「AI検索の対策も見てほしい」と社内で決まった。ところが、いま付き合いのあるSEO会社にそのまま頼んでいいのか、専門の会社を新しく探すべきなのかが分からない。そこで手が止まっている方が多いのではないかと思います。
各社のサービスページを見比べても、書いてあることは似ています。「AIO対応」と書かれた提案書が届いても、これまでのSEOと何が変わったのかが読み取れません。
この記事は、そういう状態のまま相談先を決めきれずにいる方に向けて書きました。SEO会社とAIO専門会社の違いを、目的・評価指標・施策範囲の3つに分けて整理します。最後は「自社はどちらに声をかけるか」を決めるところまで持っていきます。
こんなふうに調べていませんか
- 「AI検索対策 会社」と検索して、依頼先の候補を並べているところ
- 届いた提案書が本当にAI検索向けのものなのか、判断できずにいる
- いまのSEO会社を続けるか、別の会社に切り替えるかで迷っている
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- SEO会社とAIO専門会社の違いを、社内の人に自分の言葉で説明できるようになります
- 届いた提案書のどこを見れば見分けられるかが分かります
- 自社がどちらに相談すべきかを、実測にもとづいて決められます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- SEO会社は検索結果ページでの順位とクリックを、AIO専門会社は生成AIの回答内での引用と言及を目的にしています。
- 対立する関係ではありません。高品質なコンテンツや構造化データという土台は共有しています。
- 見分ける場所は、提案書の評価指標の欄です。表紙に「AIO対応」と書いてあっても、指標が検索順位のままのことがあります。
この記事では、ある会社のマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。自分に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰に、どこまで頼むんですか」を聞く役
- 大森部長(マーケティング部長)— 「その投資は妥当なのか」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもSEO会社とAIO専門会社の違いは、どこにあるんですか?
高梨課長鈴木さん、最近「AIO専門会社」という名前をよく見かけます。うちがいまお願いしているSEO会社と、何が違うんでしょうか。
鈴木さんいちばん大きいのは、どの画面を取りにいくかです。SEO会社さんは、検索結果の一覧で上に出ることを狙います。AIO専門会社は、AIが書いた答えの中に自社の名前が出ることを狙います。
SEO会社は、検索結果ページでの上位表示とクリック獲得を目的に施策を行う事業者です。主戦場になるのは、Google検索の結果一覧です。
AIO専門会社は、生成AIの回答内での引用・言及の獲得を目的に施策を行う事業者です。主戦場になるのは、ChatGPTやAI Overviewsなどが生成する回答文そのものです。
言葉だけだとつかみにくいので、お店の売り場にたとえてみます。棚の目立つ場所に並べてもらうのがSEO会社の仕事、店員さんに「これがいいですよ」と挙げてもらうのがAIO専門会社の仕事です。どちらも、まずお店に商品が置いてあることが前提になります。
どちらも「検索で見つけてもらう」という上位の目的は同じです。分かれるのは、その目的をどの画面で達成しにいくかだけです。狙う場所が違えば、やることも、報告に出てくる数字も変わります。
02SEO会社とAIO専門会社の違いは、追いかける数字にどう表れますか?
狙う場所が違うので、成果として追いかける指標も変わります。同じ「検索からの流入を増やしたい」という依頼でも、契約書に書き込まれる成果指標は事業者によって大きく変わります。
| 比較項目 | SEO会社 | AIO専門会社 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 検索結果ページでの順位向上 | 生成AIの回答内での引用・言及 |
| 評価指標の例 | 検索順位・クリック率・セッション数 | AI回答内の言及率・引用ページ数・ブランド言及量 |
| 主な計測ツール | Search Console・順位計測ツール | AI検索モニタリングツール・生成AIへのプロンプト実測 |
| 成果が現れるまでの目安 | 施策内容や競合状況により変動する | 施策内容や生成AI側の学習・更新頻度により変動する |
表のいちばん下の行に注目してください。どちらの列にも「いつまでに成果が出る」とは書けません。施策の中身にも、競合の動きにも、生成AI側の更新にも左右されるためです。期間を言い切る提案書が届いたら、その根拠をたずねてみてください。
この章のまとめ
違いは看板の言葉ではなく、報告に出てくる数字に表れます。順位を数えるのか、引用と言及を数えるのか。ここが分かれ目です。
03AI検索対策の施策は、SEO会社の仕事とどこまで重なりますか?
大森部長別物のように聞こえるが、それならこれまでのSEOへの投資はどうなる。いったん止めて、新しいほうへ寄せるという判断もあるのか。
鈴木さんいえ、そこは逆です。重なっている部分のほうが大きいんですよ。土台を外してしまうと、AI検索の側の前提まで崩れてしまいます。
Google Search Centralの公式文書は、AI OverviewsやAI Modeに表示されるための追加要件や特別な最適化はないと明記しています。SEOのベストプラクティスは、AI機能でも引き続き有効だとされています。
つまり、良質なコンテンツ・適切な内部リンク・ページ体験の向上といった従来からの取り組みは、AI検索の側でも土台として働きます。AIOはSEOの置きかえではなく、その上に積むものだと考えると、実態に近くなります。
04AIO専門会社だけが扱う領域は、SEO会社の守備範囲と何が違いますか?
