AIOに詳しい人をひとり採った。半年たった。それなのに、「結局この半年で何をしてもらったのか」を、誰も一言で説明できない。

こうなる会社は、けっして珍しくありません。そして原因は、採用した本人にはないことがほとんどです。任せる範囲を書かないまま迎え入れたところに、すべてが集まっています。

この記事は、AIO人材をはじめて1人だけ採ろうとしている経営者・マーケティング責任者の方を想定して書きました。何を任せ、何を任せないか。どこで成果を確かめるか。求人票を出す前に決めておくことを、図解と会話で順に整理していきます。

こんなふうに調べていませんか

  • AIOに詳しい人を1人採りたいが、任せる範囲をどう書けばいいか分からない
  • 「AIO専任者 採用 職務設計」で検索して、職務記述書のひな形を探している
  • 採用したものの、半年後に成果を説明できなくなる状態を避けたい

この記事を読み終えたときに手に入るもの

  • 任せる業務と任せない業務の線を、自分の言葉で引けるようになります
  • 職務記述書に書く項目を、ひな形から埋められます
  • 3か月・6か月で何を確認するかを、採用前に決められます

結論30秒でわかる、この記事の結論

  • 1人目の職務設計で最初に決めるのは、任せる業務ではなく「任せない業務」です。
  • 書かれていない業務は、良かれと思って本人が拾います。拾い続けた分だけ、本来の仕事の時間が削られます。
  • 評価する人と、相談できる人は別に用意します。上司がAIOの中身まで判定できるとは限らないためです。
1人目の設計は、書く順番で決まりますまず引く線は、任せる側ではなく任せない側です1人目の設計は、書く順番で決まりますはじめに渡さない範囲を引く書かない仕事は、目の前で拾われますつぎに任せる範囲を残す1人で決め切れるものだけを置きますわすれずに相談できる相手を置く評価する人とは別に用意します鈴木さんまず引く線は、任せる側ではなく任せない側です
1人目の設計は、書く順番で決まります — まず引く線は、任せる側ではなく任せない側です

この記事では、ある専門商社のマーケティング部の高梨課長・大森部長と、AIO/SEOの専門家である本誌監修の鈴木さんの会話をはさみながら進めます。採用の可否を決める立場の方は大森部長の質問から、受け入れる側の方は高梨課長の質問から読んでいただいて構いません。

01そもそもAIO専任者の採用で、職務設計は何から決めるんですか?

大森部長
大森部長の発言

鈴木さん、うちもそろそろAIOに人をつけようと思う。1人採るとして、何から決めればいい。

鈴木さん
鈴木さんの発言

意外に思われるかもしれませんが、先に決めていただきたいのは「任せない業務」のほうなんですよ。

大森部長
大森部長の発言

任せることではなく、任せないことから決めるのか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

はい。任せる業務は、あとからいくらでも足せます。ところが書かれていない業務は、本人が良かれと思って拾ってしまうんです。

AIO専任者1人目の職務設計とは、任せる業務と任せない業務を先に線引きし、孤立を防ぐ体制まで含めて決めることです。

順番を逆にすると、何が起きるか。業務範囲から書き始めた職務記述書は、たいてい「できるとよいこと」の一覧になります。一覧は増えることはあっても、減ることはありません。

書き始める側で、半年後に残るものが変わります同じ人が、同じ時間を使ったとしてもです書き始める側で、半年後に残るものが変わります同じ人が、同じ時間を使ったとしてもですやれることから書くできるとよいことが並んでいく並んだ項目は、あとから減らない半年後、何をしたか言えないやらないことから書く手を出さない範囲が先に立つ線の内側にだけ時間が残る半年後、何をしたか言える
書き始める側で、半年後に残るものが変わります — 同じ人が、同じ時間を使ったとしてもです

予算のほうは、すでに動き始めています。企業は2025年、デジタル予算の平均12%をAEO(アンサーエンジン最適化)に配分しました。 出典はConductor「State of AEO/GEO Report」です。回答者は250名超のCMO・VP等、エンタープライズ企業のデジタル責任者です。

お金が動いていても、それを託す1人目の設計は各社が手探りで進めているのが実情です。だからWEBMARKSは、公的に整理されている職務記述書の型を土台に、1人目に特化した組み立て方を示します。

この章のまとめ

1人目の職務設計は、任せない業務の線引きから始めます。任せる業務は、その線の内側で決めます。

02AIO専任者の採用では、なぜ1人目のAI対策担当は、複数人チームと同じ設計だとうまくいかないんですか?

