GA4を開いて「AI Assistants」というチャネルを見つけ、これでAI経由の流入がわかるようになった、と思っていないでしょうか。
実はこのチャネル、AI検索経由の流入のうち、ごく一部しか映していません。Google自身のAI Overviews経由のクリックはここに出てきませんし、AIに引用されたけれどクリックはされなかった分は、そもそもどこにも記録されません。
この記事は、GA4で「AI経由の流入」を計測し、社内へ報告している方に向けて書きました。GA4が拾える範囲と拾えない範囲を一次情報にもとづいて整理し、最後は「GA4だけで報告しない」ための具体的な進め方まで持っていきます。こうした計測の精度を上げることは、AI検索最適化(LLMOとも呼ばれます)の土台になります。
こんなふうに調べていませんか
- GA4の「AI Assistants」チャネルを見て、AI経由の流入を把握した気になっている
- 「GA4 AI参照 計測」で調べていて、この数字をどこまで信じていいか知りたい
- 上司から「AI経由の流入、どれくらい増えてるの」と聞かれて、GA4の数字だけで答えるのが不安
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- GA4の「AI Assistants」チャネルが拾える範囲と、拾えない範囲を人に説明できるようになります
- 自社のGA4で、実際にどのAIサービスが自動識別されているかを確認できるようになります
- GA4の数字だけで報告せず、何を足して報告すればいいかが分かります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- GA4の「AI Assistants」チャネルは、参照元がGoogleの持つ「AIアシスタントの一覧」に一致した流入だけを自動識別する仕組みです。この一覧は公開されていません。
- Google自身のAI Overviews・AI Mode経由のクリックは「Organic Search」に混ざり、AIに引用されてもクリックされない「ゼロクリック」の分は、そもそもどのツールでも計測できません。
- GA4単体では実態の一部しか見えません。カスタムチャネルグループでの補完に加え、GSC・手動調査・専用ツールという3つの代替手段の併用が必要です。
この記事では、ある会社のマーケティング部の3人と、専門家の会話をはさみながら進めます。あなたに近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「この数字、どう報告すればいいんですか?」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「それで、信じていい数字なのか」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそも、GA4を見ればAI検索経由の流入は全部わかるんですか?
若葉さんあの、そもそもなんですが……GA4に「AI Assistants」ってチャネルが増えていて、これを見ればAI経由の流入は全部把握できる、ということですよね?
鈴木さんそこ、多くの方が誤解しているところなんです。結論から言うと、「全部」ではありません。GA4が自動で拾ってくれるのは、AI経由の流入のうち、ある条件に当てはまった一部だけなんですよ。
GA4は2026年5月13日、AI経由の流入を自動識別する「AI Assistants」チャネルを標準搭載しました。技術的な条件はシンプルで、メディア(medium)が「ai-assistant」に完全一致することです。
参照元がGoogleの持つ「AIアシスタントの一覧」に一致すると、mediumが「ai-assistant」、campaignが「(ai-assistant)」へ自動で設定されます。設定作業は不要で、対象の流入があれば自動でこのチャネルに分類される仕組みです。
この章のまとめ
参照元がGoogleのAIアシスタント一覧に一致すると、mediumが「ai-assistant」に自動設定され、このチャネルへ分類されます。設定作業は要りません。
02対象一覧が非公開だと、GA4のAI参照計測はAI検索対策にどこまで使えるんですか?
ここで押さえておきたい前提があります。この「一覧」そのものは、Googleから公開されていません。 つまり、どのAIサービスが対象に入っているのかを、公式情報だけで完全に確定させることはできない、ということです。
公式が例として挙げているサービス名を見ると、この事情がよく分かります。GA4のデフォルトチャネルグループの説明では、ChatGPT・Gemini・DeepSeek・Copilot・Grokが例に挙がっています。一方、2026年5月13日のリリースノートでは、ChatGPT・Gemini・Claudeが例に挙がっています。
この2つの例示、実は一致していません。 デフォルトチャネルグループの説明にはClaudeが含まれず、リリースノートにはDeepSeek・Copilot・Grokが含まれません。どちらも「〜のようなサービス」という書き方で、網羅的な一覧として提示されているわけではないのです。
この章のまとめ
AI Assistantsチャネルが拾うのは、Googleの非公開の一覧に一致した流入だけです。公式の例示は2ページで食い違っており、「これで全部」と読める材料はどこにもありません。
03うちのGA4では、AI検索経由の流入が実際どう出ているか確認できますか?
