「会社概要のページに、構造化データを入れておいて」と言われた。そこまでは分かる。けれど、何をどこまで書けばいいのかが決まらない。
公式ドキュメントを開いてみたら、見慣れないプロパティ名が並んでいて、そこで手が止まってしまった。そういう状態のまま検索して、この記事にたどり着いた方が多いのではないかと思います。
Organization schemaには、必須のプロパティが1つもありません。Google公式ドキュメントは「There are no required properties」と明記しています。自由度が高いぶん、「何を書くべきか」を自分で決めなければならない構造化データです。
この記事は、Organization schemaを今日はじめて触る方を想定して書きました。推奨プロパティを6つのグループに整理し、コピペできるJSON-LDを置き、最後は「AI検索対策としてどこまで期待してよいのか」の線引きまで進みます。
こんなふうに調べていませんか
- 「Organization schema 書き方」で検索して、そのまま貼れるテンプレートを探している
- 公式ドキュメントを開いたが、プロパティが多くてどこから埋めるか決められない
- 構造化データを入れるとAI検索に引用されやすくなると聞いたが、本当かどうか確かめたい
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 必須プロパティがない中で、どこから埋めるかを自分で決められるようになります
- 自社のホームページにそのまま置けるJSON-LDが手に入ります
- AI検索対策として期待してよいことと、そうでないことを線引きできます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- Organization schemaとは、会社の名前・住所・連絡先などを、機械が読める形で伝える構造化データです。
- 必須プロパティはありません。Googleは、自社に該当するプロパティをできるだけ多く追加するよう案内しています。
- いちばん大事なのは、期待する効果を取り違えないことです。狙いは「引用が増えること」ではなく、同名の他組織と取り違えられにくくすることです。
この記事では、ある会社のマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。あなたに近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どこまでやるんですか?」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもOrganization schemaって、AI検索対策では何をするものなんですか?
若葉さんあの…そもそもなんですが、Organization schemaって、会社概要のページに文章を書き足すことなんでしょうか。
鈴木さんいえ、ページの見た目は何も変わりません。「うちはこの会社です」と、機械に向かって名乗るブロックを1つ置く作業だと思ってください。
Organization schemaは、schema.orgが定めている語彙の1つです。schema.orgの定義では、学校・NGO・企業・クラブなど、組織を表す型とされています(出典: schema.org/Organization)。
読者が画面で読むための文章ではありません。検索エンジンやAIが読み取るための、名乗りの情報です。
この章のまとめ
Organization schemaとは、組織の基本情報を機械が読める形で伝える構造化データです。読者に読ませる文章ではなく、機械に向けた名乗りだと考えてください。
02Googleは、Organization schemaのAI検索対策としての目的をどう説明していますか?
Google公式ドキュメントは、この構造化データをホームページに追加する目的を説明しています。組織の行政的な詳細情報を、Googleが理解しやすくなるとされています。あわせて、同名の他組織との区別(disambiguation)にも役立つと説明されています。マーチャント向けのナレッジパネルや、検索結果の視覚要素にも影響します。
ここで挙がっている効果に、「引用されやすくなる」は入っていません。この点は、この記事の後半でもう一度扱います。
この章のまとめ
Googleが目的として説明しているのは、組織情報の理解と、同名の他組織との区別です。ロゴやナレッジパネルなど、見え方にも影響します。
03Organization schemaの書き方に必須プロパティがないのは、AI検索対策で困りませんか?
高梨課長必須がないというのは、担当者としてはむしろ困りませんか。どこまで書けば「終わった」と言えるのか、判断がつかなくて。
鈴木さんそこは多くの方が引っかかるところです。案内は「該当するものを、できるだけ多く」なので、終わりの線は自社の実態のほうが決めます。
Organization schemaには、実は必須プロパティが存在しません。Google公式ドキュメントは「There are no required properties」と明記しています。そのうえで、該当する推奨プロパティをできるだけ多く記述するよう案内しています。
ここで起きやすいのが、「多いほど良い」と読み替えてしまうことです。欄を空けたくない気持ちから、実在しない住所や、使っていない連絡先を書いてしまう。
存在しない情報を書き足す行為は、ガイドライン違反にあたります。そのうえ、実体と食い違う情報を機械が読める形で配ることになります。名乗りとしては、いちばん困る状態です。
この章のまとめ
必須プロパティはゼロ。Googleの案内は「該当するものをできるだけ多く」です。判断の基準はプロパティの数ではなく、自社に実在するかどうかです。
04Organization schemaの書き方は、AI検索最適化として6つのグループで考えるんですか?