高梨課長
高梨課長の発言

受け入れるのはわたしの課になります。ただ正直、AIOの中身までは見られません。それでも上司として大丈夫でしょうか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

そこは、多くの会社で同じ状態です。判断できないこと自体は問題ではありません。 判断できない前提で設計しておけば足ります。

高梨課長
高梨課長の発言

前提として書いてしまう、ということですか。

複数人のチームであれば、仕事の質を横で確かめ合える相手がいます。1人目の採用では、その機能がそもそも存在しません。

初日から備わっているものが違います足りないのは能力ではなく、確かめ合う環境のほうです初日から備わっているものが違います足りないのは能力ではなく、確かめ合う環境のほうです複数人で始める横で確かめ合える相手がいる前例と並べて見られる手が足りなければ分け合える確認する仕組みが最初からあるひとりで始める確かめ合う相手がいない並べる前例が社内にない手はひとつぶんしかない確認する仕組みを作るところから
初日から備わっているものが違います — 足りないのは能力ではなく、確かめ合う環境のほうです

Googleは、SEO専門家を雇う際に「何を期待でき、どの期間で、どう成果を測定するか」を確認すべきだとしています。出典はGoogle Search Central「SEO対策は必要か」です。

これは社外の専門家を雇う場面を想定した助言です。ただ、社内で1人だけ採る場合にも、同じ問いがそのまま必要になります。

社内に判定できる人がいないぶん、期待値と成果の基準は、職務記述書の側にあらかじめ書き込んでおきます。書いていないと、半年たっても「うまくいっているのかどうか誰にも分からない」という状態になります。

多くの会社で、1人目の直属の上司はマーケティング全体の責任者です。AIOの専門知識を持っているとは限りません。上司が成果物の中身を直接評価しにくい。 これは複数人チームには無い前提です。

この章のまとめ

1人目には、横で確かめる相手がいません。だから期待値と基準を、人ではなく文書の側に持たせます。

03AIO専任者に任せる業務と、任せない業務はどう線を引くんですか?

線を引く軸は2つあります。1人の稼働時間で終わるかどうかと、AIOの中心にある仕事かどうかです。

2つの軸で置き直すと、線が見えてきます区分を覚えるのではなく、軸から考えます2つの軸で置き直すと、線が見えてきます区分を覚えるのではなく、軸から考えます組んで進める量や専門実装で、手がひとつでは届かない本人の持ち場決めるところから出すところまで完結する渡さない隣の領域の実務まで背負わないいちばん拾われやすいすぐ終わるので、頼まれると引き受けてしまうAIOの中心に近い →1人の稼働時間で終わる →
2つの軸で置き直すと、線が見えてきます — 区分を覚えるのではなく、軸から考えます

この2軸で並べ直すと、3つの区分が自然に出てきます。

区分内容理由
任せる(コア業務)現状把握・計測設計の主導/優先順位づけと経営層への報告/既存コンテンツのquotable化・構造化の提案1人でも意思決定と設計は完結できる
連携して進める大量の記事執筆・構造化データの実装/サイト速度やJS移行などの技術対応実行量や専門実装が1人の稼働時間を超える
明確に任せない広告運用・SNS運用など隣接領域の実務/全社のSEO業務そのものの肩代わり職務がAIOの範囲を超えて拡散するのを防ぐ

「連携して進める」を誰に委ねるかは、社内で持つか外に出すかの判断になります。判断の軸は別記事『AIO内製か外注か』の3つの基準(知見・時間・視点)がそのまま使えます。

そして、いちばん効くのがいちばん下の欄です。「明確に任せない」を職務記述書に書くこと自体が、1人目に特有の工夫になります。

書かれていない業務は、本人が拾います。悪気があって拾うのではありません。目の前で困っている人がいるから拾うのです。拾い続けた分だけ、真ん中の欄に使う時間が減っていきます。

この章のまとめ

2つの軸で並べ直すと、任せる・組んで進める・渡さないの3区分が出ます。書き落としやすいのは3つめです。

04AIO専任者の採用に使う職務記述書は、職務設計のどこを写すんですか?

