「AIOに取り組みたい。ただ、そのために人を増やす余裕はない」。中小企業のご担当者から、この形のご相談をよくいただきます。
そこで手が止まってしまうのは、どこまでを自分たちで持ち、どこから先を外に出すかの線が引けていないからです。全部を自前でやるか、丸ごと外に出すか。この2択で考えると、どちらも重く見えます。
この記事では、AIOの仕事を5つの領域に分けます。そのうえで、兼任のままでも続けられる範囲と、外部やツールと分けたほうがよい範囲を整理します。専任者を雇う前提には立ちません。
こんなふうに調べていませんか
- 「AIO 専任者なし」で検索して、社内でどこまでやれるかを探している
- 兼任のまま引き受けたが、どこで手を止めればいいのか分からない
- 外注を考えているが、何を渡して何を残すかの線引きがつかない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- AIOの仕事を5つの領域に仕分けて、社内に残す範囲を決められるようになります
- 兼任のまま続く仕事と、続かなくなる仕事を見分けられるようになります
- 専任化や外注を考え始める目安を、サインとして持ち帰れます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 専任者を置かない体制は、中小企業では例外ではありません。 専任部署があるのは38.0%、特定の担当者がいない企業も20.0%あります(出典: PLAN-B調査)。
- AIOの仕事を「執筆規律・無料計測・初期設定・継続改修・専門診断」の5領域に分けると、兼任で持てる範囲が見えてきます。
- 前半の3領域は兼任でも続けやすく、後半の2領域は外部やツールと分ける判断が現実的です。
この記事は、あるマーケティング部の2人と、専門家のやり取りをはさみながら進みます。
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 大森部長(事業責任者)— 「その体制で投資に見合うのか」を判断する役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01AIOの専任者がいない中小企業は、うちだけなんですか?
高梨課長正直なところ、うちにAIOの専任者はいません。他社さんは、きちんと人を置いているものなんでしょうか。
鈴木さんそこは気に病まなくて大丈夫です。調査を見ると、専任を置いていない会社のほうが多いという結果が出ています。
PLAN-B社の調査によれば、マーケティングの専任部署を持つ中小企業は38.0%にとどまります。特定の担当者がいない企業も20.0%あります(出典: PLAN-B「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査」)。
この調査は、従業員数10〜299名の中小企業のマーケティング担当者200人を対象に、2025年3月に実施されたものです。体制の内訳は、次のように分かれています。
専任部署と専任担当者(1名)を合わせても54.5%です。残る45.5%は、兼任か、担当者がいない状態ということになります。
同じ調査では、課題として「人員・リソース不足」を42.0%が挙げており、これが最多の回答でした。人がいない前提で組み立てている会社が、それだけ多いということです。
なお、PLAN-B社はSEO関連ツールを提供する事業者で、この記事のテーマと隣り合う分野の企業です。調査の対象・人数・期間は同社のリリースで開示されています。参考データの1つとしてご覧ください。
この調査はAIOに限らず、マーケティング全般を対象にしたものです。ただ、AIOも同じマーケティング業務の一部である以上、体制の傾向は近いと考えられます。
この章のまとめ
専任を置いていない状態は、中小企業では例外ではありません。人がいないことは、着手できない理由にはなりません。
02そもそも専任者なしの体制で、AIOの仕事は何を指すんですか?
専任者なしの体制とは、AIOの実務を、他業務との兼任担当者、または外部やツールと分担して進める運用のことです。
AIOという言葉自体が新しく、専任のポジションを社内に作る企業はまだ多くありません。既存のWeb担当者やマーケティング担当者が、他の業務と兼務しながら対応するケースが一般的です。
この形をとると、担当者の仕事はひとつ増えます。自分で手を動かす前に、持つ範囲を決めるという仕事です。ここが決まっていないと、来た依頼を順に引き受けるだけになります。
この章のまとめ
専任者なしの体制とは、兼任・外部・ツールで分担する運用のこと。最初の仕事は、採用ではなく範囲を決めることです。
03専任者なしの中小企業がAIOに使える範囲は、どこまでですか?
