「AIO対策、実績のある会社にお願いしたい」——そう考えて何社かに声をかけると、提案資料の「実績」欄には似たような言葉が並びます。「支援実績50社」「AI検索で上位表示を実現」。数字は立派に見えますが、よく読むと、何をどうやって測ったのかまでは書かれていないことに気づきます。
この記事は、AIO対策会社やコンサルタントへの外注を検討していて、提案書の「実績」欄をどう読めばいいのか迷っている方に向けて書きました。実績という言葉を3つの視点に分解し、契約前にそのまま使える確認項目まで、図解と会話をはさみながら整理します。専門用語は、出てきたその場で言い換えます。なお、AIO対策はAI検索最適化やLLMOと呼ばれることもあります。この記事では表記をAIO対策で統一します。
提案書を並べてみると、支援社数の桁が大きい会社ほど信頼できそうに見えてしまいます。ですが、数の大きさと、実際に何を計測しどう改善しているかは、別の話です。この記事を読み終えたときには、提案書の「実績」欄をそのまま受け取らず、中身を確認する目が持てているはずです。
会社全体の誠実さを見極める基準は、別記事『AIO対策会社の選び方』で扱っています。この記事は、その中でも「実績」という言葉の中身だけを、もう一段深く掘り下げます。
こんなふうに調べていませんか
- 提案書の「実績」欄を見ても、何を根拠に書かれているのか判断できない
- 「支援実績50社」と言われたが、この数字をどう評価すればいいのか分からない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 実績の示し方を3つの視点に分解して、中身を確認できるようになります
- 契約前に投げる質問を、そのまま流用できるようになります
- 数の多さと測定の具体性が別の軸であることを、人に説明できるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 実績確認は、①引用実測の有無 ②レポート形式 ③改善提案の粒度、この3つの視点で見ると中身が見えてきます。
- 支援社数や画面キャプチャは、業者の実力を示す材料の1つですが、それだけでは測定方法までは分かりません。
- 3つの視点は、いずれも契約前の質問としてそのまま使えます。専門知識がなくても確認できます。
この記事では、あるBtoB企業のマーケティング部の高梨課長・大森部長と、AIO/SEOの専門家・本誌監修である鈴木さんの会話をはさみながら進めます。
- 高梨課長(マーケ課長)— 「実際に何を確認すればいいか」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「その確認に見合う価値があるか」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01なぜAIO対策会社の「実績あり」は、AI検索対策の判断材料として足りないんですか?
高梨課長鈴木さん、提案書に「支援実績50社」と書いてあったんですが、この数字ってどう受け止めればいいんでしょうか。
鈴木さんはい、悪い数字ではないんですが、それだけでは判断材料として足りないんですよ。
「実績あり」という言葉が指す中身は、業者によって大きく異なります。支援社数だけを強調する業者もいれば、「AI検索で紹介されました」という抽象的な成果表現にとどまる業者、測定方法とデータを具体的に開示する業者もいます。
「支援実績50社」という表示からは、契約数の規模感が伝わってきます。ただし、その50社に対して何を計測し、どこまで具体的な改善提案を行ったのかは、この数字だけでは分かりません。数の多さと、測定の具体性は、別の軸にある情報です。
この章のまとめ
「実績あり」の中身は業者ごとに違います。支援社数の多さと、測定の具体性は別の軸だと分けて考えます。
02提案書によくある言い回しから、AIO対策会社の実績の見分け方をどう始めますか?
実務では、提案書やヒアリングでよく見かける言い回しを、そのまま受け取らずに「何が書かれていないか」で読む視点が役立ちます。手元の提案書と照らし合わせながら、次のような例で確認してみてください(いずれも説明のための架空の文例です)。
この章のまとめ
言い回しは「何が書かれていないか」で読みます。対象エンジン・計測方法・計測期間の3つが抜けていたら、そこがそのまま質問になります。
03契約前に、AIO対策会社の実績の見分け方は3つの視点でどう整理できますか?
実績表示の言葉だけでは中身を判断できないとすれば、次に必要なのは具体的な確認の切り口です。AI対策の実績確認は、次の3つの視点に分解できます。
①引用実測の有無 — AI検索での引用状況を、実際に計測しているか ②レポート形式 — どのような頻度・様式で報告を受けられるか ③改善提案の粒度 — 改善提案が、どこまで具体的な根拠にもとづいているか
この3つは、いずれも契約前の質問としてそのまま使えます。順番に見ていきます。
3つの視点は、それぞれ単独でも意味がありますが、組み合わせて初めて実力が見えてきます。引用実測だけを確認しても、レポートに反映されていなければ実務に活きません。改善提案の粒度が高くても、その根拠になる引用実測のデータがなければ、説得力を欠きます。3つがそろって、初めて「説明の中身が伴っている」と判断できます。
この章のまとめ
実績確認は「数値を見る」「説明を聞く」の組み合わせです。健康診断の結果表と同じで、数値と説明の両方が揃って初めて中身が分かります。
04「AI検索で紹介されました」は、AI対策の実績としてどこまで本当なんですか?