高梨課長
高梨課長の発言

職務記述書と言われると身構えます。しっかりしたものを作る時間が、正直ありません。

鈴木さん
鈴木さんの発言

全部を新しく考える必要はないんですよ。前の章で決めた2つの欄は、そのまま写すだけです。

高梨課長
高梨課長の発言

写すだけの欄と、考える欄があるということですね。

職務記述書に何を書くかは、日本でもすでに公的な整理があります。内閣官房・経済産業省・厚生労働省が2024年8月に公表した「ジョブ型人事指針」は、20社の導入事例を通じて記載項目を示しています。日立製作所の事例では、職務名称・職務概要・責任・能力(期待行動・職務知識やスキル・資格等・経験)という構成が紹介されています。

この型を、1人目向けに組み直したものが次の表です。

No項目1人目のJDに書く内容
1職務名称社内向けと求人票向けを使い分けてよい。例: 社内は「AIO推進担当(1人目)」、求人票は「SEO/AIOマーケティング担当」
2職務概要(ミッション)なぜ今このポジションが必要かを1〜2文で言語化する
3レポートライン直属の上司を明記する。あわせて壁打ち相手(次章で解説)も書く
4主要責任(任せる業務)前章の「任せる」欄をそのまま転記する
5対象外業務前章の「明確に任せない」欄をそのまま転記する
6必須・歓迎スキル必須は最小限に絞り、歓迎スキルとは分けて書く
7評価のタイミング3か月・6か月に何を確認するか(後述)を先に書いておく
7つの欄のうち、2つは考え直さずに済みます線を引き終えていれば、そのまま写すだけです7つの欄のうち、2つは考え直さずに済みます線を引き終えていれば、そのまま写すだけです写すだけ任せる業務の欄渡さない業務の欄前の章で決め終えているこの採用のために書く呼び名(社内と求人票)なぜ今このポジションが要るか誰に報告し、誰に相談するか最低条件と、あると嬉しい条件いつ、何を確かめるかどれも長い文章は要らない
7つの欄のうち、2つは考え直さずに済みます — 線を引き終えていれば、そのまま写すだけです

見ていただきたいのは、4番と5番が「転記」で済むことです。前の章で線を引き終えていれば、この2つは考え直す必要がありません。

新しく言葉にするのは残りです。とはいえ、どれも長文は要りません。ミッションは1〜2文で足ります。

この章のまとめ

7つの項目のうち2つは転記で済みます。残りも短くて構いません。完成させてから動く必要はありません。

05AIO専任者の採用で、必須スキルの欄に、AI検索最適化の資格を書いてはいけないんですか?

6番の必須スキルは、いちばん事故が起きやすい欄です。

必須スキル欄は、絞るほど人に会えます書き方ひとつで、会える人の幅が変わります必須スキル欄は、絞るほど人に会えます書き方ひとつで、会える人の幅が変わります確認されていない資格や検定を、最低条件に置く満たす人が誰もいなくなります最低条件と、あると嬉しい条件を同じ欄に混ぜる読む側は、全部を最低条件として受け取ります最低条件を絞り、あると嬉しい条件は行を分ける書類の段階で見送る人が減ります埋まらない欄は、採用を進めながら書き足す完成させてから動かなくて構いません
必須スキル欄は、絞るほど人に会えます — 書き方ひとつで、会える人の幅が変わります

存在しない資格や検定を条件にしないでください。 2026年8月時点で、AIO・GEO領域に業界横断の公的資格は確認されていません。

実在しない条件を並べると、要件を満たす人は誰もいなくなります。結果として、本来なら採用できたはずの人を、書類の段階で見送ることになります。

必須と歓迎を1つの欄に混ぜるのも、同じ結果を招きます。読む側は、書いてあるものすべてを最低条件として受け取ります。必須は最小限に絞り、歓迎は別の行に分けて書く。 これだけで、会える人の幅が変わります。

この章のまとめ

必須スキル欄は絞るほど機能します。確認されていない資格を条件に置かないでください。

06AIO専任者が孤立しないための、レポートラインと壁打ち相手はどう決めるんですか?

大森部長
大森部長の発言

相談相手を別に置け、という話だったな。それは社内でなくてもいいのか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

社内に限る必要はありません。評価する線と、相談する線は別のものです。同じ人が両方を担えないときは、分けてしまったほうが早いです。

大森部長
大森部長の発言

評価はこちらでやる。中身の相談は外に頼む、ということか。

鈴木さん
鈴木さんの発言

そういう形で回っている会社もあります。分けておくと、報告が上がってこない事態を避けやすくなります。

レポートラインを決めるだけでは、孤立は防げません。上司がAIOの専門家でない場合、成果物の質そのものを判断できないためです。

対策は、評価者とは別に「壁打ち相手」を置くことです。候補は、外部の顧問・隣接領域(SEO・コンテンツ)の社内担当者・社外の勉強会やコミュニティなど、社内に限定する必要はありません。