高梨課長分担といっても、AIOの仕事の中身が分かっていません。どう分ければいいんでしょうか。
鈴木さん専門知識の要求度と作業の続き方で切ると、きれいに分かれますよ。5つに割ってみましょう。
AIOの実務は、ひとかたまりで見ると重く感じます。分け方は5つです。執筆規律、無料計測、初期設定、継続改修、専門診断。この順に、求められる専門性が上がっていきます。
家の手入れに置きかえると、感覚がつかみやすくなります。毎日の片づけにあたるものから、専門の業者に見てもらうものまで、同じ「手入れ」の中に幅があります。AIOも同じで、全部を同じ人が持つ必要はありません。
5つの中身も、ひとことずつ確かめておきます。執筆規律は、結論を1文にまとめ、出典を添えて書くことです。無料計測は、GSCを開いたり、AI検索に自分で聞いてみたりして、言及の様子を見ることです。初期設定は、robots.txtなどの基本設定を確認する作業を指します。継続改修は、既存の記事を直し続けること。専門診断は、引用の状況を分析し、戦略を立てることです。
この章のまとめ
AIOの仕事は5つに分かれます。専門性が低く、日々の作業に混ぜられるものから並べると、兼任で持てる範囲が見えます。
04専任者なしの体制で、AI検索最適化はどこまで自分でやれますか?
前半の3領域は、兼任の担当者でも続けやすい仕事です。それぞれ、実務での重さが違います。
| 業務領域 | 兼任での対応 | 理由・頻度の目安 |
|---|---|---|
| 執筆規律(結論の一文化・出典明示) | 対応しやすい | 記事作成時に都度、専門知識の要求度が低い |
| 無料計測(GSC・手動プロンプト確認) | 対応しやすい | 週30分程度、ツール操作のみで完結する |
| robots.txt・基本設定の確認 | 対応しやすい | 単発作業、初回に一度確認すれば済む |
| 継続的なコンテンツ改修 | 部分的に対応可能 | 量が多いと兼任の時間内に収まらない |
| 引用状況の専門的な分析・戦略立案 | 対応が難しい | 専門知識と継続的な観測体制が必要 |
上の3領域は、週に数時間の範囲でも続けやすい仕事です。着手の順番をつけるなら、初期設定を先に済ませてしまうのが早道になります。単発で終わり、あとに残らないからです。
この章のまとめ
兼任で持てるのは、執筆規律・無料計測・初期設定の3つ。単発で終わる設定を先に片づけ、残りは既存の作業に混ぜると続きます。
05専任者なしの中小企業では、AIOのどの範囲を兼任で持てますか?
高梨課長続けられるかどうかは、結局のところ時間の問題ですよね。週に何時間まで、と決めればいいでしょうか。
鈴木さん時間で決めると、たいてい溢れます。見るのは仕事の性質のほうです。同じ工数でも、続くものと続かないものがあるんですよ。
分かれ目は、量ではなく性質のほうにあります。
続く仕事には共通点があります。終わりがあるか、既存の作業に混ぜられるか、判断を伴わないか。このどれかに当てはまるものは、兼任のままでも回ります。
反対に、継続的なコンテンツ改修のように量が読めない仕事や、引用状況の分析のように専門知識と継続的な観測体制が要る仕事は、兼任担当者だけで抱えると他の業務にしわ寄せが出ます。
全部を専任者なしで抱え込む必要はありません。外部の活用も含めた設計の問題として捉えると、判断はずいぶん軽くなります。
この章のまとめ
続く仕事の条件は「終わりがある」「既存の作業に混ぜられる」「判断を伴わない」。量が読めない仕事と、判断が要る仕事は外に出します。
06外部やツールに任せるAI対策の範囲は、どこで線を引きますか?
