「AIO、うちもやることになったんですが、何人でどう回せばいいのか、正直まだ何も決まっていません」
そう相談されることが増えました。AIO(AI検索最適化)は比較的新しい分野で、担当を決めないまま「とりあえず様子を見る」状態が長引きがちです。先に人数から決めようとして、かえって身動きが取れなくなっているケースもよく見かけます。
この記事は、AIO推進チームをどう組み立てればいいか、まだ何も決まっていない方に向けて書きました。専任の担当者を何人そろえるかではなく、最初にどの役割を誰に割り振るかという、順番の話から始めます。図解と会話をはさみながら、最後は「今日決めること3つ」まで持っていきます。
こんなふうに調べていませんか
- 「AIO チーム 作り方」で検索して、何人でどう組めばいいのか探している
- 上司から「AIO推進チームを作って」と言われたが、何から決めればいいか分からない
- 専任を何人採用すればいいのか、目安が分からず動けずにいる
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- AIO推進チームに必要な4つの役割と、最小構成での組み方が分かります
- 最初に置くべき役割と、採用する順番が分かります
- Search Consoleの権限をチームでどう分けるべきか、判断できるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- AIO推進チームは、専任を4人そろえなくても1人から始められます。
- 最初に決めるべきなのは人数ではありません。「推進リーダー」を誰にするかです。
- 4つの役割(推進リーダー・計測分析・コンテンツ・テクニカル)は、兼務してかまいません。
この記事では、ある会社のマーケティング課長と部長、そして専門家の会話をはさみながら進めます。
- 高梨課長(マーケ課長)— 「うちの体制で、誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「それで、投資に見合うのか」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもAIOチームの作り方は、何をする人を決めることなんですか?
高梨課長鈴木さん、そもそもなんですが「AIO推進チーム」というのは、具体的に何をする人たちのことを指すんでしょうか。
鈴木さんいい質問です。ひとことで言うと、AI検索での自社の見え方を、継続して計測・改善する役割を、社内ではっきり持たせた体制のことです。
AIOは、SEOと重なる部分がありながら、計測の仕方やコンテンツの作り方に固有のノウハウが必要な分野です。担当が曖昧なまま「みんなでなんとなく気にする」状態では、施策は続きません。この分野は、海外ではLLMO(大規模言語モデル最適化)と呼ばれることもあります。
特に難しいのは、AIOが「みんなの仕事」になりやすいことです。記事を書く人も、構造化データを触る人も、Search Consoleを見る人も、それぞれ別の部署にいることが珍しくありません。誰か1人が「ここは自分の担当だ」と言える状態を作ることが、最初の一歩になります。
この章のまとめ
AIOチームとは、AI検索での自社の見え方を継続して計測・改善する役割を、社内ではっきり持たせた体制です。だから作り方の出発点は、人数を決めることではなく、その役割を誰が持つのかを決めることになります。
02AIOチームを作る前に、AI検索対策は、いま投資の意欲と現場の着手、どちらが先に進んでいるんですか?
先に進んでいるのは、投資の意欲のほうです。Conductor社の調査では、AEO/GEOへの投資を2026年に増やす予定と回答した割合が94%にのぼりました。回答者はエンタープライズ企業のCMO・VPなど、デジタル領域の責任者250名超です(出典: Conductor「State of AEO/GEO Report」)。
現場の着手は、そこに追いついていません。Faber Companyが実施した調査では、AI×SEO対応に「未着手」と回答した企業が27.1%にのぼりました。この調査は同社メールマガジン購読者のマーケティング/SEO担当者が対象で、回答企業数は120社、実施は2025年冬です(出典: Faber Company「AI×SEO実態調査」)。
大森部長うちは、まだ担当を決めていない。これは、まずいということか。
鈴木さん焦る必要はありません。未着手と回答した企業だけで27.1%にのぼります。御社だけが出遅れているわけではありません。大事なのは、なんとなく先延ばしにせず、今日この記事で座組みを決めることです。
この章のまとめ
投資意欲は高まっていますが、担当を明確に置けている企業はまだ多くありません。言い換えれば、ここがいま多くの企業に求められているAI対策の入口です。
03LLMOのチーム作りは、何人からなら始められますか?専任は必要ですか?