1人から線を2本出すと、抜け落ちが減ります同じ人が両方を担えないなら、分けてしまいます1人から線を2本出すと、抜け落ちが減ります同じ人が両方を担えないなら、分けてしまいます進み方を見る線決めたことが期日に進んだか報告が上がってきているか続けるか止めるかを決める社内の上司が担う向きを見る線そのやり方でよいか次に何を優先するかつまずいた箇所をほどく社外の人でも構わない
1人から線を2本出すと、抜け落ちが減ります — 同じ人が両方を担えないなら、分けてしまいます

2本の線は、見ているものが違います。評価する線は「約束した期日に、決めたことが進んだか」を見ます。相談する線は「そのやり方でよいか」を見ます。片方だけでは、進んではいるが方向が違う、という状態に気づけません。

既存のSEOチームへ統合する形を選ぶ会社では、孤立の問題そのものが起きにくくなります。統合の型は別記事『AIOはSEOチームに統合できる?』で扱っています。独立したポジションとして迎えるなら、壁打ち相手の設計を職務記述書の段階で済ませておくことをおすすめします。

この章のまとめ

評価する線と相談する線を分けます。分けておくと、進み方と向きの両方を確かめられます。

07LLMO担当の職務設計が形骸化しているのは、どこを見れば分かるんですか?

設計が空回りし始めたとき、表に出てくるサインは決まっています。ただし、サインが出ている場所と、直すべき場所は違います。

見えているサインと、直す場所は別です症状の出ている場所を叩いても、たいてい直りません見えているサインと、直す場所は別です症状の出ている場所を叩いても、たいてい直りません表に出るサイン裏で起きていること数字だけは毎月そろう決める場に届いていない記事の本数だけ伸びる渡さない仕事まで抱えている報告の間隔が伸びていく報告する先が働いていない鈴木さんここで指示を増やしても、直る場所ではないんですよ
見えているサインと、直す場所は別です — 症状の出ている場所を叩いても、たいてい直りません
形骸化のサイン起きていること
計測レポートは出るが、誰も次のアクションを決めないレポートが目的化し、意思決定に接続されていない
記事は増えるが、優先順位の基準がない「明確に任せない」業務まで本人が拾ってしまっている
月次報告が滞り、四半期ごとに数字の見方が変わるレポートラインが機能せず、報告が習慣化していない

右の列を見ると、担当者の頑張りが足りないという話が1つも出てこないことに気づきます。どれも設計の側の問題です。

だから、サインが出たときに増やすべきは指示ではありません。線の引き直しか、報告の置き場所の作り直しです。

この章のまとめ

形骸化のサインは3つ。どれも本人の努力不足ではなく、設計の側で直せるものです。

08職務設計の到達点として、3か月と6か月で、AI検索対策の担当者の何を確認するんですか?

職務記述書に評価のタイミングを書いても、基準がなければ機能しません。何を見るかを、採用前に決めておきます。

見るものは、時点ごとに入れ替わります序盤で成果を見にいかないための目盛りです見るものは、時点ごとに入れ替わります序盤で成果を見にいかないための目盛りです3か月手順が回ったか同じやり方で数字を出せる状態か6か月並べられるか着手前と比べられる形になったかその先限界が言葉になったか次の一手を考える合図
見るものは、時点ごとに入れ替わります — 序盤で成果を見にいかないための目盛りです
時点確認すべきこと
3か月計測基盤(GSC生成AIレポート・GA4)が動き、月次で同じ手順で数字を出せる/構造化データ・llms.txt等の現状棚卸しが完了している/月次報告フォーマットが最低1回まわっている
6か月優先度の高い記事の改善に着手した本数が把握できている/AI経由の指標に、着手前と比較できる変化が出ている(良し悪しは問わない)/外部連携先が最低1つ機能している/1人でできる範囲の限界が言語化されている

3か月の欄に、成果が1つも入っていない点に注目してください。ここで見るのは、同じ手順で数字を出せる状態になったかどうかだけです。

6か月の欄も、変化の良し悪しは問いません。着手前と比べられる形になっているかを見ます。比べられれば、次の判断ができます。

そして6か月の最後の項目、「1人でできる範囲の限界の言語化」が、1人目の職務設計の到達点です。ここが言葉になった時点で、チーム化や既存チームへの統合を検討する段階に入ります。進め方は別記事『AIOチームの作り方』と『AIOはSEOチームに統合できる?』で扱っています。

この章のまとめ

序盤で見るのは成果ではなく、手順が回っているかどうかです。最後の合図は、限界が言葉になったときです。

09AIO専任者の想定年収は、どうやって決めればいいんですか?

