「〇〇の代替ツールはどれ?」——SaaS選定の担当者が、ChatGPTにこう尋ねる場面が広がっています。G2の調査では、B2Bソフトウェア購入者の51%が、ソフトウェアの調査をGoogleよりAIチャットボットで始める頻度が高いと答えました(出典: G2、2026年4月15日発表)。

本記事は、ChatGPT Searchの技術仕様とB2B SaaS特化のAI引用調査という一次情報にもとづき、比較検討フェーズでどのページが実際に引用されるかを整理します。SaaS業界のAIO事例全体は、別記事『SaaS企業のAIO事例|比較検討フェーズで引用される条件』で解説済みです。本記事は、ChatGPT Searchに絞って深掘りします。

01この記事でわかること

  • ChatGPT Searchが比較検討フェーズでSaaSサイトを引用する技術的な仕組み
  • 推薦されても自社サイトが引用されるとは限らないという実態
  • 引用元の内訳(独立系ブログ・ベンダーコンテンツ・レビュー集約サイト等)
  • 引用を獲得しているページに共通する特徴

02結論サマリー

DerivateXがB2B SaaS40カテゴリ・233件の推薦をChatGPT上で分析した調査があります。ChatGPTがSaaSツールを推薦する際、根拠として自社サイトが引用される割合はわずか11.6%です(出典: DerivateX、2026年5月公開)。

G2とCapterraへの直接引用は、233件の推薦を通じてそれぞれ0件でした(レビュー集約サイト全体でも0.9%)(出典: DerivateX)。引用元の81.9%は、独立系・ニッチブログとベンダー自身のコンテンツが占めています(出典: DerivateX)。

この2つの数字は母数が異なります(詳細は後述)。つまり「推薦される」ことと「自社サイトが引用される」ことは、別の課題です。本記事は、実際に引用を獲得しているページの特徴を整理します。

03SaaS企業のChatGPT Search対策とは(基礎定義)

G2の調査によれば、B2Bソフトウェア購入者の51%が、ソフトウェアの調査をGoogleよりAIチャットボットで始める頻度が高くなっています。この数字は2025年4月時点で29%であり、約1年で1.7倍超に伸びました(出典: G2)。

比較検討フェーズという言葉の意味は、単純な「ツール名の想起」ではありません。複数の候補を並べて機能・価格を比較し、根拠となる情報源とともに検討する段階を指します。この段階でChatGPTが何を引用するかが、本記事のテーマです。

04ChatGPTが比較検討フェーズでSaaSを引用する仕組み

ChatGPT Searchは、検索専用クローラー「OAI-SearchBot」の巡回結果をもとに動作します。OpenAIは同ボットを「ChatGPTの検索機能で、検索結果にサイトを表示するために使う」ものと説明し、robots.txtでの許可を推奨しています(出典: OpenAI公式)。生成AI基盤モデルの学習には使わないとも明記されています(出典: 同)。

実務上重要なのは、学習用の「GPTBot」、ユーザーの操作時に動く「ChatGPT-User」と、robots.txt上の設定が独立している点です。学習利用を避けたい事業者がGPTBotを拒否しても、OAI-SearchBotを許可していれば比較検討フェーズでの引用対象からは外れません。「AIに学習されたくないから全部拒否」という設定は、推薦の土俵から自社を降ろす結果になります。

3種のクローラーの違いとrobots.txt実装例は、別記事『GPTBot・OAI-SearchBot・ChatGPT-User比較』で詳しく解説しています。ChatGPT Searchに引用される条件の網羅的なチェックリストは、別記事『ChatGPT Searchに引用される条件チェックリスト』も参照してください。

DerivateXの調査は、40カテゴリで各10回の質問を実施し、219個の異なるツール・169件の引用URLを分析したものです(出典: DerivateX)。次のセクションで、引用元の内訳を具体的に見ていきます。

05比較検討フェーズにおける引用元の実態

DerivateXの調査による引用元の内訳は、次のとおりです。

引用元タイプシェア
独立系・ニッチブログ+ベンダーコンテンツ81.9%
メディア・プレス8.8%
コミュニティ・ソーシャル(主にReddit)8.4%
レビュー集約サイト(G2・Capterra等)0.9%

レビュー集約サイトへの直接引用が0.9%にとどまる一方、独立系ブログとベンダー自身のコンテンツが8割超を占めています(出典: DerivateX)。

ここで冒頭の11.6%との関係を整理しておきます。2つの数字は、数えているものが違います。

数値数えているもの
11.6%233件の推薦のうち、推薦されたツール本人のドメインが根拠として挙がった割合
81.9%169件の引用URLを情報源の種類で分けたときの、独立系ブログ+ベンダーコンテンツのシェア

