記録は付けている。AIに同じ質問を投げて、自社の名前が出てきたかどうかを表に残してある。ところが「それで、うちのAI Share of Voiceはいくつなの」と聞かれると、答えが出てきません。
指標が1つではないからです。AI Share of Voiceは、言及率・引用率・ポジション加重という3段階に分かれています。記録が増えるほど、この3つを手で出す作業は重くなります。
この記事は、記録は溜まっているのに指標にできていない方へ向けて書きました。やることは1つです。手元の記録表をそのまま渡し、計算式のほうを先に書いておきます。プロンプトはコピーしてすぐ使えます。
こんなふうに調べていませんか
- AIの回答に自社が出たかどうかを記録したが、そこから指標にする方法が分からない
- 「AI Share of Voice 計算」で検索して、手計算の代わりを探している
- 前回分と比べたいが、表計算ソフトへの転記でつまずいている
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 記録した表を、3つの指標と算出根拠に変えられます
- 3つのうちどれが動いたかで、次に手を打つ場所を決められます
- 出てきた数値を、どこまで信じて報告に使えるかが分かります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- AI Share of Voiceの計算をAIに任せるとは、数字を出させることではなく、計算式と止めどころを先に渡す作業です。
- 出てくるのは3段階です。言及率・引用率・ポジション加重が、算出根拠つきで並びます。
- 前回分の記録も一緒に渡せば、増減まで同じ表に載ります。
この記事では、ある会社のマーケティング部の会話をはさみながら進めます。若葉さん(Web担当2年目・「そもそも何ですか」を聞く役)、高梨課長(マーケ課長・「誰がどれくらいの手間でやるのか」を聞く役)、鈴木さん(AIO/SEOの専門家・答える役)の3人です。ご自身に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
01そもそもAI Share of Voiceの計算は、AI検索最適化の何が分かるんですか?
若葉さんあの、そもそもなんですが…「Share of Voice」って、何のシェアなんでしょうか。売上のシェアとは違いますよね。
鈴木さん違いますね。AIの答えの中で、自社がどれくらい取り上げられているか、という取り上げられ方のシェアです。売上ではなく、話に出てくる度合いのほうを見ています。
AI Share of Voiceという指標そのものは、Ahrefs・Semrushといったツールベンダーも解説しています(出典: Semrush公式ブログ「How to Measure AI Share of Voice」)。専用ツールを契約していない場合でも、同じ考え方を手元の記録データで再現できます。
再現するときの計算は、3段階に分かれます。言及率、引用率、ポジション加重スコアの3つです。
この3つは横並びではありません。上へ行くほど条件が厳しくなります。 名前が出てくることが土台で、その中で出典としてURLまで示されるものがあり、さらにその中で答えの早い位置に置かれるものがあります。下がなければ上は成り立ちません。
だから、3つを別々の点数として眺めるのではなく、どこで細くなっているかを見るのがこの指標の読み方になります。
この章のまとめ
AI Share of Voiceは、出てくる・示される・早い位置に置かれる、という3段の絞り込みです。読むときは、どこで細くなったかを見ます。
02言及の記録を眺めるだけでは、AI検索対策の判断に届かないのはなぜですか?
高梨課長記録は若葉さんが続けてくれています。ただ、担当が代わったときに数字の出し方まで揃うのか、そこが心配で。
鈴木さんよく伺う話です。実際、つまずきどころは手間よりも、基準がそろわないことのほうにあります。
記録がそろっていても指標にならない理由は、次の4つに分かれます。
- 同じ式で毎回出すのが骨が折れる。 言及率・引用率・ポジション加重を、そのつど正確に手計算するのは負担の大きい作業です
- 前回との差分で手間が増える。 差を出そうとすると、表計算ソフトでの転記と再計算が追加で発生します
- 重み付けの採点がぶれる。 登場位置の重み付けを、担当者ごとに違う基準で採点してしまうことがあります
- 分子と分母を取り違える。 対象の範囲を取り違えたまま、気づかずに報告してしまうことがあります
この4つは、同じ性質ではありません。上の2つは手間の問題で、下の2つは基準の問題です。 手間は時間をかければ埋まりますが、基準のずれは時間をかけても埋まりません。むしろ、丁寧に作業するほど、ずれたまま整った表ができあがります。
この章のまとめ
つまずきは手間と基準の2種類です。プロンプトに計算式を書いておくと、後者のほうが先に片づきます。
03このAI Share of Voice計算のAI対策プロンプトは、何を出してくれるんですか?