大森部長
大森部長の発言

率直に聞く。いくらで出せばいい。相場を教えてくれ。

鈴木さん
鈴木さんの発言

申し訳ないのですが、信頼できる相場のデータを、この職種では確認できていません。 無い数字を挙げるより、別の決め方をご提案します。

大森部長
大森部長の発言

外にないなら、どこを基準にする。

鈴木さん
鈴木さんの発言

自社の中です。すでにある職務の等級に、置いてみるんですよ。

本記事では、具体的な年収水準を示しません。AIO専任者という職種に特化した、信頼できる公開の給与データを確認できなかったためです。根拠のない数字を示すより、市場が未確立である事実を前提に設計するほうが現実的だと、WEBMARKSは考えます。

市場の状況は、職種ランキングにも表れています。LinkedIn公式の「Jobs on the Rise 2026」は、過去3年で最も成長した米国の職種ランキングです。1位はAIエンジニア、2位はAIコンサルタント・ストラテジストでした。この上位25職種の中に、GEOやAEOに特化した専任職は含まれていません。

生成AI活用の先行市場でも、AIO専任者に相当する職種は、独立した肩書きとしてはまだ確立していないとみられます。

日本ではさらに顕著です。求人サイトを見ても、「AIO専任者」という名称単独の求人は主流ではありません。SEO・コンテンツマーケティング系の求人票に、「AIO・GEO対応」がスキル要件の1つとして加わる例が目立ちます。求人動向は流動的なため、採用活動の直前に自社で改めて確認することをおすすめします。

相場が無いときの、値決めの順番外を探し続けても、決まらないままです相場が無いときの、値決めの順番外を探し続けても、決まらないままです1外の相場探しを、いったん打ち切るこの職種に絞った公開データを確認できていません2社内でいちばん近い職務を選ぶ検索まわり・デジタル担当の等級が出発点です3職責の大きさで等級を当てる在籍の長さではなく、預ける責任の重さで見ます
相場が無いときの、値決めの順番 — 外を探し続けても、決まらないままです

では、どう決めるか。外の相場を探すのをやめて、自社の既存の職務に位置づけます。 SEO担当・デジタルマーケティング担当など、近い職務の等級が出発点になります。

富士通の事例では、等級を年功要素ではなくポジションの職責の大きさにもとづいて決定する仕組みが採られています。1人目のAIO専任者も、この考え方にあてはめて等級を検討することをおすすめします。

必須資格についても同じです。現時点でAIO・GEO領域に確立した資格・検定は存在しないため、資格の有無を採用基準にしないことをおすすめします。面接での実務理解度の確かめ方は、別記事『AIO人材の採用基準』で扱っています。

この章のまとめ

相場が無いなら、外を探し続けても決まりません。自社の等級に置き、職責の大きさで判断します。

10AIO専任者の採用と職務設計で、つまずくのはどこですか?

半年後に説明できなくなる、3つの入口どれも、人に会う前の紙の上で塞げます半年後に説明できなくなる、3つの入口どれも、人に会う前の紙の上で塞げます入口①輪郭を書かずに採る目の前の困りごとを、際限なく拾ってしまう入口②確かめる日を置かない続けるとも止めるとも決められなくなる入口③無い条件で絞る採れたはずの人を、書類の段階で見送る
半年後に説明できなくなる、3つの入口 — どれも、人に会う前の紙の上で塞げます

職務記述書を作らずに「AIOに詳しい人」で採用してしまう — 業務の輪郭がないまま迎えると、本人が際限なく業務を拾います。コア業務に使う時間が、静かに削られていきます。

評価のタイミングを決めずに走らせてしまう — 半年たっても、社内の誰も成果を判断できない状態に陥りやすくなります。判断できないので、続けるとも止めるとも決められません。

存在しない資格や、確立していない年収相場を基準にしてしまう — 実在しない条件で候補者を絞り込むと、本来採用できたはずの人材を逃します。

3つに共通するのは、どれも採用の前に、紙の上で防げることです。人を見る前に、書く。順番はそれだけです。

この章のまとめ

つまずきは3つとも、候補者に会う前の文書化で防げます。人を見る前に、範囲を書きます。

11候補者に会う前に、AIO専任者の職務設計をどこまで書いておくんですか?