後者の「ベンダーコンテンツ」には、推薦されたツール以外の企業が書いた比較記事も含まれます。ベンダー発の記事はよく引かれるが、それが自社の記事とは限らない、という構図です。

この結果は、G2・Capterraへのレビュー登録だけでは比較検討フェーズの引用を獲得できないことを示しています。レビュー登録の位置づけと、SaaS業界全体の再現ポイントは、別記事『SaaS企業のAIO事例|比較検討フェーズで引用される条件』で解説したとおりです。

06引用を獲得するページの特徴と「カテゴリリスト所有戦略」

DerivateXは、引用を獲得したページの構造的な特徴も分析しています。

特徴該当率
リスト構造になっている100%
タイトルに年号を含む78%
比較表を含む68%
FAQを含む56%

同調査は「カテゴリリスト所有戦略」という現象も報告しています。ベンダー自身が「Best〇〇ソフトウェア」といった比較記事を公開すると、その1ページが複数の推薦の引用元になり得ます(出典: DerivateX)。調査では、Procurify社の比較記事1本が、異なる5ブランドの推薦の引用元になった例が確認されています(出典: DerivateX)。

つまり、比較検討フェーズで引用されやすいのは、他社を含めて公平に比較したリスト形式のコンテンツです。自社製品の紹介ページ単体より、カテゴリ全体を俯瞰する記事のほうが、引用の入り口として機能しやすいとうかがえます。

調査で確認された4要素を、そのままカテゴリ記事の構成要件に落とすと次のようになるとWEBMARKSは考えます。

  1. タイトルに年号とカテゴリ名を入れる(例:「〇〇ツール比較2026」)。該当率78%の要素を、最も低コストで満たせる箇所です。
  2. 冒頭に比較表を置く。ツール名・料金体系・主要機能・向いている規模を列にし、地の文で語らず表で示します。
  3. 各ツールをH2見出しで独立させ、順位ではなく用途で並べる。リスト構造100%という結果は、AIが1ツール=1ブロックとして抽出できる形を求めていることを示しています。
  4. 自社製品も他社と同じ粒度・同じ項目で書く。列を自社だけ多くしない、他社の弱点だけを書かない、という2点が公平性の最低ラインです。
  5. 末尾にFAQを置き、「〇〇と△△の違いは?」形式の質問をH3にする。該当率56%の要素で、比較検討の会話とそのまま噛み合います。

07チェックリスト

  • robots.txtでOAI-SearchBotを許可している
  • 学習用のGPTBotを拒否している場合も、OAI-SearchBotは個別に許可している
  • 「Best〇〇ソフトウェア」形式の自社発信コンテンツを持っている
  • 比較コンテンツにリスト構造・比較表・FAQを含めている
  • G2・Capterraへの登録は前提条件として維持しつつ、独自コンテンツも並行整備している
  • コンテンツのタイトルに年号を含め、鮮度を示している

08よくある失敗

G2・Capterraへの登録だけで満足してしまう例が見られます。DerivateXの調査が示すように、レビュー集約サイトへの直接引用は1%未満にとどまり、登録は前提条件であって引用そのものを獲得する施策ではありません。

もう一つの失敗は、自社製品の紹介ページだけを充実させ、カテゴリ全体を俯瞰する比較コンテンツを持たないことです。Procurifyの事例が示すように、比較記事1本が複数の推薦を支える引用元になり得ます。

09FAQ

Q. G2・Capterraへの登録は不要ということですか?

不要ではありません。DerivateXの調査対象となったツールの多くはレビューサイトに登録済みであり、AIがツールの実在性を確認する土台として機能していると考えられます。ただし、直接引用の獲得はレビュー登録とは別の施策として必要です。

Q. 「カテゴリリスト所有戦略」は、自社だけが有利になる比較記事を書けばよいのですか?

DerivateXの調査は、記事の公平性そのものを評価した結果ではありません。ただし、自社に極端に偏った内容は読者・AI双方からの信頼を損なうおそれがあります。競合を含めた実務に役立つ比較情報を提供する姿勢が前提になるとWEBMARKSは考えます。

Q. ChatGPT SearchとPerplexityで、対策は変わりますか?

引用元の傾向が異なる可能性があります。Perplexity向けの対策は、別記事『SaaS企業のPerplexity対策|導入事例ページの最適化』で解説しています。

10まとめ

ChatGPTがSaaSツールを推薦しても、自社サイトが引用される保証はありません。比較検討フェーズで引用を獲得する鍵は、レビュー登録に加えて、リスト構造・比較表・FAQを備えたカテゴリ俯瞰コンテンツを自社で発信することです。まずは自社カテゴリの「Best〇〇」記事の有無を確認することから着手することをおすすめします。