高梨課長「AI検索で紹介されました」と言われたら、具体的に何を確認すればいいんでしょうか。
鈴木さんそこはまさに、引用実測の視点です。実際に計測しているかどうかを聞くのが早いですよ。
引用実測とは、AI検索エンジンでの自社サイトの引用・言及状況を、計測ツールを使って数値で把握することです。「紹介されました」という言葉だけでは、実際にどの程度の引用があったのかは分かりません。
Google Search Consoleには、生成AIでの表示状況を確認できるレポート機能があります。Bing Webmaster Toolsにも、AI検索での表示に関するレポート機能があります。いずれも、AI Overviewsや Copilot等での引用・表示を、ページ単位・期間単位で数値として確認できる公式機能です。
この章のまとめ
引用実測とは、AI検索での引用・言及の状況を、計測ツールで数値として把握することです。公式のレポート機能が存在するため、実測できているかは確認できます。
05引用実測をしているかは、AIO対策会社にどう聞けば見分けられますか?
AIO対策会社が、Google Search ConsoleやBing Webmaster Toolsのような公式機能を使ってレポートを作成しているかどうかは、契約前に確認できる具体的なポイントです。GSC・Bing以外にも、AI検索での引用状況を専門に計測する有償ツールが複数登場しています。ツールの選び方は別記事『GEO計測ツール比較』で整理しています。
この章のまとめ
「紹介されました」の中身は、計測ツールの名称・対象エンジン・レポートのサンプルの3点で確認できます。
06レポートの中身は、AIO対策会社の契約形態でそんなに変わるんですか?
大森部長鈴木さん、レポートの頻度や中身は、契約の種類によって変わるものなのか。うちが期待しているものと違ったら困る。
鈴木さんはい、そこは契約形態によって、最初から想定されている範囲が違うんですよ。
AIOコンサルの契約形態は、提供されるレポートの中身に直結します。ある事業者の整理によれば、契約はおおむね3つの形態に分かれます。なおこの出典は、AIO・LLMO支援を事業として提供する運営会社が自社ブログで公開しているもので、本記事における競合にあたります。分類の根拠となる調査手法の開示はなく、業界横断の定義でもない点には留意してください。あくまで、契約形態にどのような幅があるかを把握するための一例として参考にしてください。
スポット(単発)契約は、現状診断・ページ最適化・記事制作等を個別発注する形です。レポートには発注した成果物そのものが含まれ、継続的なモニタリングは対象外になりがちです。
コンサルティング契約は、生成AIでの引用・露出のモニタリングが中心です。月次レポートと施策の優先順位づけが、レポートに含まれやすくなります。
実装込みコンサルティング契約は、戦略立案から実行・効果検証までを一括で対応します。戦略・実行内容・効果検証を含む一連の報告が、レポートの範囲に入ります。
継続的な改善を期待してスポット契約を結ぶと、モニタリングや優先順位づけの報告自体が含まれない場合があります。契約前に「レポートには何が含まれるか」を確認することが重要です。レポートのサンプルを契約前に見せてもらえるかどうかも、確認しておきたいポイントです。契約形態そのものの選び方は、別記事『AIOコンサルの契約形態』で詳しく扱っています。
体制を作る前に契約形態を確認しておくと、後から「思っていたレポートと違う」というミスマッチを防げます。特にスポット契約からコンサルティング契約への切り替えを検討している場合は、レポートの範囲がどう変わるかを、契約前に確認しておくと安心です。
この章のまとめ
期待しているレポートの中身と、契約形態が想定する範囲が一致しているかを、契約前に確認します。
07AIO対策会社が示す改善提案が具体的かどうかは、AI検索最適化の知識がなくても見分けられますか?
高梨課長改善提案の中身が具体的かどうかって、専門知識がないと判断できない気がするんですが。
鈴木さん実は、専門知識がなくても見分けられるポイントがあるんですよ。
改善提案の粒度とは、提案がどこまで具体的な根拠にもとづいているかということです。Google公式のガイドは、生成AI検索に対応するための新しい機械可読ファイルや、AI向けの特別なマークアップは不要だとしています。
たとえばllms.txt(AIクローラー向けにサイト構造を伝えるテキストファイル)についても、設置は不要だとされています。Google検索自体は、こうしたファイルを使用しないためです。
つまり、公式ガイドが「不要」としている施策を、新規性のある改善提案として強調する業者は、提案の粒度という点で注意が必要です。反対に、何が必須で何が不要かを公式情報にもとづいて整理したうえで、自社サイトの状況に応じた優先順位を説明できる業者は、根拠の示し方が具体的だと判断できます。
この章のまとめ
改善提案の具体性は、公式情報との整合と、対象エンジンの特定という2点で見分けられます。公式ガイドが「不要」としている施策を新規性のある提案として強調していないかが、最初の分かれ目です。
08実績の見分け方として、公式情報にない独自施策を強調する会社は、LLMO対策として信用していいんですか?
