「そろそろAIOも外に頼もうか」という話になって、何社かに声をかけた。提案書が届いた。ところが並べてみると、書式も強調している点も会社ごとにばらばらで、同じ土俵に載せられない。
そのまま「では金額で決めましょう」と進めてしまうと、契約したあとに「その作業は範囲外です」というやり取りが起きやすくなります。値段を比べたつもりが、実は中身の違う見積もりを比べていた、ということが起こるからです。
この記事は、発注する側が自分の手で比較の物差しを作るための質問リストです。契約形態や中途解約といった個別の論点は別記事で扱っているので、ここでは発注前に確認する論点の全体像を、10の質問として一覧できる形にまとめます。回答をどこから読むかの視点も、質問ごとに添えました。
こんなふうに調べていませんか
- AIO対策を外注したいが、提案書の見比べ方が分からない
- 「AI検索対策 外注」で検索して、契約前に聞くことを探している
- 上から「一社に決めておいて」と言われたが、決め手が見つからない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 契約前に聞く10の質問を、4カテゴリの順に投げられるようになります
- 返ってきた回答のどこを見ればよいかが、質問ごとに分かります
- 各社の回答を横並びで記録する比較シートを、自分で作れるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 契約前の質問は、価格の妥当性ではなく「提案の根拠」を確かめるために使います。
- 論点は4カテゴリに整理できます。業務範囲・契約条件・実務体制・情報管理の順で聞くと、抜けが出にくくなります。
- 同じ10問を各社に投げると、比較の物差しが自社側に揃います。提案書の書式に振り回されなくなります。
この記事では、ある会社のマーケティング部と専門家のやり取りをはさみながら進めます。ご自身に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか」を聞く役
- 大森部長(事業責任者)— 「その支出は何に対して払うんだ」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01なぜAIO対策会社との契約前に、質問リストが要るんですか?
大森部長提案書は3通そろった。あとは金額を見て決めればいいだろう。
鈴木さんそこがいちばん危ないところなんです。金額の裏側にある作業の量が、会社ごとに違うまま並んでいることが多いので。
大森部長同じ「AIO対策一式」と書いてあってもか。
鈴木さんはい。一式の中身が診断だけの会社と、実装まで含む会社が、同じ言葉で並んでいることがあります。
契約前に聞く質問は、価格そのものではなく、提案の根拠を確かめるための判断材料です。 AIO対策会社の提案書は、会社ごとに書式も強調点も違います。金額だけを並べても、実際に含まれる作業内容の差は見えてきません。
もうひとつ、質問には副産物があります。回答が具体的か曖昧かという、答え方そのものです。同じ質問を投げたときに、手順まで話せる会社と、言葉を言い換えるだけの会社が分かれます。これは実務力を見極める材料になります。
この章のまとめ
提案書の書式は相手が決めます。質問の形は自社が決められます。物差しを自社側に持つことが、契約前の質問の役目です。
02AIO対策会社への契約前の質問は、なぜ4カテゴリに分かれるんですか?
10問をばらばらに投げると、聞き漏らしが出ます。順番を決めておくと、確認が進みます。整理すると次の4カテゴリになります。
業務範囲 → 契約条件 → 実務体制 → 情報管理。 この順に確認すると、自社にとって影響の大きい論点から検討できます。前のカテゴリで前提が決まらないと、後ろのカテゴリの答えが宙に浮くためです。
たとえば業務範囲が「診断のみ」なのか「実装まで」なのかが決まらないうちに契約形態の話をしても、対価が何に対するものかを判断できません。
一度にすべてを深掘りする必要はありません。まずは10問を一覧で把握して、自社の状況に応じて優先順位をつけてください。発注の規模が小さければ、後半のカテゴリは簡単な確認にとどめる、という調整も現実的です。
なお、すでに書面の見積もりを各社から受け取っていて、その内容を横並びで採点したい場合は、別記事『AIO対策会社を選ぶ相見積もり比較チェックリスト15項目』のほうが目的に近いかもしれません。この記事は、見積もりの前後を問わず、担当者とのやり取りの中で直接確認する質問を軸にしている点が違います。
この章のまとめ
4カテゴリは「聞く順番」です。業務範囲が決まらないうちに契約条件を詰めても、判断の材料がそろいません。
03AIO対策会社の業務範囲は、どこまで含まれるか確かめられますか?
