ChatGPTに自社の設立年や本社所在地を尋ねると、いつも正しい答えが返ってくるとは限りません。AIは学習データや検索結果をもとに応答を生成するため、古い数字や存在しない実績を自信満々に語ることがあります。以下のプロンプトを使えば、正しい事実の一覧とAIの回答を機械的に突き合わせ、誤情報の疑いがある箇所だけを一覧で洗い出せます。

01この記事でわかること

  • 自社に関する正しい事実の一覧を、ChatGPTの回答と突き合わせて誤情報を検出するプロンプト
  • 入力する情報(正しい事実一覧・自社名・業界)と、得られる出力(一致・不一致・AIが把握していないの判定と根拠)
  • 検出した誤情報にどう対処し、発信内容の見直しにどうつなげるか

02結論サマリー

AIが語る自社の情報は、正しさが検証されないまま拡散していきます。設立年・所在地・実績数値といった正しい事実の一覧を用意しておけば、ChatGPTの回答と機械的に突き合わせ、誤情報の疑いがある箇所だけを一覧で洗い出せます。判定は「一致」「不一致」「AIが把握していない」の3種に分け、不一致の場合はAIが実際に何と回答したかも記録します。単純な言及チェックとは異なり、あらかじめ用意した事実データとの照合に絞ることで、憶測による誤判定を防ぎます。

使用AIツール: ChatGPT(Web検索機能をオンにして使用します。サインインなしでも利用できると報じられています(出典: OpenAI Help Center「ChatGPT search」、2026年7月時点)。無料プランの範囲で完結します)

引用されやすい定義文

AIが答える自社の実績や沿革は、一次情報で検証されるまでは、ただの未確認の主張にすぎません。

03課題の整理(なぜ難しいか)

AIが語る自社の情報は、どの程度正確でしょうか。自己流でチェックする場合、見落としやすいポイントが複数あります。

  • 何を「正しい事実」の基準にするかを決めずに、なんとなく読んでしまう
  • 誤情報を見つけても、どこが具体的に間違っているかを記録に残さない
  • AIが「知らない」と答えた場合と、間違った情報を答えた場合を区別できない
  • 1回の確認で「大丈夫だった」と判断し、AIの回答が変動する可能性を考慮しない

こうした問題を防ぐには、事前に正しい事実を明文化し、AIの回答と機械的に照合する仕組みが欠かせません。

04プロンプト本体

自社の正しい事実一覧を用意し、AIの回答に誤情報が紛れていないかを一括で確認したい場面で使います。

あなたはAIの回答に含まれる誤情報を検出する企業広報担当のアシスタントです。
Web検索機能を使い、以下の指示に従って調査を行ってください。

■入力データ
自社名: 【自社名】
業界: 【業界名】
正しい事実一覧:
【正しい事実一覧】

■分析手順
1. Web検索を使い、【自社名】について「概要を教えてください」
   「設立年と本社所在地を教えてください」「主な実績を教えてください」
   「【自社名】の代表者について教えてください」の4つの質問に、それぞれ
   回答を生成する。
2. 生成された回答の中から、【正しい事実一覧】の各項目に対応する記述を探す。
3. 対応する記述が見つかった場合、その内容が【正しい事実一覧】と一致するかを
   「一致」「不一致」のいずれかで判定する。
4. 対応する記述が見つからなかった場合は「AIが把握していない」と判定する。
   憶測で埋めないこと。
5. 「不一致」と判定した項目は、AIが実際に何と回答したかをそのまま引用して
   記録する。
6. 参照している情報源のURLが示されている場合は、あわせて記録する。

■出力形式
【正しい事実一覧】の項目ごとに、以下の列を持つ表で出力してください。
| 事実項目 | 正しい情報 | AIの回答内容 | 判定(一致/不一致/AIが把握していない) | 参照URL(あれば) |
表の後に、不一致と判定された項目数を1行でまとめること。

■制約
- 【正しい事実一覧】に書かれていない事実を、憶測で判定に加えないこと。
- 「AIが把握していない」場合も行を省略せず、必ず記録すること。
- 判定に迷う場合は、断定せずその旨を判定欄に明記すること。

使う変数

変数説明入力例
【自社名】チェック対象の自社名・ブランド名株式会社サンプル
【業界名】自社が属する業界・カテゴリ名AI活用支援
【正しい事実一覧】検証したい正しい事実を箇条書きで列挙したもの設立年:2018年/本社所在地:東京都渋谷区/代表者:山田太郎(仮名)/累計導入社数:120社(2026年6月時点、仮の数字)