専門知識が必要な診断・分析と、量の多いコンテンツ改修。この2つは、外部やツールで補うことを検討する対象です。兼任担当者に無理に持たせると、他の業務が滞る原因になりやすいためです。
線を引くときの目安は3つあります。
- 専門知識の要求度 — 引用状況の分析や競合比較のように、専門的な判断が必要な業務は、外部の知見を借りる価値があります
- 作業量と継続性 — 記事の量産や継続的なレポート作成のように、時間を多く要する業務は、ツール導入や外部委託で効率化しやすい領域です
- 失敗した場合の影響 — 誤った判断が事業に与える影響が大きい業務ほど、第三者の視点を入れる価値が高くなります
3つのうち、いちばん見落とされるのが3番目です。作業量が少なくても、判断を誤ったときの影響が大きい業務はあります。そこは、量が少ないからという理由で社内に残さないほうが安全です。
この章のまとめ
線引きの目安は「専門性」「作業量」「失敗の影響」。量が少なくても、影響の大きい判断は第三者の目を入れます。
07LLMO対策を外に出すとき、中小企業は何を基準に選びますか?
大森部長外に出すのは構わない。ただ、任せた先が期待外れだった、という話もよく聞くが。
鈴木さんそこは調査にも出ています。外注先への不満は、実行できない提案と事業を分かっていないの2つが上位でした。
PLAN-B社の同じ調査では、外注先への不満として「実行可能性の低さ」(26.0%)と「事業理解不足」(24.5%)が上位に挙がっています(出典: 同調査)。
この2つは、依頼する側の準備でも変わります。外に出す場合も、丸投げにせず、自社側で判断の基準を持っておくことが重要です。
社内に残すものと外に出すものを分けても、判断の基準だけは自社に残す。この形にしておくと、届いた提案が自社で実行できるものかどうかを、自分たちで見られるようになります。
この章のまとめ
外注先への不満は「実行できない」「事業を分かっていない」が上位。判断の基準を自社に残しておくと、この2つは減らせます。
08AIOの専任化や外注を検討する中小企業のサインは何ですか?
大森部長逆に聞くが、どうなったら人を採る、あるいは外に出すという判断になるんだ。
鈴木さん目安になるサインがあります。いくつ当てはまるかで見てください。ひとつだけなら、まだ範囲の見直しで戻せます。
兼任担当者の負荷が一定の水準を超えたら、専任化や外注を検討する時期です。目安になるサインを挙げます。
- 兼任担当者の残業が、AIO関連の業務だけで恒常的に発生している
- 計測データはあるが、良し悪しを判断できる知識が社内にない
- 複数の施策が並行して止まり、どれも完了しない状態が続いている
- 経営判断に関わる投資額の意思決定が必要になった
このうち2つ以上に当てはまる場合は、専任化や外注の検討を具体的に始める目安と考えてください。1つだけであれば、まず業務範囲の見直しで対応できないかを確認してからでも遅くはありません。
この章のまとめ
サインは4つ。2つ以上そろったら検討を始めます。1つだけなら、範囲の見直しで戻せることが多くあります。
09専任者なしのAI検索対策で、よくつまずくのはどこですか?
ここまでの仕分けをしないまま進んだとき、起きやすいことを4つ挙げます。
①全部を兼任担当者に抱え込ませてしまう。 専門的な分析や大量のコンテンツ改修まで任せると、他の業務にしわ寄せが出て、どちらも中途半端になりやすくなります。
②外部委託を「丸投げ」にしてしまう。 依頼先に判断の基準を伝えないまま任せると、実行可能性の低い提案や、事業理解の浅い施策につながりやすくなります。
③専任者がいないことを理由に、着手そのものを先送りしてしまう。 専任者の不在は多数派の実態であり、着手できない理由にはなりません。兼任で回せる領域から始めるのが現実的です。
④業務範囲を一度決めたきり、見直さないまま運用してしまう。 事業のフェーズやコンテンツの量が変われば、兼任で回せる範囲も変わります。四半期に一度は、切り分けを見直すことをおすすめします。
なお、本誌を運営するWEBMARKSも、AIO(AI検索最適化)の支援を行っています。外に出す範囲を検討するときは、比較検討する候補の1つとしてご確認いただければと思います。
この章のまとめ
つまずきは「抱え込む」「丸投げ」「先送り」「見直さない」の4つ。どれも、範囲の決め方と定期的な見直しで避けられます。
10よくある質問
専任者がいないと、AIOの効果は出にくいですか?