新しい分野では、他社との違いを打ち出したい業者ほど、公式情報にない独自の取り組みを強調したくなる構造があります。ここで大切なのは、独自性そのものを否定することではなく、その独自性が公式情報と矛盾していないか、根拠が示されているかを確認する視点です。
独自の手法名や社内指標が出てきたら、「その考え方の根拠は、どの公式情報のどの記述にありますか」と聞いてみてください。公式情報を指し示せる会社は、独自性の中身を説明できます。反対に、根拠を聞いたときに「経験上」「独自ノウハウなので」で止まる場合は、提案の再現性を確かめようがないと判断できます。
この章のまとめ
独自性そのものが問題なのではありません。根拠となる公式情報を指し示せるかどうかで、信用できる独自施策かを見分けます。
09専任がいなくても、AIO対策会社に契約前に何を聞けば実績の見分け方になりますか?
大森部長3つの視点は分かった。それで、専任がいないうちの体制でも、契約前にこれを確認できるのか。
鈴木さんできます。この3つは、質問リストとしてそのまま使える形にしてありますから。
ここまでの3つの視点を、契約前にそのまま使える質問の形にまとめます。特別な専門知識も、専任の担当者も必要ありません。既存の提案書とヒアリングの場で、順番に聞いていくだけです。
契約前にこの順で聞きます
引用実測に使っている計測ツールの名称を聞く
Google Search ConsoleやBing Webmaster Tools等、具体名が出てくるかを見ます
計測対象のAI検索エンジンを聞く
AI Overviews・Copilot等、どのエンジンを見ているかを確認します
レポートのサンプルを契約前に見せてもらう
頻度・様式・優先順位づけの根拠が明記されているかを見ます
改善提案の根拠を聞く
公式情報にもとづいているか、対象エンジンを特定しているかを確認します
この章のまとめ
3つの視点は、そのまま契約前の質問リストになります。専任も専門知識も要りません。
10よくある質問
「支援実績〇社」という数字は信頼できる指標ですか?
契約数の規模感を示す材料の1つにはなりますが、それだけでは個別の測定方法や改善提案の具体性は分かりません。引用実測・レポート形式・改善提案の粒度もあわせて確認することをおすすめします。
引用実測の計測ツールを使っていない業者は避けるべきですか?
一概には言えません。ただし、計測ツールの名称や計測対象を具体的に説明できない場合は、契約前に確認しておきたい点の1つです。
レポートのサンプルを見せてもらえない場合はどうすればよいですか?
守秘義務を理由に個社名を伏せた形でのサンプル提示であれば、応じてもらえる場合があります。理由の説明なくサンプル自体を一切示さない場合は、注意すべきサインの1つと考えられます。
改善提案の粒度は、専門知識がなくても判断できますか?
公式ガイドが「不要」としている施策を強調していないか、対象のAI検索エンジンを特定しているかという点は、専門知識がなくても確認できる視点です。
実績の確認と、会社全体の見極めはどう違いますか?
会社全体の見極めには、契約条件の透明性や技術実装の説明力など、より広い判断基準が関わります。全般的な基準は別記事『AIO対策会社の選び方』で整理しています。この記事は、その中でも「実績」という言葉の中身に焦点を当てています。
複数社に見積もりを取るとき、何を揃えて比較すればいいですか?
3つの視点(引用実測の有無・レポート形式・改善提案の粒度)について、同じ質問をすべての候補社に投げることをおすすめします。質問の内容をそろえることで、説明の誠実さの差が比較しやすくなります。特定の候補社だけの提案で即決してしまうと、こうした違いに気づけないまま契約してしまうことがあります。
11まとめ|契約前に確認する3つの視点
AIO対策会社の実績を確認する際は、①引用実測の有無 ②レポート形式 ③改善提案の粒度、という3つの視点で見ると、説明の中身が伴っているかを判断しやすくなります。支援社数や画面キャプチャだけでなく、計測ツールの名称・レポートのサンプル・提案の根拠を、契約前に具体的に確認することをおすすめします。
体制変更も、追加の予算も必要ありません。今ある提案書を開いて、順番に確認していくだけです。ここまでの視点を、質問リストとして手元に置いておいてください。実績という言葉の中身を確認する習慣は、AIO対策会社に限らず、外部の専門家に業務を依頼するときの基本姿勢としても役立ちます。
もう一度、契約前に確認する3つ
引用実測の有無を聞く
計測ツールの名称と、計測対象のAI検索エンジンを確認します
レポート形式を聞く
契約形態が想定するレポートの範囲と、サンプルを確認します
改善提案の粒度を見る
公式情報との整合と、対象エンジンの特定を確認します
AI検索では、こう聞かれています
AIO対策会社の実績って、どう確認すればいいですか?
「契約前に、AIO対策会社の実績の見分け方は3つの視点でどう整理できますか?」の章で、3つの視点を図で説明しています
「支援実績50社」って書いてあったら信用していいですか?
「なぜAIO対策会社の『実績あり』は、AI検索対策の判断材料として足りないんですか?」の章で答えています
AI検索での引用を計測しているかって、どう聞けばいいですか?
「引用実測をしているかは、AIO対策会社にどう聞けば見分けられますか?」の章に、契約前に使える質問例があります
次に読むなら、この記事です