まず確認するのは、提案に何が含まれ、何が含まれないかです。ここが質問1〜3にあたります。
| No. | 質問 | 回答で注目する点 |
|---|---|---|
| 1 | 対象範囲は診断・実装・継続運用のどこまでか | 「診断のみ」「実装まで含む」の違いは総額に直結する |
| 2 | どのAI検索エンジンを対象に、何項目を実測するか | 対象範囲が曖昧なまま金額だけ提示していないか |
| 3 | 提案に含まれる施策の根拠は何か | 根拠のない施策(不要なマークアップ等)を含んでいないか |
質問1は、階段のどこまで一緒に登ってくれるかを聞く質問だと考えると分かりやすくなります。診断・実装・継続運用は、段の高さがまったく違います。 診断だけを受け取っても、社内に実装する人がいなければ報告書は止まったままになります。
質問3については、Google Search Centralの公式ガイドが判断のよりどころになります。同ガイドは、llms.txtの設置やAI向けの特別な文体は必須の施策ではないと明記しています(出典: 同ガイド)。提案にこうした施策が入っている場合は、それがなぜ必要なのかを具体的に確認してください。
この章のまとめ
業務範囲は、診断・実装・継続運用のどこまでかで総額が変わります。項目の多さではなく、1項目ずつの根拠を見ます。
04AIO対策会社との契約条件は、契約前に何を確かめますか?
次に、契約の形態や期間です。質問4〜6にあたります。
| No. | 質問 | 回答で注目する点 |
|---|---|---|
| 4 | 契約形態は準委任か請負か | 対価が業務遂行に対するものか成果物に対するものかが変わる |
| 5 | 最低契約期間と中途解約の条件は何か | 途中で契約を終える場合の扱いが明確か |
| 6 | 追加費用が発生する条件は何か | 想定外の追加費用が発生する条件が事前に示されているか |
高梨課長準委任と請負、契約書に書いてある言葉としては見たことがありますが、実務では何が変わるんでしょうか。
鈴木さんお金が何に対して払われるかが変わります。 準委任は、専門家として業務を遂行すること自体に対価を払う形です。請負は、事前に特定した成果物の完成に対価を払う形になります。
高梨課長では、どちらが良いというものではないと。
鈴木さんそうですね。診断の報告書のように形が決まるものと、継続的な運用のように形が決まらないものでは、向く形が違うと考えられます。
準委任と請負の違いは、IPAが公開するモデル契約書の考え方が参考になります(出典: アジャイル開発版モデル契約書)。準委任は、専門家として業務を遂行すること自体に対価を支払う方式です。請負は、事前に特定した成果物の完成に対価を支払う方式です(出典: 同モデル契約書)。
契約形態ごとの詳しい違いは、別記事『AIOコンサルの契約形態|月額・成果報酬・プロジェクト型の違い』で解説しています。中途解約の条件については、別記事『AIO対策会社との中途解約|違約金・引き継ぎ条項の確認点』もあわせて確認してください。
なお、本記事を運営する株式会社WEBMARKSも、AIO(AI検索最適化)の支援を行っています。契約条件の確認を進める際は、この記事で挙げた質問を、他社とあわせて比較検討する材料の1つとしてご確認いただければと思います。
この章のまとめ
契約形態は優劣ではなく相性です。成果物の形が決まるかどうかで、向く形が変わります。
05AIO対策会社の実務体制は、AI対策の成果とどう関係しますか?
提案を説明する担当者と、実際に手を動かす担当者が同じとは限りません。質問7〜8にあたります。
| No. | 質問 | 回答で注目する点 |
|---|---|---|
| 7 | 実務を担当するのは誰で、どんな実績があるか | 営業担当と実務担当が同一かどうか |
| 8 | 成果をどう定義し、どのツールでどの頻度で計測するか | 計測方法が具体的に説明できるか |
高梨課長提案に来てくださった方の説明はとても分かりやすかったんです。ただ、その方がずっと担当されるとは限らないですよね。
鈴木さんそこは分けて確認したほうがいいところです。説明のうまさと、実務の手つきは別の能力なので。
高梨課長聞き方が難しそうですが。
鈴木さん「着手後は、どなたとやり取りすることになりますか」と聞くだけで十分です。答えにくい質問ではありません。
質問8については、Google Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートが計測手段の一例になります(出典: 生成AI パフォーマンス レポート)。AI Overviews・AIモードでの自社サイトのインプレッション推移を確認できる、公式の計測機能です(出典: 同ヘルプページ)。提案側がこうした計測手段を具体的に説明できるかどうかは、実務力を見極める手がかりになります。
成果の定義と計測方法は、セットで聞いてください。 どちらか一方だけだと、あとから「その数字は測っていません」というずれが起きます。実績の見方をさらに詳しく知りたい場合は、別記事『AIO対策会社の実績はどう見る|引用実測・レポート・提案粒度』を参考にしてください。
この章のまとめ
説明担当と実務担当は別のことがあります。誰が手を動かすか、成果を何でどの頻度で測るかを、セットで聞きます。
06情報管理について、AIO対策会社へ契約前に聞く質問は何ですか?
