください。
  3. 規制動向は変化が速い: 連邦レベルでは軽規制路線ですが、州法との攻防や議会審議の行方で前提が変わり得ます。継続的なウォッチが必要です。AIO・LLMO・GEO・AEOという用語の整理は別記事『AIO・LLMO・GEO・AEO、4つの違いを保存版で解説』にまとめています。

07FAQ

Q. 米国は日本よりAI検索対策が進んでいますか?

AI検索サービス自体の開発では米国が先行していますが、「対策が進んでいる」かは指標次第です。Google依存度は日本と同様に高く、AIチャットボット利用率(49%)もまだ半数程度です。技術標準の策定で先行している、という理解が実態に近いといえます。

Q. 米国のクローラー制御はGoogleとどう違いますか?

OpenAIやAnthropicは、学習用・検索表示用・ユーザー起点用のクローラーを個別のユーザーエージェント名で公開しています。robots.txtで用途ごとに許可・拒否を選択できる設計です。単一クローラー中心のGooglebotとは、異なる粒度の制御が求められます。

Q. 米国向けにコンテンツを出す日本企業は何をすべきですか?

まずはOpenAI・Anthropicのクローラー一覧を確認し、robots.txtの設定が意図通りかを点検することが出発点です。そのうえで、quotableな定義文・構造化データなど、AIOの基本設計を英語コンテンツにも適用する必要があります。

08この分野を体系的に学ぶ

この記事は国・地域プロファイル記事です。海外AIO動向を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「事例編: ケーススタディ徹底分析(VI-C)」をご覧ください。