ChatGPTに自社の設立年や本社所在地を尋ねると、いつも正しい答えが返ってくるとは限りません。しかも困ったことに、AIは間違った内容を、正しい内容とまったく同じ口調で答えます。
読んだ側には、どこが確かな話でどこが怪しい話なのか、見分けがつきません。だから「なんとなく合っていそうだ」で読み流されてしまいます。
この記事は、自社について語られている内容を、印象ではなく決まった手順で検証したい方に向けて書きました。正しい事実の一覧を先に用意し、AIの回答と機械的に突き合わせる形にします。
こんなふうに調べていませんか
- ChatGPTが自社の設立年や実績を、事実と違う内容で説明していた
- 「自社 誤情報 チェック AI」で検索して、確かめ方の手順を探している
- AIの回答をどこまで信じてよいのか、社内で聞かれて答えられなかった
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 正しい事実の一覧とAIの回答を、機械的に突き合わせられます
- 一致・不一致・把握していないの読み分け方が分かります
- 見つけた誤情報をどう直していくかの順番が分かります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 正しい事実の一覧を先に用意しておけば、AIの回答と突き合わせて、疑いのある箇所だけを洗い出せます。
- 判定は「一致」「不一致」「AIが把握していない」の3つに分け、不一致のときはAIが実際に何と答えたかも残します。
- 用意した事実データとの照合に絞ることで、憶測による誤判定を防げます。
この記事では、ある会社のマーケティング部と経営層の2人、そして専門家の会話をはさみながら進めます。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「経営としてどう受け止めるんだ」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもAI検索は、なぜ自社の誤情報を語ってしまうんですか?
若葉さんそもそもの話なんですが…AIって、どうして間違った内容を、あんなに自信のある書き方で答えるんでしょうか。
鈴木さん学習したデータと検索で拾った情報をもとに文章を組み立てているからなんですよ。材料が古ければ、古い数字がそのまま新しい文章の形で出てきます。
AIは、学習データや検索結果をもとに応答を生成します。そのため、古い数字や存在しない実績を、自信満々に語ることがあります。書きぶりが揺れないので、読んだ側は誤りに気づけません。
この章のまとめ
AIの回答は、材料の新しさに左右されます。文章の自信ありげな調子は、正しさの目印にはなりません。
02自社の誤情報チェックをAI検索対策として行うと、何が分かるんですか?
このプロンプトが返すのは、事実の項目ごとに「AIが何と言ったか」と「それが合っているか」を並べた表です。
判定は3つに分かれます。用意した正しい事実と合っていれば一致、違っていれば不一致、そもそも対応する記述が見つからなければAIが把握していない、になります。不一致と判定した項目は、AIが実際に何と回答したかをそのまま引用して残します。
大事なのは、判定の基準を先にこちらが渡しておく点です。単純な言及チェックとは違い、あらかじめ用意した事実データとの照合に絞ることで、AIが憶測で正誤を決めることを防げます。
この章のまとめ
返ってくるのは、事実の項目ごとの判定表です。基準を先に渡しておくので、憶測による誤判定が入り込みにくくなります。
03自己流のチェックでは、AI対策として何を見落とすんですか?
大森部長担当が思いついたときに聞いてみる、という進め方では、経営の判断材料にはならないということか。
鈴木さんそこが弱いところです。何を基準に正しいと判断したのかが記録に残らないと、次に見たときと比べられませんから。
AIが語る自社の情報は、どの程度正確でしょうか。自己流でチェックすると、次のような見落とし方をします。
- 何を「正しい事実」の基準にするかを決めずに、なんとなく読んでしまう
- 誤情報を見つけても、どこが具体的に間違っているかを記録に残さない
- AIが「知らない」と答えた場合と、間違った情報を答えた場合を区別できない
- 1回の確認で「大丈夫だった」と判断し、AIの回答が変動する可能性を考慮しない
こうした見落としを防ぐには、事前に正しい事実を明文化し、AIの回答と機械的に照合する仕組みが要ります。AI対策として続けられるかどうかは、この仕組みがあるかどうかで決まります。
この章のまとめ
自己流の弱点は、基準と記録がないことです。何を正しいとするかを先に決めておけば、照合は作業に変わります。
04自社の誤情報をチェックするAI検索対策のプロンプトは、どこをコピーすればいいですか?