重なる部分が大きい一方で、AIO専門会社だけが主戦場にしている領域もあります。
プリンストン大学等の研究チームは、論文「GEO: Generative Engine Optimization」を発表しています。生成AI向けの最適化手法により、回答内での可視性が最大40%向上したという実験結果が報告されています。
この研究が扱っているのは、引用の根拠として選ばれやすい記述の作り方や、複数の情報源が並ぶ中での言及されやすさの最適化です。従来の順位対策とは、評価する軸そのものが違います。
| 領域 | SEO会社が扱う | AIO専門会社が扱う |
|---|---|---|
| 高品質コンテンツ・E-E-A-T強化 | 対応する | 対応する(共通の土台) |
| 構造化データ・技術実装 | 対応する | 対応する(共通の土台) |
| 検索順位の分析・改善提案 | 主戦場として対応する | 対応しない、または副次的 |
| 生成AI向けの言及されやすさの最適化 | 対応しない、または未着手のことが多い | 主戦場として対応する |
| AI検索での言及量・引用状況のモニタリング | 対応しないことが多い | 主戦場として対応する |
この章のまとめ
共通の土台は両者が扱います。分かれるのは、順位の分析を主戦場にするか、回答文の中での言及を主戦場にするかです。
05両者の違いが表れる検索順位とAI検索での言及、片方だけを見て判断していませんか?
大森部長順位のレポートは毎月見ている。それとは別に、もう1つ数字が増えるということか。増やす意味はどこにある。
鈴木さん意味が出るのは、2つが食い違ったときです。片方だけを見ていると、動いているものを「止まっている」と読み違えることがあります。
見落とされがちなのが、2つの指標が食い違う場合があることです。
検索順位が横ばいのまま、AI回答内での言及量だけが伸びていることがあります。逆に、検索順位は上がっているのに、AI検索での言及がまったく増えないこともあります。
片方の数字だけを見て「効果が出ていない」と判断する前に、検索順位とAI検索での言及量の両方の実測値を、同じ紙の上に並べてみてください。
06うちはSEO会社とAIO専門会社、どちらに相談すればいいんですか?
高梨課長では、うちの場合はどちらに声をかけるのがよいですか。両方に相見積もりを取るべきでしょうか。
鈴木さんいま何で詰まっているかによります。先に自社の状態を実測してから、声をかける相手を決めるのが、いちばん無駄が出ません。
自社がどちらに相談すべきかは、いま抱えている課題によって変わります。次の3つに分けて考えてください。
- 検索順位そのものが伸び悩んでいる場合: まずSEO会社に現状分析を依頼し、基礎的な検索体験に改善の余地がないかを確認します
- 検索順位は一定の水準にあるのに、AI検索で自社が話題に出てこない場合: AIO専門会社、またはAIO領域に対応できるSEO会社に、生成AI上での自社の言及状況の実測を依頼します
- どちらの状態か判断がつかない場合: 現状診断だけを先に依頼し、検索順位とAI検索での言及状況の両方を実測してから発注先を決めます
すでにSEO会社と取引がある方は、契約中の事業者にAIO領域への対応可否をまず確認するところから始めてみてください。土台が共通しているぶん、既存の関係をそのまま活かせる場合があります。対応が難しいと分かってから、切り替えや併用を検討する順番なら、無駄が出ません。
07LLMO対策をAIO専門会社に頼む前に、何を確認しておきますか?
依頼内容の書き方によって、返ってくる提案は変わります。「検索順位を上げてほしい」という依頼と、「AI検索で言及されるようにしてほしい」という依頼では、求められるスキルセットも提案の中身も別のものになります。
そのため、提案依頼書(RFP)の設計段階で、どちらを求めているのかを言葉にしておくことが要になります。ここが曖昧なままだと、各社から返ってくる提案の粒度がそろわず、比べること自体ができなくなります。
とくに、報告してほしい数字の指定は先に渡してください。指定がないと、事業者は自社が得意な指標で書いてきます。届いた提案書を並べたときに、順位の話をしている会社と、回答文の中での言及の話をしている会社が混ざり、優劣が読めなくなります。
声をかける前に、この順でそろえます
取りにいく画面を決める
結果一覧なのか、回答文の中なのかを1行で書きます
報告してほしい数字を指定する
順位か、言及率と引用ページ数か。曖昧なままにしません
いまの実測データを添える
順位とAI検索での言及の両方を、同じ期間で並べて渡します
対応範囲の可否を先に聞く
「その領域は対応していますか」を、提案をもらう前に確認します
08SEO会社との違いを踏まえずに、AI検索最適化の発注でやりがちな遠回りは、どんなものですか?