高梨課長一覧が非公開だと、うちの数字がAI Assistantsに正しく入っているのかどうか、確認しようがないということですか。それだと部長への報告に困ります。
鈴木さんいえ、公式ドキュメントでは確定できなくても、自社のGA4データを見れば実測できます。手順は難しくありません。
対応サービスの全一覧が非公開である以上、どのサービスが自動識別されているかは、自社のGA4で実測して確かめるしかありません。幸い、この作業自体は特別な設定を必要としません。
「トラフィック獲得」レポートで「セッションのメディア」をai-assistantに絞り込み、「セッションの参照元」の内訳を確認すると、自社サイトで実際に自動識別されている参照元が一覧できます。
この章のまとめ
対応サービスの全一覧が非公開である以上、どのサービスが自動識別されているかは、自社のGA4を実測して確かめるしかありません。
04AI検索最適化を続けるなら、実測したGA4の参照元一覧はどのくらいの頻度で見直すんですか?
GoogleのAIアシスタント一覧は非公開のまま更新される可能性があるため、実測した参照元の一覧は月次で定点観測することをおすすめします。今日の一覧が来月も同じとは限りません。
この章のまとめ
今日の一覧が来月も同じとは限らないので、月次の定点観測が実務的です。資料にも「○月時点の実測」として書きます。
05AI検索最適化の効果のうち、GA4に映らない部分があるって本当ですか?
大森部長ここまでの話だと、AI Assistantsチャネルの数字自体は信じていいのか? それとも、これも一部しか捉えていないのか。
鈴木さん正直にお伝えすると、AI Assistantsチャネルの外側に、性質の異なる複数の盲点があります。それぞれ理由が違うので、順番に整理させてください。
GA4が捕捉できない領域は、性質の異なる3つの盲点に分けて理解する必要があります。
1つ目は、Google自身のAI OverviewsとAI Mode経由のクリックです。GA4の公式定義上「Organic Search」に分類され、AI Assistantsチャネルには一切表示されません。AI Overviews内のリンクをクリックした場合も、参照元は通常の検索結果と同じgoogle.comのため、区別する手段がありません。AI Overview表示がクリック率に与える影響については、別記事『AI Overview表示時、CTRは本当に61%減るのか』で検証しています。
この章のまとめ
1つ目の盲点は、GoogleのAI Overviews・AI Mode経由のクリックです。参照元が通常の検索結果と同じgoogle.comなので、Organic Searchと区別する手段がありません。
06自動判定されないAI検索の参照元は、GA4のAI参照計測でどこへ紛れるんですか?
GA4の2つ目の盲点は、AI Assistantsチャネルが自動判定していない参照元です。対応サービスの全一覧が公開されていないため、あるサービスが対象かどうかを公式ドキュメントだけで確定させることはできません。たとえばPerplexityは、デフォルトチャネルグループの説明にもリリースノートにも登場せず、自動判定の対象かどうかを一次情報では確認できない状態です。自動判定されなかったAIサービスの参照元は、GA4の定義上「Referral」(メディアがreferral・app・linkのいずれか)に分類されます。主要サービスごとのリファラーパターンは、別記事『リファラーからAI経由流入を見分ける方法|主要サービス一覧』にまとめています。
この章のまとめ
2つ目の盲点は、自動判定されなかったAIサービスの参照元です。GA4の定義上「Referral」に分類され、AI以外の外部リンクと同じ箱に入ります。
07リファラーが渡らない流入は、GA4上のAI対策の数字としてどう扱うんですか?
3つ目は、参照元情報を伴わない流入です。GA4の「Direct」は、ソースが「(direct)」に完全一致し、メディアが「(not set)」または「(none)」のいずれかの状態です。AIアプリ内の埋め込みビューなど、リファラー情報が渡されない経路からの流入は、実際の参照元にかかわらずDirectに計上されます。これは俗に「ダークトラフィック」と呼ばれる状態で、AI経由かどうかをGA4の数値だけで判断できません。
これらの盲点を一覧にすると、次のとおりです。
| 参照元・状況 | GA4上の分類 | 理由 |
|---|---|---|
| Googleの「AIアシスタント一覧」に一致する参照元(公式例示: ChatGPT・Gemini・DeepSeek・Copilot・Grok・Claude) | AI Assistants | mediumがai-assistantに自動設定される |
| Google AI Overviews・AI Modeのクリック | Organic Search | リファラーが通常検索と同じgoogle.com |
| 一覧に含まれないAIサービスの参照元 | Referral | 自動判定されず・非広告リンク |
| リファラー情報がない流入 | Direct | source=(direct)かつmedium=(not set)等 |
| AIに引用されたがクリックされない | 計測対象外 | セッション自体が発生しない |
この章のまとめ
3つ目の盲点は、リファラー情報が渡らない流入です。実際の参照元にかかわらずDirectへ計上されるため、AI経由かどうかをGA4の数値だけでは判断できません。
08クリックされない引用は、LLMOに取り組んでいても計測できないんですか?