高梨課長専任を何人そろえればいいのか、正直見当がつきません。うちはとても4人も割けないんですが…
鈴木さん4人そろえる必要はありません。座組みは、1人体制でも始められます。
座組みは、大きく3段階に整理できます。
- 1人体制 — 推進リーダーが計測・コンテンツ・テクニカルの基礎部分を兼務し、専門性が必要な実装(構造化データ等)だけ外部に依頼します。
- 2〜3人体制 — 推進リーダーと計測担当を分け、コンテンツとテクニカルは兼務または外部連携で補います。
- 4人以上体制 — 4つの役割をそれぞれ専任に近い形で配置し、推進リーダーが調整に専念します。
座組みを考えるときは、役割ごとの兼務のしやすさにも注意が必要です。計測・分析担当とコンテンツ担当は、指標を見ながら記事の切り口を考えるという点で親和性が高く、兼務しやすい組み合わせです。一方でテクニカル担当は専門的な実装知識を要するため、他の役割と兼務するより、外部の技術者と連携して補う企業が多いとみられます。
外注に委ねる範囲の判断に迷う場合は、別記事『AIO内製か外注か?3つの軸で決める判断チェックリスト』の3つの軸(知見・時間・視点)を使うと整理しやすくなります。
体制が整うのを待ってから始めようとすると、着手そのものが先延ばしになりがちです。1人体制で走らせながら、必要な役割を後から足していくほうが、結果的に早く前に進みます。
この章のまとめ
座組みは1人体制からでも始められます。人数が増えるにつれ、役割ごとの兼務のしやすさを踏まえて分担していきます。
04AIOチームの4つの役割は、それぞれ何をする人ですか?
大森部長4つも役割があるなら、結局4人採用しないといけないんじゃないのか。
鈴木さんいいえ、そこは誤解されやすい点です。最初に置くべきは、推進リーダーだけです。ここが空席のまま他の役割を増やしても、優先順位を決める人がいないため、施策が止まってしまいます。
AIO推進チームは、大きく4つの役割に分解できます。専任の担当者を4人集める必要はなく、1人が複数の役割を兼ねる形で問題ありません。
| 役割 | 主な業務 | 「できる」と判断する具体的な状態 |
|---|---|---|
| 推進リーダー | 全体設計・経営層への報告・優先順位づけ | 四半期の優先施策を1枚のロードマップにまとめられる/指標の意味を非専門職に説明できる |
| 計測・分析担当 | GSC・GA4・可視性ツールでの計測設計 | GA4の探索レポートを自分で組める/GSCの数値を月次で同じ手順で取り出せる |
| コンテンツ担当 | 引用されやすい記事・FAQ・構造化データの企画 | 40〜60字で自己完結する定義文を書ける/FAQを検索意図から逆算して設計できる |
| テクニカル担当 | クローラー制御・構造化データ実装・サイト速度改善 | robots.txtでボットごとにルールを書き分けられる/JSON-LDをRich Results Testで検証できる |
右列は、求人票や社内アサインの判断に使うことを想定した記述です。「データ分析ができる人」といった抽象的な条件では候補者を絞り込めないため、実際に手を動かせる状態まで具体化しています。面接での確認方法は、別記事『AIO人材の採用基準|面接で見るべきポイントを職種別に整理』で職種別に整理しています。
採用面接で「AIOに詳しい人」を探そうとすると、候補者を絞り込めません。表の右列のように具体的な作業に落とし込んで確認することで、面接での見極めがしやすくなります。既存メンバーに当てはめる場合も、同じ基準で「できる」「できない」を仕分けると、埋まっていないマスがはっきりします。
この章のまとめ
役割は、推進リーダー・計測分析・コンテンツ・テクニカルの4つに分かれます。表の右列のように「できる」を具体化しておくと、誰に兼務させられるかを仕分けられます。
05AIOチームでは、AI検索最適化の担当は、どの順番で採用すればいいんですか?