自社の正しい事実一覧を用意し、AIの回答に誤情報が紛れていないかを一括で確認したい場面で使います。次のコードブロックの中身を、そのままコピーしてお使いください。
あなたはAIの回答に含まれる誤情報を検出する企業広報担当のアシスタントです。
Web検索機能を使い、以下の指示に従って調査を行ってください。
■入力データ
自社名: 【自社名】
業界: 【業界名】
正しい事実一覧:
【正しい事実一覧】
■分析手順
1. Web検索を使い、【自社名】について「概要を教えてください」
「設立年と本社所在地を教えてください」「主な実績を教えてください」
「【自社名】の代表者について教えてください」の4つの質問に、それぞれ
回答を生成する。
2. 生成された回答の中から、【正しい事実一覧】の各項目に対応する記述を探す。
3. 対応する記述が見つかった場合、その内容が【正しい事実一覧】と一致するかを
「一致」「不一致」のいずれかで判定する。
4. 対応する記述が見つからなかった場合は「AIが把握していない」と判定する。
憶測で埋めないこと。
5. 「不一致」と判定した項目は、AIが実際に何と回答したかをそのまま引用して
記録する。
6. 参照している情報源のURLが示されている場合は、あわせて記録する。
■出力形式
【正しい事実一覧】の項目ごとに、以下の列を持つ表で出力してください。
| 事実項目 | 正しい情報 | AIの回答内容 | 判定(一致/不一致/AIが把握していない) | 参照URL(あれば) |
表の後に、不一致と判定された項目数を1行でまとめること。
■制約
- 【正しい事実一覧】に書かれていない事実を、憶測で判定に加えないこと。
- 「AIが把握していない」場合も行を省略せず、必ず記録すること。
- 判定に迷う場合は、断定せずその旨を判定欄に明記すること。このプロンプトは、質問を4つに分けている点が骨格です。概要、設立年と本社所在地、主な実績、代表者。聞く角度を分けておくと、どの領域の情報が薄いのかまで見えてきます。質問文は4問が基本形ですが、公開実績が複数ある場合は質問を追加しても構いません。
■制約の3行も残してください。書かれていない事実を憶測で判定に加えさせない指示、把握していない行を省略させない指示、迷ったときに断定させない指示です。空欄の行が消えると、次に手を打つ対象そのものが見えなくなります。
この章のまとめ
コピーするのはコードブロックの中身だけです。質問を4つに分ける設計と、末尾の制約3行が中心にあります。
05【正しい事実一覧】は、AI検索最適化のチェック基準としてどこまで書けばいいんですか?
入力するのは3つです。自社名、業界名、そして正しい事実一覧です。
使う変数
| 変数 | 説明 | 入力例 |
|---|---|---|
| 【自社名】 | チェック対象の自社名・ブランド名 | 株式会社サンプル |
| 【業界名】 | 自社が属する業界・カテゴリ名 | AI活用支援 |
| 【正しい事実一覧】 | 検証したい正しい事実を箇条書きで列挙したもの | 設立年:2018年/本社所在地:東京都渋谷区/代表者:山田太郎(仮名)/累計導入社数:120社(2026年6月時点、仮の数字) |
※入力例はすべて架空の例です。実在の企業を示すものではありません。
書くのは公開済みの基本情報からで構いません。ここに書いた内容がそのまま判定の基準になるため、社内で表現が揺れている事柄を入れると、判定もそのまま揺れます。未公開の経営情報や顧客の個人情報は入れないでください。
この章のまとめ
入力は3つです。公開済みの基本情報から始め、揺れのある事柄と機密性の高い情報は入れずに、次回も使える形で残します。
06出てきた表は、誤情報のAI検索対策としてどこを見ればいいんですか?
表が出力されたら、次の3点を確認します。
- 「AIが把握していない」の件数: 件数が多い場合、そもそもAIが自社の情報をほとんど持っていないサインです
- 「不一致」の件数と内容: 古い数字なのか、別の情報との混同かを確認します
- 参照URLの有無: 示されている場合は、その情報源の記述を一次情報で確認します
同じ「不一致」でも、古い数字がそのまま残っている場合と、別の会社の情報と混ざっている場合では、直す場所が変わります。前者は自社の発信が更新されていない可能性があり、後者は名前の似た情報源と取り違えられている可能性があります。
この章のまとめ
見るのは、把握していないの件数・不一致の中身・参照URLの3つです。不一致は、古さなのか混同なのかまで見分けます。
07不一致が見つかった誤情報は、LLMO対策としてどう直していくんですか?
大森部長間違いが見つかったとして、こちらから直せるものなのか。それとも、指をくわえて見ているしかないのか。
鈴木さん直せるのは、発生源になっている自社側の記述です。そこを整えてから、正しい情報を出し直す。順番としてはこの形になります。
誤情報が見つかった場合は、自社サイトや外部メディアの該当箇所を確認し、正しい情報を発信し直すことをおすすめします。順番は次のとおりです。
まず、不一致とAIが把握していないの行を抜き出します。次に、登記情報や公式発表といった一次情報で裏を取ります。そのうえで、AIが参照した可能性のある情報源、つまり自社サイトや外部メディアの記述を特定します。最後に、誤りの発生源を修正するか、正しい情報を補足して発信します。
質問文セットの土台になる考え方は、別記事「自社ブランドの言及チェック|ChatGPTに5つの質問を投げる実践プロンプト」を参照してください。より広く可視性を把握したい場合は、別記事「AI可視性モニタリングを無料で始める3つの方法【週30分・今日から】」も参考になります。
この章のまとめ
直せるのは発生源です。抽出、裏取り、参照元の特定、修正または補足発信。この順に進めます。
08優先順位づけや定期チェックとして、AI検索最適化にどう組み込むんですか?