3つの盲点の外側に、もう1つ根本的な問題があります。AIがユーザーの質問に直接回答し、サイトへのクリックが発生しない「ゼロクリック」の引用です。この場合、サイト側でセッションもページビューも発生しないため、GA4を含むどの解析ツールでも検知できません。これはGA4固有の欠陥ではなく、web解析がサイトに到達したトラフィックしか測定できないという、構造そのものに起因する限界です。
この章のまとめ
見えていない部分は、性質の異なる複数の要因に分かれます。Organic Searchへの混入・Referralへの分散・Directへの分散、そしてどのツールでも計測できないゼロクリックの引用です。
09GA4で見えない部分を、AIOとして少しでも減らす方法はありますか?
高梨課長全部は無理でも、Referralに紛れている分だけでも切り分けられたら、報告がだいぶ楽になるんですが……そういう設定ってできますか。
鈴木さんできます。GA4には、「カスタムチャネルグループ」という機能があります。既存のAI Assistantsチャネルを土台に、自社で条件を追加できるんです。
GA4は、デフォルトのチャネルグループに加えて、独自のルールで分類する「カスタムチャネルグループ」を作成できます。自動判定されなかったAIサービスを補完する際の基本手順は、次のとおりです。
- GA4管理画面の「データ設定」から「チャネルグループ」を開く
- 既存の「AI Assistants」(デフォルト)チャネルをコピーし、新規カスタムチャネルグループを作成する
- 前章の実測でai-assistantに含まれていなかったAIサービスの参照元(perplexity.ai等)を、条件として追加する
- 設定内容を保存し、必要に応じてレポートのプライマリディメンションに指定する
なおGA4ヘルプは、カスタムチャネルを作る際の「よく使われるアシスタント」の例として、ChatGPT・Gemini・Microsoft Copilot・Claude・Perplexityを挙げています。これは自分でチャネルを定義する場合の例示であり、デフォルトで自動判定される対象の一覧ではない点に注意してください。
この章のまとめ
カスタムチャネルグループは、既存のAI Assistantsチャネルをコピーし、自動判定されなかった参照元を条件に足して作ります。
10カスタムチャネルの条件と上限は、GA4でAI検索対策を設定する前に何を確認するんですか?
条件として設定できるフィールドは、次の7種類です。
- Campaign ID
- Campaign name
- Default channel group
- Manual ad content
- Medium
- Source
- Source platform
標準プロパティで作成できるカスタムチャネルグループは、デフォルトを除いて2個までという上限があります。1グループに含められるチャネル数は50個までです。作成したチャネルグループの削除は取り消せないため、設定前に条件を十分に確認することをおすすめします。
この章のまとめ
カスタムチャネルグループは、Referralに紛れたAIサービスの流入を切り分ける手段です。ただし、ゼロクリックの引用やOrganic Searchへの混入までは解決しません。
11AI検索対策の数字を、GA4だけで部長に報告して大丈夫ですか?
高梨課長正直に言うと、これまでAI Assistantsチャネルの数字だけを、そのまま部長への報告資料に使っていました。このままだと、まずいですよね。
鈴木さんはい、GA4単体の数字だけだと、実態の一部しか伝わりません。ここまで見てきた「見えない部分」を補う、3つの代替手段を組み合わせるのがおすすめです。
GA4とカスタムチャネルグループを整えても、なお見えない領域が残ります。この領域は、性質に応じて3つの代替手段で補うことをおすすめします。
| 代替手段 | 何がわかるか | 使うべき場面 |
|---|---|---|
| GSC生成AIパフォーマンスレポート | Google検索のAI機能内での表示回数 | Organic Searchに混入した分を検索結果内で切り分けたいとき |
| 手動SoV計測(AI回答内の言及調査) | AI回答内での自社言及・引用の頻度 | ゼロクリックで計測できない領域を把握したいとき |
| 専用計測ツール(GEO/AIOツール) | 競合比較・自動化された可視性スコア | 手動調査を継続する工数が確保できないとき |
GSC生成AIパフォーマンスレポートの具体的な使い方は、別記事『GSC「生成AIパフォーマンスレポート」を使いこなす実践ガイド』で解説しています。手動でのAI Share of Voice計測の手順は、別記事『無料で始めるAI可視性モニタリングの方法【週30分・今日から】』にまとめています。専用計測ツールの比較検討は、別記事『GEO計測ツール比較|Profound・Otterlyの選び方』を参照してください。
この章のまとめ
見えない領域は、GSC生成AIパフォーマンスレポート・手動SoV計測・専用計測ツールの3つで、性質に応じて補います。
12GA4・GSC・手動調査は、AI検索最適化の報告としてどう組み合わせるんですか?