推奨プロパティを1つずつ覚えようとすると、途中で分からなくなります。性質ごとに6つのグループへ分けてしまうと、全体像がつかみやすくなります。
| グループ | 主なプロパティ | 内容 |
|---|---|---|
| コア情報 | name, legalName, url, description | 組織名・正式名称・URL・説明文 |
| ロゴ | logo | 最小112×112px、白背景での表示を想定 |
| 連絡先 | email, telephone, contactPoint | メール・電話・複数窓口の連絡先 |
| 住所 | address(PostalAddress) | 番地・市区町村・都道府県・郵便番号・国 |
| 識別コード | vatID, taxID, iso6523Code, naics | 税務・法人識別のための番号 |
| リンク | sameAs | 本人確認できる公式SNS・外部プロフィール |
グループの並びは、そのまま優先順位ではありません。ただ、目的で見ると3つのかたまりに畳めます。「名乗る」「連絡が取れることを示す」「取り違えを防ぐ」の3つです。
識別コードのvatID・iso6523Code・naicsなどは、画面には表示されません。Googleの組織識別(disambiguation)の裏側で使われるとされています(出典: 同ガイド)。見えないから不要、とは限らない項目です。
この章のまとめ
推奨プロパティは、コア情報・ロゴ・連絡先・住所・識別コード・リンクの6グループ。目的で見ると「名乗る」「連絡先を示す」「取り違えを防ぐ」の3つに畳めます。
05Organization schemaは、AI対策としてどのプロパティから埋めればいいんですか?
若葉さんグループは分かったんですが…全部いっぺんには無理そうです。最初に手をつけるとしたら、どれになりますか。
鈴木さんname・url・logoの3つです。ここが埋まっていれば、名乗りとしては形になります。残りは、自社に該当するものを後から足していけば大丈夫ですよ。
name・url・logoの3つは、実務上まず着手すべき基本セットです。組織名・自社サイトのURL・ロゴ画像。この3つで「どこの誰か」がひととおり伝わります。
次に足すのは、sameAsです。公式SNSアカウントやWikipediaのように、自社であると外部から確認できるURLを並べます。名乗りの裏付けにあたる部分なので、優先度は高めに見ておいてください。
そのうえで、住所・連絡先・識別コードなど、自社に該当するものを追加していきます。プロパティ数を増やすこと自体は目的になりません。「自社が何者かを一意に確定させる情報」から埋める、という順番で考えてください。
この章のまとめ
まずname・url・logo。次にsameAs。そのあとに、自社へ該当する情報を足していきます。埋まっている欄の多さは、目的ではありません。
06AI検索対策で使えるOrganization schemaの書き方テンプレートはありますか?
コーポレートサイトのホームページを想定した、基本のテンプレートです。自社の情報に置き換えれば、そのまま利用できます。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Organization",
"name": "株式会社サンプル",
"url": "https://sample.example.com/",
"logo": "https://sample.example.com/images/logo.png",
"description": "サンプル社の事業概要をここに記述",
"email": "contact@sample.example.com",
"telephone": "+81-3-0000-0000",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"streetAddress": "サンプル1-2-3",
"addressLocality": "千代田区",
"addressRegion": "東京都",
"postalCode": "100-0000",
"addressCountry": "JP"
},
"sameAs": [
"https://twitter.com/sample_example",
"https://ja.wikipedia.org/wiki/株式会社サンプル"
]
}置き換えるのは3か所です。nameとurlに自社の名前とサイトのURL、logoにロゴ画像のURL、sameAsに自社だと確認できるURL。残りの行は、自社に該当するものだけを残して、あとは消してしまって構いません。
この章のまとめ
テンプレートは、name・url・logo・sameAsを自社のものに置き換えるところから始められます。該当しない行は、無理に残さず消して構いません。
07Organization schemaの書き方で、AI検索対策としてつまずきやすいのはどこですか?
置き換えの作業そのものは単純です。それでも、書き方でつまずきやすいところがあります。
addressは、PostalAddress型を入れ子にして書きます。住所の文字列をそのまま1行で入れる形ではありません。addressCountryには、ISO 3166-1の2文字コードを使います。日本ならJPです。
sameAsは配列です。ここに入れてよいのは、自社であると確認できるURLだけです。関連しそうというだけの外部ページを並べる場所ではありません。
logoは、白背景での表示が想定されています。サイズは最小112×112pxです。背景が透過のまま、白地に置くと見えなくなる画像を指定していないか、実際に確認してください。
代表者や著者の情報を組織情報に組み込みたい場合は、founderプロパティの実装例を別記事『Person schemaとは?コピペで使える実装テンプレ2種と効果の実態』で扱っています。JSON-LDそのものの文法は、別記事『JSON-LDの書き方入門|3つのコピペ例で今日から書ける』で解説しています。
この章のまとめ
つまずきやすいのは、addressの入れ子・addressCountryのコード・sameAsに入れるURLの選び方、そしてlogoの見え方です。書く前に、ここだけ確認しておいてください。
08ECサイトや実店舗は、Organization schemaのサブタイプをAI検索対策でどう選ぶんですか?