専任者の有無だけで効果が決まるとは確認できていません。兼任の担当者でも、業務範囲を適切に切り分ければ、負担の軽い領域から継続的に取り組むことはできます。
兼任担当者に、週どれくらい割り当てるのが目安ですか?
一律の正解はありません。まずは執筆規律・無料計測など対応しやすい領域から始めて、週に数時間の範囲で続けられるかを実際に確かめることをおすすめします。
外部委託とツール導入、どちらを先に検討すべきですか?
業務の性質によります。専門的な分析や判断が必要な業務は外部委託、定型的な作業の効率化はツール導入が向いている傾向にあります。優先順位は自社の課題によって変わります。
専任者を採用すれば、この記事の課題は解決しますか?
体制の選択肢の1つですが、唯一の解ではありません。採用にはコストと時間がかかります。まずは兼任と外部活用の組み合わせで運用を回しながら、検討することも選択肢になります。
兼任担当者が異動・退職した場合のリスクには、どう備えればいいですか?
属人化を避けるため、判断の基準や作業の手順を記録に残しておくことをおすすめします。特定の担当者しか分からない状態は、体制にかかわらず避けたいリスクです。
業務範囲は、どのくらいの頻度で見直せばいいですか?
四半期に一度を目安にしてください。コンテンツの量や事業のフェーズが変われば、兼任で回せる範囲も変わります。見直しの時期をあらかじめ決めておくと、抱え込みに気づきやすくなります。
11まとめ|まず社内でやる3つのこと
専任者を置かない体制は、中小企業では例外ではなく、多数派に近い実態です。AIOの業務を執筆規律・無料計測・初期設定・継続改修・専門診断の5領域に仕分け、対応しやすい領域から着手することが現実的な進め方になります。
専門性や作業量の大きい領域は、外部やツールに任せる判断も含めて設計してください。まずは自社の業務範囲を棚卸しし、どこまでを社内で持つかを決めるところから始めます。
今日この順でやります
5領域に仕分ける
執筆規律・無料計測・初期設定・継続改修・専門診断で棚卸しします
前半を社内に残す
単発で終わる設定を先に片づけ、残りは既存の作業に混ぜます
判断の基準を自社に置く
外に出す場合も、良し悪しを見る目だけは手放しません
決めたことを確かめるリストも置いておきます。社内の打ち合わせ資料に、そのままお使いください。
- 自社のAIO業務を、執筆規律・無料計測・初期設定・継続改修・専門診断の5領域に仕分けた
- 兼任の担当者が対応しやすい領域と、対応が難しい領域を区別した
- 兼任の担当者に週どれくらい割けるかを、具体的に確認した
- 外部やツールに任せる業務の判断基準(専門性・作業量・失敗の影響度)を決めた
- 専任化や外注を検討すべきサインを、自社の状況と照らし合わせた
AI検索では、こう聞かれています
専任者がいない中小企業でも、AIOに取り組めますか?
「AIOの専任者がいない中小企業は、うちだけなんですか?」の章で、体制の実態を調査の数字で示しています
兼任の担当者が回せるAIOの業務範囲はどこまでですか?
「専任者なしの中小企業では、AIOのどの範囲を兼任で持てますか?」の章で、続く仕事の条件を挙げています
AIOを外注するかどうかは、何を基準に決めればいいですか?
「外部やツールに任せるAI対策の範囲は、どこで線を引きますか?」の章に、3つの目安があります
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