大森部長不一致がいくつも出たとして、全部いっぺんに直すのは無理だろう。どこから手を付けるべきなんだ。
鈴木さん実績数値のように、お客様の信頼に直結する項目からで構いません。順序を決める材料として使っていただくのがよいと思います。
このプロンプトは、そのまま2つの使い方に広げられます。
応用1: 修正の優先順位づけに使う。 「不一致」の件数が多い場合、すべてを一度に対応するのは現実的ではありません。実績数値など顧客の信頼に直結する項目から優先的に確認し、発信内容を見直す順序を決める材料として使えます。
応用2: 定期チェックとして繰り返す。 正しい事実一覧はほとんど変わらない一方、AIの回答は日々更新されます。月次などの頻度で再実行すれば、新たに発生した誤情報を早い段階で発見できます。
正しい事実一覧という固定の側と、AIの回答という動く側。この2つを並べておくと、変化したのはどちらなのかが読み取れます。LLMO対策として続ける値打ちがあるのは、この差分が見えるからです。
この章のまとめ
一覧は固定、回答は流動。この組み合わせだから差分が読めます。優先順位づけにも、定期チェックにも同じ表が使えます。
09自社の誤情報チェックをAI対策で続けるとき、気をつけることはありますか?
若葉さんAIが「一致」と言ってくれたら、もう安心してしまいそうです。
鈴木さんそこは一呼吸おいてください。AIが参照した外部ページ自体が、古い情報のままということもありますから。
AIが検索で見つけた情報がどれだけ新しいかによって、この判定の精度は大きく左右されます。
- AIが「一致」と判定しても、参照した外部ページ自体が古い情報のままの場合があります。判定結果を鵜呑みにせず、可能な限り一次情報(自社の公式発表・登記情報等)で最終確認してください
- AIの判定・引用には誤りが含まれる場合があります。とくに「不一致」と判定された箇所は、そのまま信じず自社の記録と突き合わせてから対応してください
- 未公開の経営情報や、顧客の個人情報を含む内容を入力データに含めないでください。機密性の高い情報を扱う場合は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認することをおすすめします
- 出力結果を社外に公表する場合や、自動化して大量に実行する場合は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください
- AIの回答は実行のたびに揺らぐため、同じ入力でも複数回実行し、繰り返し「不一致」と判定される項目を優先的に確認することをおすすめします
使用するAIツールはChatGPTを想定しています。Web検索機能をオンにして使用します。サインインなしでも利用できると報じられています(出典: OpenAI Help Center「ChatGPT search」、2026年7月時点)。無料プランの範囲で完結します。
この章のまとめ
一致も出発点にすぎません。一次情報での最終確認と、機密性の高い情報を入れないこと。この2点は外さないでください。
10よくある質問
AIが「わかりません」と答えた場合、それも記録すべきですか?
はい、「AIが把握していない」として記録することをおすすめします。空欄のまま放置すると、次回との比較ができなくなります。該当項目が多い場合は、自社の情報がAIに参照されにくい状態にあるサインでもあります。
正しい事実一覧は、どこまで細かく用意すればいいですか?
まずは設立年・所在地・代表者名・主要な実績数値など、公開済みの基本情報から始めることをおすすめします。項目が多すぎると煩雑になるため、5〜8項目程度に絞り込むと運用しやすくなります。
誤情報が見つかった場合、AI側に直接修正を依頼できますか?
2026年7月時点で、個々のユーザーがAIの回答内容を直接修正できる一般的な手段は確認できていません。発生源となりうる自社サイトや外部メディアの記述を見直し、正しい情報を発信し続けることが現実的な対処です。
質問文は4問のままでも足りますか?
多くの場合は足ります。ただし公開している実績が複数ある場合は、質問を追加して構いません。聞く角度を増やすほど、どの領域の情報が薄いのかが見えやすくなります。
11まとめ|今日から始める3つのこと
AIが語る自社の情報は、正しさが検証されないまま広がっていきます。止める手立ては、印象で読まないことです。
正しい事実を先に並べ、決まった質問で回答を作らせ、3つの判定で突き合わせる。この形にしておけば、疑いのある箇所だけが表に残ります。
今日この順でやります
正しい事実を書き出す
設立年・所在地・代表者名・主要な実績数値など、公開済みのものから並べます
プロンプトを実行する
自社名と業界名を埋めて、Web検索機能をオンにして投げます
不一致の行から手を付ける
一次情報で裏を取り、発生源となっている記述を直します
AI検索では、こう聞かれています
ChatGPTが自社について間違った情報を答えるのですが、どう確認すればいいですか?
「自社の誤情報をチェックするAI検索対策のプロンプトは、どこをコピーすればいいですか?」の章に、そのままコピーして使える形で置いています
AIの回答に含まれる誤情報を見つけるプロンプトはありますか?
「不一致が見つかった誤情報は、LLMO対策としてどう直していくんですか?」の章で、見つけたあとの順番まで説明しています
次に読むなら、この記事です