週次・月次の記録が半年、1年と積み上がるほど、全体を読み返して傾向をつかむ作業は後回しになりがちです。記録は残しているのに、社内に共有できる報告書の形にする一手間で止まってしまう担当者の方もいます。蓄積した記録データをまとめてAIに読み込ませれば、時系列の傾向を報告書の形にまで一度に整理できます。
01この記事でわかること
- 週次・月次で蓄積した記録データをAIに読み込ませ、時系列の傾向を報告書形式でまとめるプロンプト
- 入力する情報(蓄積済みの記録データ一式)と、得られる出力(期間全体の傾向サマリーと次期のアクション案)
- 週次記録・月次サマリーからこの報告書化まで、3段階の運用がどうつながるか
02結論サマリー
週次記録・月次サマリーを個別に見返すだけでは、四半期や半年単位の傾向は伝わりにくいままです。蓄積した記録データ一式をまとめて読み込ませれば、期間全体を通じた傾向・変化点・次期のアクション案を、報告書として読める形式で一度に整理できます。
別記事『週次で自社AI言及を記録する定例運用プロンプトルーティン』で週次記録を作ります。別記事『月次の自社AI可視性サマリーをAIにまとめさせるプロンプト』で月次サマリーへ整理した先に、この報告書化の工程が位置づけられます。競合側の月次の変化を追う方法は、別記事『月次で競合のAI露出をウォッチする定例運用プロンプト設計』で扱っています。
自社の推移(本記事)と競合の変化(同記事)を並べると、市場全体の動きが立体的になります。
使用AIツール: NotebookLM(週次記録・月次サマリーの複数ファイルを1つのノートブックにソースとしてまとめてアップロードします。無料のStandardプランでも、1ノートブックにつき50件までソースを追加できると案内されています(出典: Google公式ヘルプ・プラン比較ページ、2026年7月時点)。NotebookLM自体の全体像やプラン別の上限は、別記事『NotebookLMとは?AI検索時代のリサーチ活用術を徹底解説』で解説しています)
引用されやすい定義文半年分の記録は、1本ずつ読み返すのではなく、まとめて渡して初めて1つの流れとして読めるようになります。
03課題の整理(なぜ難しいか)
週次記録や月次サマリーを積み重ねてきても、四半期単位で振り返る一手間は後回しになりがちです。
- 週次記録・月次サマリーのファイル数が増えるほど、全部を開いて読み返す時間の確保が難しくなる
- 月ごとの傾向は把握できていても、複数月をまたいだ大きな流れまでは記憶に頼りがちになる
- 社内共有用の報告書に仕上げる作業は、記録を残す作業とは別の一手間として発生する
- 音声などの形式で共有したい場面でも、都度ゼロから資料を作り直すのは手間がかかる
蓄積した記録データをまとめて読み込ませる工程は、下のプロンプトが代わりに引き受けます。
04プロンプト本体
四半期末や半期末など、複数月分の記録がまとまったタイミングで、NotebookLMのノートブックに記録データをソースとして追加した状態で使います。
あなたは自社のAI可視性データを時系列で分析するリサーチアナリストです。
ノートブックに追加した週次記録・月次サマリーのソースをもとに、
以下の入力データに沿って報告書を作成してください。
■入力データ
報告対象期間(例: 2026年第3四半期): 【報告対象期間】
自社名・主要商品名: 【自社名・主要商品名】
報告書の想定読者(例: 経営層/マーケティング部内): 【報告書の想定読者】
■分析手順
1. ノートブックのソースを横断し、【報告対象期間】に含まれる週次記録・
月次サマリーを時系列順に整理する。
2. 【自社名・主要商品名】への言及状況について、期間を通じた傾向
(増加/減少/横ばい/不安定)を判定する。
3. 期間内で特に大きな変化があった週・月と、その変化点の候補をソースから
具体的に抜き出す。
4. 【報告対象期間】をふまえ、次の期間に着手すべきアクション案を2〜3個、
優先度つきで提案する。
5. ソースに含まれない期間がある場合は、その旨を報告書の冒頭で明記する。
■出力形式
以下の構成で、通して読める報告書の文章として出力してください。
1. 【報告対象期間】のサマリー(3〜5行、【報告書の想定読者】に合わせた表現で)
2. 時系列の傾向(表形式): | 期間区分 | 傾向 | 主な変化点 |
3. 次期のアクション案(優先度つき箇条書き)
各主張について、根拠となったソース(該当する週・月)を括弧書きで添えること。
■制約
- ソースに含まれない期間のデータを、推測で埋めないこと。