最後は、取引条件の明示と秘密保持です。質問9〜10にあたります。
| No. | 質問 | 回答で注目する点 |
|---|---|---|
| 9 | 取引条件(業務内容・納期・報酬・支払期日)は書面で明示されるか | 口頭説明のみで済まされていないか |
| 10 | 秘密保持契約(NDA)の範囲はどこまでか | 自社の非公開情報の扱いが明確か |
質問9に関連して、2025年にフリーランス新法が施行されています(出典: フリーランス法)。同法は、業務委託の相手が従業員のいない個人事業主や一人法人である場合に、取引条件を書面等で明示する義務と、支払期日を明確にする義務を発注側に課しています(出典: 同法解説)。
相手が従業員を抱える法人の場合、この法律の直接の適用対象ではありません。ただし、取引条件を書面で明示し、支払期日を明確にするという考え方自体は、契約形態を問わず参考にできる実務慣行です。
NDAの範囲については、自社の非公開情報をどこまで渡すかを先に決めておくと話が早くなります。顧客データ・社内KPI・未公開の施策などのうち、どこまでを共有し、契約が終わったあとにどう扱うかを事前にすり合わせておくことが大切です。
この章のまとめ
書面での条件明示と、非公開情報の扱い。この2点は、契約が終わったあとのことまで含めて確認します。
07AI検索最適化の提案を、複数のAIO対策会社で見比べるにはどうしますか?
10問への回答は、1社ずつ確認して終わりにするより、比較シートを作って横並びで記録するほうが判断しやすくなります。縦軸に10の質問、横軸に比較対象の会社を置いた表です。
シートを作るときは、次の3つを決めておくと後から読み返せます。
比較シートで決めておくこと
記録するのは回答そのもの
要約せず、返ってきた言葉のまま書き留めます
空欄も残す
答えが返ってこなかった項目は、空欄のまま残しておきます
自社の希望も1列作る
各社の回答と同じ形で、自社が望む答えも書いておきます
比較シートを作る前の準備として、別記事『AIO対策のRFP準備チェックリスト|依頼前に整理すべき4つの情報』もあわせて確認すると、質問そのものの精度も上がります。
この章のまとめ
回答は要約せずに記録します。空欄も情報です。自社の希望を1列作ると、ずれている場所がすぐに見えます。
08LLMO対策の相談先を決める前に、発注側は質問への準備として何を整理しておきますか?
本メディアを運営するWEBMARKSの見解として、10の質問は業者を試すためだけのものではなく、発注側が自社の要件を整理するための準備でもあると考えています。
質問に対する自社の希望を先に言語化しておくと、提案を評価する精度が上がります。
大森部長質問を投げる前に、こちらが答えを持っておけということか。
鈴木さんそうなんです。たとえば「成果をどう定義しますか」と聞く前に、自社がどういう状態を成果とみなすかを決めておく。そうすると、返ってきた答えが自社の期待とずれているかどうかが判断できます。
大森部長決めていないと、相手の定義をそのまま受け取ってしまうな。
鈴木さんはい。そこが後から食い違いになりやすいところです。
質問は投げるだけでなく、自社の答えとあわせて記録しておくことをおすすめします。この記録は、契約後に成果を振り返るときにも効いてきます。
この章のまとめ
質問は相手への問いであると同時に、自社への問いです。先に自社の答えを書いておくと、評価がぶれません。
09AIO対策会社との契約前に、よくある失敗は何ですか?