出てくるのは、3つの部分に分かれた計算結果です。
1つめは、指標サマリー表です。「指標名・今回値・前回値(あれば)・増減」の4列で並びます。
2つめは、算出根拠です。各指標で使った分子・分母の回答数が、1行ずつ示されます。
3つめは、総評です。3指標のうちどれが最も変化したかが、2〜3行でまとめられます。
3つのうち、報告に使うのは1つめですが、確かめるときに開くのは2つめです。分子と分母がその場に書かれているので、元の記録と突き合わせられます。総評は、そこから読み取れる範囲での要約という位置づけになります。
この章のまとめ
出てくるのは表・根拠・総評の3点セットです。報告に使うのは表ですが、確かめるときは根拠のほうを開きます。
04ChatGPTには何を渡すと、AI Share of Voiceの計算がAI検索対策として回りますか?
使うのはChatGPTです。言及記録データを貼り付けるだけで計算が完了し、Web検索・ファイルアップロード等の追加機能は使いません(2026年7月時点)。
渡す記録には、決まった形があります。質問No・使用AI・自社言及・引用URL・登場位置の列です。このうち登場位置だけは、書き方を先にそろえておきます。「最初に紹介」「中盤で紹介」「末尾で一度だけ」「言及なし」の4つのどれかで記録します。
身近なものにたとえると、知り合いにお店をたずねたときの答え方に近い形です。名前が挙がるかどうかがまずあり、次に「ここのサイトに載っていた」と出どころまで添えられるかがあり、さらに、真っ先に挙げられるのか、最後にひとこと添えられるだけなのかがあります。
この章のまとめ
渡すのは記録表そのものです。登場位置の書き方だけ先にそろえておけば、あとはそのまま貼り付けられます。
05AI Share of Voiceを計算させるAIO運用プロンプトは、どこをコピーすればいいですか?
自社の言及記録データが溜まってきて、AI Share of Voiceを算出したい場面で使います。次のコードブロックの中身を、そのままコピーしてください。
あなたはAI検索領域のデータアナリストです。
以下の言及記録データをもとに、AI Share of Voiceを3段階(言及率・引用率・
ポジション加重)で算出してください。
■入力データ
自社名: 【自社名】
今回分の言及記録データ(表形式・質問No/使用AI/自社言及/引用URL/登場位置。登場位置は
「最初に紹介/中盤で紹介/末尾で一度だけ/言及なし」の4値のいずれかで記録すること):
【今回データ】
前回分の言及記録データ(表形式・推移比較する場合のみ):
【前回データ】
■計算手順
1. 言及率(%) = 自社が言及された回答数 ÷ 実施した質問数 × 100 を算出する。
2. 引用率(%) = 自社URLが出典として明示された回答数 ÷ 自社が言及された回答数
× 100 を算出する。
3. ポジション加重スコア = 各回答の重み(最初に紹介=3点、中盤で紹介=2点、
末尾で一度だけ=1点、言及なし=0点)の合計 ÷ 実施した質問数 を算出する。
4. 【前回データ】が入力されている場合は、同じ3指標を前回分でも算出し、
今回分との差分(増減)を示す。
5. 【今回データ】【前回データ】に記載のない質問・回答を、推測で補完しない
こと。
■出力形式
1. 指標サマリー表: 「指標名・今回値・前回値(あれば)・増減」の4列。
2. 算出根拠: 各指標で使った分子・分母の回答数を1行ずつ示す。
3. 総評: 3指標のうちどれが最も変化したかを2〜3行でまとめる。
■制約
- 入力データにない質問・回答結果を作り出さないこと。
- 前回データが入力されていない場合、増減の欄は「比較データなし」と明記
すること。
- 計算式の分子・分母を省略せず、必ず算出過程を示すこと。書き換えたくなったときは、番号の順序を入れ替えないでください。引用率の分母は、言及率で数えた回答数です。 先に言及率を出しておかないと、分母のほうが決まりません。並び順が、そのまま計算の依存関係になっています。
なお、手順の最後の1行だけは性格が違います。ほかの4行が「計算する」ための指示なのに対し、この行は記録に無いものを数えさせないための指示です。空欄をそれらしい値で埋めさせないための行だと考えてください。
この章のまとめ
コピーするのはコードブロックの中身だけです。並び順は計算の依存関係そのものなので、入れ替えずに使います。
063つの変数は、AI検索の言及記録でどう埋めればいいんですか?