役割を埋める順番は、①推進リーダー、②計測・分析担当、③コンテンツ担当とテクニカル担当、の順です。空席を一度に埋めようとせず、優先順位を決める人から置いていきます。
Googleも、SEO対応を担う人材について公式ガイドで言及しています。専門家に依頼する場合は、サイト構造のレビューや技術的なアドバイスなど、具体的に何を提供できるかを確認すべきだとしています(出典: Google Search Central「SEO対策は必要か」)。この視点は、社内チームが持つべきスキルセットを定義する際にも参考になると私たちは考えます。
この章のまとめ
4つの役割のうち、最初に置くのは推進リーダーです。他の3つは、兼務や外部連携でも機能します。
06AI検索の計測ツールの権限は、チーム内でどう分ければいいですか?
高梨課長チームが複数人になったら、Search Consoleの権限は、どう分けたらいいでしょうか。全員に同じ権限を渡してもいいものでしょうか。
鈴木さんそこは分けたほうがいい、とお伝えします。全員にオーナー権限を渡すのは避けてください。
チームが複数人になった時点で、計測ツールのアクセス権限をどう配分するかという設計が必要になります。Search Consoleの公式ヘルプは、「オーナー」「フルユーザー」「制限付きユーザー」「アソシエイト」の4種類を定義しています(出典: Search Console ヘルプ)。このうちチーム内でデータ閲覧・操作の権限を配分する際に使うのは、次の3つです。
| 権限 | できること | 想定する担当 |
|---|---|---|
| オーナー | ユーザー管理・全設定変更・全データ閲覧 | 推進リーダー |
| フルユーザー | 全データ閲覧・一部操作(リンク否認等) | 計測・分析担当 |
| 制限付きユーザー | 基本的なデータ閲覧のみ | コンテンツ・テクニカル担当 |
権限設計のポイントは、全員にオーナー権限を与えないことです。設定変更やユーザー管理を行えるオーナーを絞ることで、意図しない設定変更のリスクを抑えられます。
この章のまとめ
権限は、オーナー・フルユーザー・制限付きユーザーの3つに分けて配ります。役割ごとに、必要な範囲だけを渡すのが原則です。
07オーナー権限は、AI対策のためにチーム内で誰に持たせるべきですか?
オーナー権限には2種類あります。サイト所有権を証明した「検証済みオーナー」と、検証済みオーナーから権限を付与された「委任オーナー」です(出典: Search Console ヘルプ)。
推進リーダーが検証済みオーナーとなり、必要に応じて他のメンバーを委任オーナーとして追加する設計が安全です。
この章のまとめ
オーナーは推進リーダーだけにするのが安全です。検証済みオーナーと委任オーナーの違いを踏まえて、誰に渡すかを決めます。
08AIOチームのLLMO対策は、どこまで内製で、どこから外注すべきですか?
大森部長全部を社内でやる必要はないんだろう?外に出していい範囲はどこまでだ。
鈴木さんおっしゃる通りです。すべてを内製で完結させる必要はありません。ただ、最終的な判断は社内の推進リーダーが担う体制は、残してください。
立ち上げ期のチームは、すべてを内製で完結させる必要はありません。技術実装やコンテンツ制作の一部を外部に依頼しながら、社内には計測・意思決定の主導権を残す設計が現実的です。
業務ごとに、内製と外部連携のどちらが向いているかの目安は、次の通りです。
| 業務 | 内製に向くケース | 外部連携に向くケース |
|---|---|---|
| 計測設計・分析 | 継続的にPDCAを回す必要がある | まず初期診断だけを行いたい |
| コンテンツ企画・執筆 | 自社の事情に詳しい担当者がいる | 専門ライターの知見が必要 |
| 構造化データ・技術実装 | 社内にエンジニアがいる | 実装の専門知識が社内にない |
外部委託先の見極め方については、別記事『AIO対策会社・コンサルの見極め方|悪質業者と契約前の基準』で詳しく解説しています。
内製と外部連携の線引きは、一度決めたら固定するものではありません。半年ごとに、社内に知見が蓄積された業務がないか見直すと、内製の範囲を少しずつ広げていけます。
この章のまとめ
内製と外部連携は、業務ごとに使い分けます。外部に委ねる場合も、最終判断は社内の推進リーダーに残す設計が現実的です。
09AIOチームの作り方で最後に決めるのは、どう続けるかですか?