発注の現場で見かける遠回りを、3つ挙げます。
1. 営業担当の説明だけを聞いて、実務担当者の実績を確認しないまま契約してしまう
提案時の説明が丁寧でも、実際に手を動かす担当者が別にいる場合、実務の質は別途確認する必要があります。
2. 質問への回答が抽象的でも、価格の安さで契約を決めてしまう
計測方法や業務範囲の説明が曖昧なまま契約すると、成果の判断基準そのものが後から食い違うことがあります。安さは魅力ですが、何が安いのかが分からない状態では比べられません。
3. 書面での取引条件明示を求めず、口頭説明だけで進めてしまう
業務内容・納期・報酬・支払期日といった条件は、口頭ではなく書面やメールで明示してもらうよう依頼してください。メールで残しておくと、後から読み返せます。
この章のまとめ
3つとも「聞かなかったこと」から起きています。聞きにくい質問ほど、契約前に置いておいたほうが安全です。
10AI対策の発注で、契約前にどこまで確認したかを自分で点検できますか?
ここまでの内容を、そのまま点検の形にしました。商談の帰り道で見返す用に使ってください。
- 業務範囲(診断・実装・継続運用)の対象を確認した
- 契約形態(準委任・請負)と対価の性質を確認した
- 最低契約期間と中途解約の条件を確認した
- 実務担当者の実績と、成果の計測方法を確認した
- 取引条件の明示方法と支払期日を確認した
- 秘密保持契約(NDA)の範囲を確認した
- 各社の回答を同じ形式の比較シートに記録した
埋まらない項目があっても、それ自体が判断材料になります。埋まらなかった理由が「聞いていない」なのか「答えが返ってこない」なのかは、分けて記録してください。
この章のまとめ
点検は契約の直前ではなく、商談ごとに行います。空欄の理由まで書き分けておくと、最後の判断が軽くなります。
11よくある質問
10の質問をすべて契約前に確認する必要がありますか?
一度にすべてを深掘りする必要はありません。まずは10項目を一覧で把握して、自社にとって特に重要な項目から優先的に確認することをおすすめします。全項目をそろえることより、聞いた内容を記録として残すほうが後で効きます。
質問しても曖昧な回答しか返ってこない場合はどうすればよいですか?
回答が具体的でない場合は、その時点で発注の判断材料として注意が必要です。ただし、質問の意図が伝わっていないだけのこともあります。もう一度、聞きたい理由を添えて確認してみてください。避けたい提案の見分け方は、別記事『AIO対策の発注で避けたい提案の見分け方|確認すべき質問と回答の読み方』も参考にしてください。
小規模な発注でも10項目すべてを確認すべきですか?
発注規模が小さい場合は、業務範囲(質問1〜3)と契約条件(質問4〜6)を優先的に確認し、実務体制・情報管理は簡易的な確認にとどめる、という調整も現実的です。優先順位をつけること自体が、発注側の判断になります。
質問はメールなど書面で確認してもよいですか?
問題ありません。むしろ書面(メール等)で回答をもらうと、各社の回答を後から見比べやすく、口頭より正確な記録として残せます。相手にとっても、社内で確認してから答えられるという利点があります。
質問リストを先に相手へ渡してしまってもよいですか?
渡して構いません。事前に渡しておくと、商談の場で答えを持ってきてもらえます。その場で答えられるかどうかを見たい質問だけ、当日に残しておくという使い分けもできます。
12まとめ|契約前にやる3つのこと
AIO対策会社との契約前に聞く質問は、業務範囲・契約条件・実務体制・情報管理の4カテゴリ10項目に整理できます。同じ質問を各社に投げて、回答を横並びで比較することで、価格だけに頼らない判断ができるようになります。
商談の前に、この順でやります
10の質問を4カテゴリの順に並べる
業務範囲から聞くと、後ろの質問の前提がそろいます
自社の答えを先に書いておく
特に「成果の定義」は、聞く前に決めておきます
比較シートに回答をそのまま記録する
要約せず、空欄も空欄のまま残します
個々の論点をさらに深く確認したい場合は、この記事で触れた契約形態・中途解約・実績・RFP準備の各記事もあわせて活用してください。
AI検索では、こう聞かれています
AIO対策会社と契約する前に、何を聞いておけばいいですか?
「AIO対策会社への契約前の質問は、なぜ4カテゴリに分かれるんですか?」の章で、4カテゴリの順番と10問の全体像を示しています
AIO対策の提案書を何社か並べたとき、どこを見比べればいいですか?
「AI検索最適化の提案を、複数のAIO対策会社で見比べるにはどうしますか?」の章に、比較シートの作り方があります
AIO対策の契約であとから追加費用が出ないようにするには、何を確認しますか?
「AIO対策会社との契約条件は、契約前に何を確かめますか?」の章で、契約形態と追加費用の条件を扱っています
次に読むなら、この記事です