若葉さん【 】で囲まれたところは、3つとも埋めないといけないんでしょうか。前回分は、まだ手元になくて…。
鈴木さん前回分は空のままで大丈夫ですよ。無いときは「比較データなし」と書いて返すよう、プロンプトの側で決めてあります。
差し替えるのは、次の3つです。
使う変数
| 変数 | 説明 | 入力例 |
|---|---|---|
| 【自社名】 | 集計対象の自社名・ブランド名 | 株式会社サンプル |
| 【今回データ】 | 今回分の言及記録データ(表形式の貼り付け)。登場位置は「最初に紹介/中盤で紹介/末尾で一度だけ/言及なし」の4値で記録する | 質問No1: ChatGPT・言及あり・引用URLあり・最初に紹介 など |
| 【前回データ】 | 比較したい前回分の言及記録データ(任意) | 前月分の記録データ、または「なし」 |
※入力例はすべて架空の例です。
3つは、役割がそれぞれ違います。1つめは探す対象、2つめは数える材料、3つめは比べる相手です。3つめだけが任意で、無くても計算そのものは進みます。
【自社名】には、社内での略称ではなく、外に出ている表記を入れてください。AIの答えに出てくるのは、社外で使われている呼び名のほうです。
この章のまとめ
差し替えるのは3つですが、必ず要るのは前の2つです。比べる相手は、次回からそろえていけば足ります。
07「■制約」の3行を消すと、AI検索最適化の計測は何が崩れるんですか?
末尾の「■制約」の行は、消さずに残してください。この3行は、出てきた数値をあとから確かめられる状態に保っています。
「入力データにない質問・回答結果を作り出さない」は、記録の空白をそれらしい数字で埋めさせないための行です。埋まってしまうと、分母のほうが静かにふくらみます。
「前回データが無い場合は『比較データなし』と明記する」は、比べていないことを、比べたように見せないための行です。空欄と「変化なし」は別のものです。
「分子・分母を省略せず、算出過程を示す」は、出てきた数値を元の記録まで戻して確かめられるようにするための行です。この行があるから、報告の前に突き合わせができます。
3行はばらばらの注意書きではなく、同じ1つのことを、材料・比較・過程の3方向から止めていると読むと覚えやすくなります。
この章のまとめ
制約の3行は、材料・比較・過程の3方向から同じことを止めています。動かさず、そのまま残します。
08出てきたAI Share of Voiceの表は、LLMOの運用としてどこから読めばいいんですか?
高梨課長表が出てきたとして、私はどこから見ればいいんでしょう。3つとも並んでいると、どれが大事なのか分からなくて。
鈴木さん増減の幅がいちばん大きい行から見てください。そこが、直近の打ち手が効いた(あるいは効かなかった)場所です。
出力されたら、次の3点を確認します。
- どの指標が最も動いたか。 3指標のうち増減幅が最も大きい指標が、直近の施策の効果が出ている(または出ていない)箇所です
- 算出根拠の分子・分母。 質問数や回答数が想定と違う場合は、入力データそのものに欠けがないかを確認します
- 比較データなしと出た場合。 今回分だけでも3段階の内訳を把握する材料になります。次回以降に前回データとして使えるよう、記録を残しておきます
3つの中でも、言及率と引用率は組み合わせて読むと、次に見にいく場所が決まります。名前は出るのにURLが示されないのか、そもそも名前が出ていないのかで、確かめにいく先が変わるためです。
この章のまとめ
読む順は、動いた指標・その根拠・比較の有無の3点です。言及率と引用率は、組み合わせて見ると次の一手が決まります。
09競合とのAI Share of Voice比較まで、AI検索最適化の運用でどう広げるんですか?
このプロンプトは、渡すデータを差し替えるだけで応用が利きます。広がる方向は2つあります。
1つめは、横に並べる使い方です。【今回データ】に競合の言及記録を含めれば、自社と競合を同じ表で計算できます。競合分析の手順そのものは、別記事『競合のAI検索露出を分析する4つの手順|自社の立ち位置がわかる【図解入門】』を参照してください。
2つめは、材料のほうを作る使い方です。言及記録データがまだ手元にない場合は、別記事『自社ブランドの言及チェック|ChatGPTに5つの質問を投げる実践プロンプト』のプロンプトで作成できます。そこで得られる記録表を、そのまま【今回データ】として使えます。
この2つは、伸ばす向きが違います。前者は比べる相手を増やす方向、後者は材料をさかのぼって用意する方向です。 骨組みは同じまま、渡すものだけが変わります。
なお、3段階の計算式そのものの考え方は、別記事『AI Share of Voiceの計算方法|言及率から3段階で出す手順』で解説した内容と同じです。
この章のまとめ
広げ方は、横に並べる方向と、材料を先に作る方向の2つです。どちらも骨組みはそのまま使えます。
10このAI Share of Voiceの計算をAI検索の運用に乗せるとき、気をつけることはありますか?