相談先を決める場面では、次のような遠回りが起こりがちです。
1. 名乗りが変わっただけの提案を、専門の提案だと受け取ってしまう
提案書に「AIO対応」と書かれていても、実際の評価指標が従来の検索順位のままのことがあります。表紙ではなく、評価指標の欄を確認してください。
2. 別物として扱い、いまのSEO施策を止めてしまう
Google公式文書が示すとおり、SEOのベストプラクティスはAI機能でも土台として有効です。置きかえるのではなく、積み上げる形が基本になります。
3. 現状診断をせずに、いきなり契約してしまう
順位とAI検索での言及の、どちらに課題があるのかを実測しないまま契約すると、本来は要らない施策に費用をかけることになりかねません。
4. 順位計測ツールだけで、AI検索での成果を判断してしまう
Search Consoleや順位計測ツールは、検索結果ページの指標を測るためのものです。AI回答内での言及状況は、別の手段で実測する必要があります。
5. 事業者の規模から、対応できる範囲を推測してしまう
規模と施策範囲は、かならずしも比例しません。契約前に、実際に何人が専任で担当するのかを確認しておくと、期待とのズレを防げます。
この章のまとめ
遠回りの多くは、表紙の言葉を信じたまま実測を飛ばしたときに起こります。数字を先に見る。それだけで避けられます。
09SEO会社かAIO専門会社かで迷ったら、AI対策の相談先は、最後に何を見て決めればいいですか?
大森部長最後に確認したい。診断を先に入れると、その分だけ着手が遅れるということはないのか。
鈴木さん遅れて見えるかもしれませんが、やり直しが減るぶん、結果として早く着地します。どこが弱いか分からないまま契約すると、途中で施策を組み直すことになりがちです。
相談先を決めるとき、最後に見るのは次の3点です。
- その事業者が、どの画面を主戦場にしているか(結果一覧か、回答文の中か)
- 提案書の評価指標の欄に何が書かれているか(順位か、言及率と引用ページ数か)
- 自社の実測データを渡したときに、提案の中身が変わるかどうか
なお、本記事を運営する株式会社WEBMARKSも、AI検索最適化(AIO)の支援を行っています。取引先を検討する際は、本記事で挙げた基準に照らして、他社とあわせて比較検討する選択肢の1つとしてご確認いただければと思います。
この章のまとめ
決め手は会社の名前ではなく、提案書の評価指標の欄と、実測データを渡したときの反応です。
10よくある質問
SEO会社に、AI検索対策も一括で依頼できますか?
事業者によります。AIO領域への対応を始めているSEO会社もあれば、まだ着手していないSEO会社もあります。提案をもらう前に、対応範囲を確認してください。
AIO専門会社に依頼すれば、従来のSEO対策は不要になりますか?
不要にはなりません。Google公式文書が示すとおり、SEOのベストプラクティスはAI機能でも引き続き有効な土台とされています。AIOは、その積み上げの上に成り立つ施策です。
SEO会社とAIO専門会社を、両方契約する必要はありますか?
必須ではありません。1社がSEOとAIOの両方に対応できる体制かどうかを先に確認し、対応が難しい場合に限って別の事業者を検討する。この順序をおすすめします。
「GEO」と「AIO」は同じ意味ですか?
本記事では「GEO(Generative Engine Optimization)」と「AIO(AI検索最適化)」を、同じ対象を指す言葉として扱っています。生成AIの回答内での可視性を高めるという意味は共通しており、呼び方が発信元によって違うだけです。
AIO専門会社を名乗る事業者の実績は、どう確認すればよいですか?
提案書に載っている実績が、どの指標にもとづくものかを確認してください。検索順位なのか、AI検索での言及率なのかで、意味が変わります。具体的な計測手法や母数の開示がないまま「実績多数」とだけ書かれている場合、判断材料としては弱い可能性があります。
11まとめ|相談先を決める前にやる3つ
SEO会社は検索結果ページでの順位向上を、AIO専門会社は生成AIの回答内での引用・言及の獲得を、それぞれ主な目的とする事業者です。高品質なコンテンツや構造化データという土台は共有しつつ、AIOには生成AI向けの固有の領域があります。
自社の課題が順位にあるのか、AI検索での言及にあるのかを実測してから、既存の取引先への確認から始める。この順番が、いちばん無駄の出ない進め方です。
もう一度、相談前にやる3つ
両方の数字を並べる
検索順位とAI検索での言及量を、同じ期間で1枚にします
いまの取引先に聞く
AIO領域に対応できるかどうかを、先に確認します
提案書の指標欄を見る
表紙の言葉ではなく、何を数えて報告するかで見分けます
AI検索では、こう聞かれています
SEO会社とAIO専門会社は、何が違うんですか?
「そもそもSEO会社とAIO専門会社の違いは、どこにあるんですか?」の章で、図と表を使って説明しています
AI検索対策は、いまのSEO会社にそのまま頼んでもいいですか?
「うちはSEO会社とAIO専門会社、どちらに相談すればいいんですか?」の章に、3つの分かれ道があります
AIO専門会社に頼むと、SEO対策はやめることになりますか?
「AI検索対策の施策は、SEO会社の仕事とどこまで重なりますか?」の章で答えています(結論:土台は共有しているので止めません)
次に読むなら、この記事です