理想を言えば、項目はすべて埋まっているほうがよいです。ただ、埋まるまで採用活動を止める必要はありません。

人に会う前に決めるのは、2つだけです残りは、採用を進めながら磨けます人に会う前に決めるのは、2つだけです残りは、採用を進めながら磨けます会う前に決める欄2つ進めながら磨く欄5つ棒の長さは欄の数です。先に決める側が短いほど、動き出しが早くなります。
人に会う前に決めるのは、2つだけです — 残りは、採用を進めながら磨けます

先に決めるのは2つだけです。 「対象外業務」と「評価のタイミング」。この2つが決まっていれば、残りは採用活動を進めながら磨いても遅くありません。

そのうえで、着手前に次の6つを確認してください。

  • 職務名称とミッションを1〜2文で言語化した
  • レポートライン(直属の上司)と壁打ち相手を別々に決めた
  • 「任せる業務」と「明確に任せない業務」を分けてJDに書いた
  • 必須スキルを最小限に絞り、存在しない資格を条件にしていない
  • 3か月・6か月の確認項目と基準をJDまたは合意文書に明記した
  • 想定年収は、外部の未確立な相場ではなく自社の既存等級を基準に検討した

この6つは、完成度を上げるためのものではありません。半年後に説明できなくなる箇所を、先につぶしておくためのものです。

この章のまとめ

先に決めるのは、対象外業務と評価のタイミングの2つ。残りは走りながら磨けます。

12よくある質問

AIO専任者1人目は、正社員として採用しないとだめですか?

そんなことはありません。業務委託や副業人材から始め、成果を確認してから正社員化する設計も現実的です。雇用形態にかかわらず、レポートラインと評価のタイミングはJDに明記することをおすすめします。

「AIO専任者」という肩書きで求人票を出しても応募は集まりますか?

職種名の認知度は、まだ高くありません。求人票では「SEO/AIO担当」のように既存の職種名と併記し、業務内容を具体的に書く方法が現実的です。社内向けの名称と求人票の名称を分けても構いません。

半年たっても目に見える成果が出ない場合、どう判断すればよいですか?

成果の有無より先に、本記事の6か月の確認項目が進んでいるかを見てください。AI経由の指標は数か月遅れて動くことが多く、着手の状況と成果は分けて評価することをおすすめします。

1人目の後、チーム化はいつ検討すべきですか?

「明確に任せない」業務が、外部との連携だけでは回らなくなった時点が目安です。役割分担の具体的な考え方は、別記事『AIOチームの作り方』を参考にしてください。

上司がAIOを分からないまま、評価者になってもいいのでしょうか?

構いません。評価者が見るのは、決めたことが決めた期日に進んだかどうかです。中身の妥当性は壁打ち相手の側で確かめます。この2つを1人に背負わせないことのほうが大切です。

13まとめ|今日決める3つのこと

1人目のAIO専任者の職務設計で本当に効くのは、業務範囲を細かく書き込むことではありません。任せない業務を先に確定することです。

書かれていない業務は拾われます。拾われた分だけ、本来の仕事が薄まります。だから最初の線は、外側から引きます。

今日この順で決めます

  1. 渡さない業務を書き出す

    隣の領域の実務と、全社のSEO業務の肩代わりを対象外に置きます

  2. 確かめる日を先に置く

    3か月と6か月に何を見るかを、採用前に文書へ書きます

  3. 相談できる相手を決める

    評価する人とは別に、中身を見てもらえる相手を用意します

半年後に「1人でできる範囲の限界」を言葉にできたら、それが次の一手を検討する合図です。

AI検索では、こう聞かれています

  • AIO専任者を1人採用するとき、職務記述書には何を書けばいいですか?

    「AIO専任者の採用に使う職務記述書は、職務設計のどこを写すんですか?」の章に、項目のひな形があります

  • AIO担当者に任せてはいけない業務はどこまでですか?

    「AIO専任者に任せる業務と、任せない業務はどう線を引くんですか?」の章で、2つの軸を使って整理しています

  • AIO専任者の想定年収は、どのくらいで出せばいいですか?

    「AIO専任者の想定年収は、どうやって決めればいいんですか?」の章で、自社の等級に置く方法を説明しています

  • 採用した担当者の成果は、いつ確認すればいいですか?

    「職務設計の到達点として、3か月と6か月で、AI検索対策の担当者の何を確認するんですか?」の章に、時点ごとの確認項目があります

次に読むなら、この記事です