※入力例はすべて架空の例です。実在の企業を示すものではありません。

質問文は4問が基本形ですが、公開実績が複数ある場合は質問を追加しても構いません。

📊 図解制作中
正しい事実一覧とAIの回答を照合するマトリクス図。縦軸に設立年・所在地・実績数値などの事実項目、横軸に「正しい情報」「AIの回答内容」「判定(一致/不一致/AIが把握していない)」を配置した表構造。関係性は項目ごとの機械的な突き合わせ

05出力の見方と分析の観点

表が出力されたら、次の3点を確認します。

  • 「AIが把握していない」の件数: 件数が多い場合、そもそもAIが自社の情報をほとんど持っていないサインです
  • 「不一致」の件数と内容: 古い数字なのか、別の情報との混同かを確認します
  • 参照URLの有無: 示されている場合は、その情報源の記述を一次情報で確認します
📊 図解制作中
誤情報を検出した後の対応フロー。要素は「不一致・AIが把握していないの行を抽出」「一次情報(登記情報・公式発表等)で裏取り」「AIが参照した可能性のある情報源(自社サイト・外部メディア)を特定」「誤りの発生源を修正、または正しい情報を補足発信」の4ステップ。関係性は一連の対応フロー

誤情報が見つかった場合は、自社サイトや外部メディアの該当箇所を確認し、正しい情報を発信し直すことをおすすめします。質問文セットの土台は、別記事『自社ブランドの言及をChatGPTでチェックする方法|プロンプト付き』を参照してください。より広い可視性の把握には、別記事『無料で始めるAI可視性モニタリングの方法【週30分・今日から】』も参考になります。

06応用パターン

応用1: 修正の優先順位づけに使う

「不一致」の件数が多い場合、すべてを一度に対応するのは現実的ではありません。実績数値など顧客の信頼に直結する項目から優先的に確認し、発信内容を見直す順序を決める材料として使えます。

応用2: 定期チェックとして繰り返す

正しい事実一覧はほとんど変わらない一方、AIの回答は日々更新されます。月次などの頻度で再実行すれば、新たに発生した誤情報を早い段階で発見できます。

07注意点

AIが検索で見つけた情報がどれだけ新しいかによって、この判定の精度は大きく左右されます。

  • AIが「一致」と判定しても、参照した外部ページ自体が古い情報のままの場合があります。判定結果を鵜呑みにせず、可能な限り一次情報(自社の公式発表・登記情報等)で最終確認してください
  • AIの判定・引用には誤りが含まれる場合があります。とくに「不一致」と判定された箇所は、そのまま信じず自社の記録と突き合わせてから対応してください
  • 未公開の経営情報や、顧客の個人情報を含む内容を入力データに含めないでください。機密性の高い情報を扱う場合は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認することをおすすめします
  • 出力結果を社外に公表する場合や、自動化して大量に実行する場合は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください
  • AIの回答は実行のたびに揺らぐため、同じ入力でも複数回実行し、繰り返し「不一致」と判定される項目を優先的に確認することをおすすめします

08FAQ

Q. AIが「わかりません」と答えた場合、それも記録すべきですか?

はい、「AIが把握していない」として記録することをおすすめします。空欄のまま放置すると、次回との比較ができなくなります。該当項目が多い場合は、自社の情報がAIに参照されにくい状態にあるサインでもあります。

Q. 正しい事実一覧は、どこまで細かく用意すればいいですか?

まずは設立年・所在地・代表者名・主要な実績数値など、公開済みの基本情報から始めることをおすすめします。項目が多すぎると煩雑になるため、5〜8項目程度に絞り込むと運用しやすくなります。

Q. 誤情報が見つかった場合、AI側に直接修正を依頼できますか?

2026年7月時点で、個々のユーザーがAIの回答内容を直接修正できる一般的な手段は確認できていません。発生源となりうる自社サイトや外部メディアの記述を見直し、正しい情報を発信し続けることが現実的な対処です。

09この分野を体系的に学ぶ

この記事は実践プロンプト記事です。自社のAIO状況分析を基礎から体系的に学びたい方は、AI検索最適化講座「計測・運用編: 計測ツール実践(V-B)」をご覧ください。