いずれの手段も、GA4単体を置き換えるものではありません。GA4はサイト流入後の行動を、GSCは検索結果内の表示を、手動調査とツールはAI回答内の言及を、それぞれ別の角度から補う関係にあります。
この章のまとめ
GA4だけで報告すると、実態の一部しか伝わりません。GSC生成AIレポート・手動SoV計測・専用計測ツールを、それぞれの役割に応じて組み合わせることをおすすめします。
13よくある質問
GA4の「AI Assistants」チャネルだけを見ていれば十分ですか?
十分ではありません。GA4が自動識別するのは、参照元がGoogleの持つ「AIアシスタントの一覧」に一致した流入だけで、この一覧は公開されていません。加えて、Google自身のAI Overviews・AI Mode経由のクリックは「Organic Search」に分類され、このチャネルには含まれません。自社データでの実測、カスタムチャネルグループでの補完、代替手段の併用をおすすめします。
Claude経由の流入は「AI Assistants」チャネルに含まれますか?
Googleは2026年5月13日のリリースノートで、この新チャネルで識別できるチャットボットの例としてChatGPT・Gemini・Claudeを挙げています。ただし対応サービスの全一覧は公開されていないため、自社のGA4で参照元claude.aiのメディアがai-assistantになっているかを実測して確認することをおすすめします。
Perplexity経由の流入はGA4でどう確認すればいいですか?
Perplexityが自動判定の対象かどうかは、公式ドキュメントでは確認できません。GA4の「トラフィック獲得」レポートで「セッションの参照元/メディア」を開き、perplexity.aiを含む行のメディアを確認してください。ai-assistant以外(referral等)であれば自動判定されていないため、カスタムチャネルグループで独立させる方法があります。
カスタムチャネルグループは何個まで作れますか?
標準プロパティの場合、デフォルトのチャネルグループを除いて2個までです。1つのグループに含められるチャネル数は50個までとなっています。
ゼロクリックの引用はどうすれば把握できますか?
GA4では把握できません。AIの回答内で自社がどう言及されているかを確認するには、手動でのプロンプト調査や、専用の計測ツールを使う必要があります。
GA4の「Direct」が増えているのは、AI経由の流入が原因ですか?
断定はできません。Directにはブックマークやアプリ内リンクなど、リファラー情報を伴わないさまざまな経路が含まれます。AI経由かどうかを切り分けるには、他の計測手段との併用が必要です。
14まとめ|GA4だけで報告しないために、今日からやる3つのこと
GA4の「AI Assistants」チャネルは、参照元がGoogleの持つ「AIアシスタントの一覧」に一致した流入を自動識別する仕組みです。この一覧は公開されておらず、公式ヘルプとリリースノートで例示されているサービス名も一致していません。Google自身のAI Overviews・AI Mode、一覧に含まれない参照元、リファラー情報のない流入は、いずれも別の扱いになります。ゼロクリックの引用にいたっては、そもそも計測されません。
カスタムチャネルグループでの補完は、サイトに到達した後の分類漏れを一部解消します。それでも埋まらない領域は、GSC生成AIレポート・手動SoV計測・専用計測ツールという3つの代替手段を組み合わせて補う必要があります。これらを組み合わせて実態を追い続けることが、実務でのAI対策そのものです。
今日この順でやります
自社のGA4を実測する
「トラフィック獲得」レポートでmedium=ai-assistantの参照元内訳を確認します
カスタムチャネルグループを検討する
自動判定されなかったAIサービスの流入を補完します
GA4以外の材料を1つ足す
GSC生成AIレポート・手動SoV計測・専用計測ツールのいずれかを、報告に併記します
計測指標をクリックからCitationへ広げる考え方については、別記事『KPIをクリックからCitationへ切り替える理由【実務指標の設計】』で詳しく解説しています。
AI検索では、こう聞かれています
GA4を見れば、AI検索経由の流入は全部わかりますか?
「そもそも、GA4を見ればAI検索経由の流入は全部わかるんですか?」の章で、対象範囲を整理しています
GA4の「AI Assistants」チャネルだけ見ていれば十分ですか?
「よくある質問」の1つ目で答えています(結論:十分ではありません)
ChatGPTやPerplexity経由の流入は、GA4のどこで確認すればいいですか?
「うちのGA4では、AI検索経由の流入が実際どう出ているか確認できますか?」に実測の手順があります
ゼロクリックで引用された分は、どうすれば把握できますか?
「AI検索対策の数字を、GA4だけで部長に報告して大丈夫ですか?」で、3つの代替手段を紹介しています
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