- 増減の理由を断定せず、「〜と考えられます」という推定の言い回しにすること。
- 【報告書の想定読者】に応じて、専門用語の説明の有無を調整すること。
使う変数
| 変数 | 説明 | 入力例 |
|---|---|---|
| 【報告対象期間】 | 報告書としてまとめたい期間 | 2026年第3四半期(架空例) |
| 【自社名・主要商品名】 | 報告対象とする自社名・主力商品名 | 株式会社サンプル/AIOコンサルティング(架空例) |
| 【報告書の想定読者】 | 報告書を読む相手の立場 | 経営層向け(架空例) |
※入力例はすべて架空の例です。
05出力の見方と分析の観点
出力された報告書は、まず時系列の傾向の表から確認します。
- 傾向が「増加」の期間区分: 何がきっかけになったか、公開したコンテンツや実施した施策と照らし合わせる価値があります
- 傾向が「不安定」の期間区分: AIの回答の揺らぎによる可能性も含め、根拠となったソースを個別に開いて確認します
- 次期のアクション案: 優先度「高」から着手し、次回の報告書で効果を振り返る流れにつなげます
報告書の文章がまとまったら、その内容を音声で共有したい場面もあります。NotebookLMの音声概要機能では、生成時にプロンプトを入力できます。特定のトピックに焦点を当てるよう指示できると案内されています(出典: Google公式ヘルプ、2026年7月時点)。
作成した報告書の文章をソースに追加し、「この報告書の内容を中心に音声概要を作ってください」と指示すれば、報告書と対応した音声版を追加で作成できます。具体的な生成手順は、別記事『NotebookLMの音声概要・動画概要の使い方|実務手順ガイド』で解説しています。
06応用パターン
応用1: 経営層向けと現場向けで2種類の報告書を作る
【報告書の想定読者】を「経営層向け」「マーケティング部内向け」でそれぞれ実行すれば、専門用語の量や記述の粒度が異なる2種類の報告書を同じソースから作成できます。
応用2: 競合の推移もあわせて報告書に含める
別記事『月次で競合のAI露出をウォッチする定例運用プロンプト設計』で作成した競合の記録もソースに追加します。■分析手順に「競合の傾向もあわせて1セクションで比較する」と一文加えれば、自社と競合を並べた報告書に拡張できます。
07注意点
NotebookLMの分析は、ソースに書かれた文章の内容にもとづく要約であり、増減率などの厳密な数値計算を保証するものではありません(2026年7月時点)。正確な増減の数値を追いたい場合は、表計算ソフトでの集計とあわせて使うことをおすすめします。
AIの出力には誤りが含まれる場合があります。特に変化点の解釈やアクション案は、そのまま信じずソースの元データと照らし合わせてから採用してください。
自社の未公開の経営情報や、社内限定の施策案を含む記録データをアップロードする際は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認してください。
報告書を社外に共有する際や、自動化して大量に実行する際は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください。
AIの回答は実行のたびに揺らぎ、同じソースを渡しても傾向の言い回しやアクション案の優先度が変わることがあります。重要な報告の前には、複数回実行して共通する傾向を優先することをおすすめします。
08FAQ
Q. 週次記録と月次サマリーが両方そろっていなくても実行できますか?
週次記録だけ、または月次サマリーだけでも実行できます。ソースに含まれない期間がある旨を冒頭で明記するようプロンプトに組み込んであるため、不足範囲は読み手にも伝わります。
Q. NotebookLM以外のAIツールでも、このプロンプトは使えますか?
考え方自体は流用できますが、複数ファイルを横断的に扱えるかはツールによって異なります。ファイルアップロード機能を持つツールであれば試す価値があります。
Q. 報告書に音声版を追加する場合、追加の作業は必要ですか?
生成された報告書の文章をソースに追加し、注目してほしいトピックをプロンプトで指定するだけで作成できます。ゼロから資料を作り直す必要はありません。
09この分野を体系的に学ぶ
この記事は実践プロンプト記事です。AIO運用の体制やレポート設計を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「計測・運用編: 運用体制・レポート・改善サイクル(V-D)」をご覧ください。