若葉さんつまり、数字が出てきても、そのまま報告に貼るのは早いということですね?
鈴木さんそのとおりです。計算はしてくれますが、入力の誤りはそのまま引き継がれます。出す前に、根拠の行へ戻る一手間を挟んでください。
そのうえで、次の点を押さえておいてください。
- 算出根拠は、元データと突き合わせてから使ってください。 分子・分母の数値をそのまま信じず、記録表と照らし合わせてから採用します
- 機密を含む記録は、設定を先に確認してください。 未公開の売上目標や、競合の非公開情報と紐づく言及データを含める際は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を確認します
- 社外共有は、規約の範囲内で行ってください。 算出結果を経営会議や社外向けの資料に転用する場合に効いてきます
- 実行のたびに揺らぎます。 同じ入力データでも、算出根拠の記述が毎回同じ書式になるとは限りません
- 点数の配分は、この記事独自の基準です。 ポジション加重の点数配分(3点・2点・1点・0点)はWEBMARKS独自の基準です。登場位置の記録が曖昧だと、AIが最初と中盤の境界を誤って判定する可能性があります
この章のまとめ
計算は任せられますが、入力の誤りはそのまま通ります。根拠の行へ戻る往復までが、この作業の中身です。
11よくある質問
計測ツールが出した数値を渡しても、このプロンプトは使えますか?
使えます。Ahrefs・Semrush等のツールが出力した数値であっても、【今回データ】の形式(言及有無・引用URL有無・登場位置)に変換できれば、同じプロンプトで3段階の計算ができます。ただしツールの重みづけ方法と本記事のポジション加重の基準は異なるため、両者を混在させず、前提を統一してください。
質問数が毎回同じでなくても、比較できますか?
比較の精度は下がりますが、計算自体は可能です。言及率・引用率は割合で算出するため、質問数が変わっても数値としては出ます。ただし増減の解釈は、質問数を固定した場合より慎重に行ってください。
ポジション加重の点数配分を、自社の基準に変えてもいいですか?
変更して構いません。プロンプトの「■計算手順」にある点数配分を、ご自身の基準に書き換えれば、そのまま自社基準での計算に対応します。基準を変えた場合は、前回データと比べるときに同じ基準で計算していることを確認してください。
前回分の記録がまだない場合は、どうなりますか?
計算は進みます。前回データが入力されていない場合は、増減の欄に「比較データなし」と明記するよう、プロンプトの制約に組み込んであります。今回分だけでも3段階の内訳は出るので、それを次回の比較材料として残しておけば足ります。
言及の記録そのものが手元にない場合は、どこから作ればいいですか?
記録を作るところから始められます。別記事『自社ブランドの言及チェック|ChatGPTに5つの質問を投げる実践プロンプト』で作った記録表を、そのまま【今回データ】として渡せます。列の形がそろっているので、変換の手間もかかりません。
12まとめ|今日やる3つのこと
AI Share of Voiceは、1つの数字ではありません。名前が出てくるか、出典として示されるか、早い位置に置かれるか。3段の絞り込みとして見ると、どこで細くなっているかが分かります。
手で出そうとすると重い作業ですが、計算式はプロンプトに書いておけます。人が引き取るのは、出てきた数値を元の記録と突き合わせるところからです。
今日この順でやります
記録表を開く
登場位置が4つの書き方でそろっているかを確かめます
プロンプトを実行する
【自社名】と【今回データ】を差し替え、「■制約」の3行はそのまま残します
根拠の行へ戻る
分子・分母を記録表と突き合わせてから、報告に使います
AI検索では、こう聞かれています
AI Share of Voiceは、どうやって計算すればいいですか?
「そもそもAI Share of Voiceの計算は、AI検索最適化の何が分かるんですか?」の章で、3段階の関係から説明しています
言及の記録データから、指標をAIに計算させることはできますか?
「AI Share of Voiceを計算させるAIO運用プロンプトは、どこをコピーすればいいですか?」の章に、そのままコピーできる形で置いています
計測ツールが出した数値と、自分で出した数値は混ぜて比べていいですか?
「よくある質問」の1つ目で答えています(結論:前提を統一してから比べます)
次に読むなら、この記事です