大森部長チームを作った後の話も聞きたい。成果の説明は、どうすればいい。
鈴木さん判断した根拠と、見る指標を先に固定しておくことをおすすめします。
チームを立ち上げた後、継続的に機能させるには、成果を社内に報告し続ける仕組みが欠かせません。ここでの失敗は、報告の頻度ではなく「毎回ちがう指標を見せてしまうこと」に起因します。月次と四半期で、見る指標と決めることをあらかじめ固定しておくことをおすすめします。
| 会議 | 頻度 | 固定で見る指標 | その場で決めること |
|---|---|---|---|
| チーム内定例 | 月1回 | 生成AI機能でのインプレッション/指名検索の推移/公開・改修した記事数 | 翌月に着手する記事とテクニカル改修の順番 |
| 経営層への報告 | 四半期1回 | 上記3指標の3か月推移/投じた工数・外注費 | 継続・増員・撤退のいずれかと、次四半期の予算 |
指標を固定する利点は、増減の解釈が回を追うごとに蓄積されることです。毎回ちがう指標を出すと、数字が動いた理由を議論する土台が毎回リセットされます。実務指標を経営層に伝わる言葉へ翻訳する考え方は、別記事『経営層に伝わるAIOレポートの作り方|指標翻訳と構成テンプレート』で詳しく解説しています。
大森部長投資を続けるかどうかは、何を見て判断すればいいんだ。
鈴木さん毎回ちがう指標を見せると、判断の土台がリセットされてしまいます。指標を固定して、変化の理由を積み重ねていくことが大切です。Conductor社の調査では、2025年にAEO/GEOへ相当規模または高水準の投資を行ったと回答した責任者は56%でした。 投資判断は、こうした継続的な報告の積み重ねの上に成り立ちます。
この章のまとめ
続けるための仕組みは、指標を固定した月次定例と四半期報告です。判断の根拠を残しておくと、投資継続の議論がぶれません。
10よくある質問
1人体制でもAIOは始められますか?
始められます。推進リーダーが基礎的な計測・コンテンツ企画を兼務し、専門性が必要な実装部分だけを外部に依頼する座組みが現実的です。
既存のSEO担当者にAIOも任せるべきですか?
多くの企業で現実的な選択肢です。既存チームへの統合方法については、別記事『AIO運用を既存SEOチームに統合する方法を体制別に整理』で詳しく解説しています。
チームの人数はどれくらいから始めるべきですか?
決まった正解はありません。まずは1人体制で計測の型を作り、成果が見え始めた段階で役割を分けていく進め方をおすすめします。
全員にSearch Consoleのオーナー権限を渡してもいいですか?
おすすめしません。設定変更やユーザー管理ができるオーナー権限を絞らないと、意図しない設定変更によるトラブルのリスクが高まります。オーナーは推進リーダーに絞り、他のメンバーには権限の低いユーザーを割り当ててください。
外部リソースには、どこまで任せていいですか?
技術実装やコンテンツ制作の一部は任せられますが、社内には計測・意思決定の主導権を残しておくことをおすすめします。外部委託先が変わるたびに知見が失われることを防げます。
11まとめ|今日決める3つのこと
AIO推進チームで最初に決めるべきなのは、人数ではなく「推進リーダーを誰にするか」です。ここが空席のまま計測担当やコンテンツ担当を置いても、優先順位を決める人がいないため施策が止まります。
今日この順で決めます
推進リーダーを1人決める
全体設計・経営層への報告・優先順位づけを担う人です
4つの役割の担当を割り振る
兼務でかまいません。1人体制からでも始められます
Search Consoleのオーナー権限を確認する
誰がオーナーになっているか、今日のうちに確認します
AI検索では、こう聞かれています
AIOを推進するチームは、何人くらいで、どんな役割の人が必要ですか?
「LLMOのチーム作りは、何人からなら始められますか?専任は必要ですか?」の章で、3段階の座組みを説明しています
AIOの担当者を新しく採用したいのですが、最初に置くべき役割はどれですか?
「AIOチームでは、AI検索最適化の担当は、どの順番で採用すればいいんですか?」の章で、採用の優先順位を解説しています
AIOをやることになったのですが、既存のSEO担当者と兼任させても大丈夫ですか?
「よくある質問」の2つ目で答えています
次に読むなら、この記事です