Google公式ドキュメントは、より具体的なschema.orgのサブタイプを使うことを推奨しています。自社の事業形態にいちばん近い型を選ぶほうが、情報が正確に伝わります。
ECサイトならOnlineStoreが該当します。実店舗を持つ事業者ならLocalBusinessです。どちらでもない場合は、Organizationのままで構いません。
あわせてhasMerchantReturnPolicy(返品ポリシー)とhasShippingService(配送サービス)も、同ドキュメントの推奨プロパティです。同ドキュメントは、マーチャントであれば返品ポリシー・住所・連絡先などを通じて、マーチャントナレッジパネルの情報に影響を与えられると説明しています。
この章のまとめ
サブタイプは、ECならOnlineStore、実店舗ならLocalBusinessが該当します。あてはまらなければOrganizationのままで問題ありません。
09Organization schemaを入れると、AI検索に引用されやすくなるんですか?
高梨課長上に説明する立場として、いちばん聞かれそうなのがここです。これを入れると、AI検索に引用されやすくなるんでしょうか。
鈴木さん正直にお答えします。その因果関係は、現時点で証明されていません。ここは曖昧にせず、そのまま共有しておくべきところだと考えています。
先に結論を書きます。「Organization schemaを入れればAI検索に引用されやすくなる」という因果関係は、現時点で証明されていません。
2026年2月に、SSRNで1本の論文が公開されました。構造化データとAI引用の関係を、730件の引用データで検証したものです。
単純に集計した段階では、「スキーマがあるほうが引用されにくい」という負の相関が出ました。ところが、この相関はGoogle検索順位という交絡要因(結果に影響を与える別の要素)を補正すると、統計的に消えています。
つまり、「入れると引用が減る」でもなければ、「入れると引用が増える」でもありません。この論文からは、どちらの向きの因果も読み取れないというのが実際のところです。論文の詳しい読み方は、別記事『構造化データとAI引用の相関|論文を読んで分かった3つの事実』で解説しています。
この章のまとめ
構造化データとAI引用の因果関係は、現時点で証明されていません。負の相関も、順位という交絡要因を補正すると消えています。
10それでもOrganization schemaを実装する価値は、AI検索最適化としてどこにあるんですか?
では実装する意味がないのかというと、そうではありません。Organization schemaの価値は「引用されやすくなる」ではなく「同名の他組織と取り違えられにくくなる」側にあります。
この違いは、実装の優先順位を決めるときに効いてきます。引用のためだと考えるとプロパティを増やす作業に向かい、取り違えを防ぐためだと考えると自社を一意に確定させる情報へ向かいます。
| 期待してよいこと | 期待の根拠 |
|---|---|
| 同名他組織との区別(disambiguation) | Google公式ドキュメントが目的として明記 |
| ロゴ・マーチャントナレッジパネルの視覚要素 | 同ドキュメントが影響範囲として説明 |
| AI検索での引用率の向上 | 現時点で証明されたデータなし |
この章のまとめ
期待してよいのは、同名他組織との区別と、ロゴなどの視覚要素です。引用率の向上は、期待の根拠がまだありません。
11書いたOrganization schemaは、AI検索対策としてどう確認するんですか?
コードを書いたら、公開する前に確認します。Rich Results Testを使えば、構文エラーやプロパティの過不足を確かめられます。
手順は3つです。
- Rich Results Test(search.google.com/test/rich-results)に、コードまたはURLを入力する
- 検出された構造化データの種類と、エラー・警告の有無を確認する
- URL検査ツールで公開後のページを確認し、サイトマップ経由の再クロールを待つ
この章のまとめ
公開前にRich Results Testで構文を確認し、公開後はURL検査ツールで実際の見え方を確かめます。書いて終わりにしないことが、名乗りの精度を保ちます。
12公開前の見直しは、Organization schemaのAI検索最適化として何を確かめますか?
構文エラーがないことと、名乗りとして正しいことは別の話です。ツールが通っても、ロゴが白背景で見えないことはあります。
公開前に自分の目で見ておく項目を、次の図にまとめました。
すべてに印が付かなくても構いません。自社に該当しない項目は、空けたままで問題ありません。印が付かない理由が「該当しないから」なのか「まだ確かめていないから」なのか、そこだけ区別しておいてください。
検証ツール全般の使い分けは、別記事『構造化データのテストツール入門|今使うべき2つの使い分け方』で解説しています。
この章のまとめ
ツールが通ることと、名乗りとして正しいことは別です。該当しないから空けているのか、確かめていないから空いているのかを区別してから公開します。
13Organization schemaの書き方で、AI対策としてやりがちな失敗は何ですか?
最後に、実務でよく見かける失敗を3つ挙げます。どれも「よかれと思って」起きるものです。
1. 全プロパティを無理に埋めようとしてしまう
必須プロパティは存在しないため、自社に実在する情報だけを記述すれば十分です。
2. ホームページ以外の目立たないページに設置してしまう
Google公式ドキュメントは、ホームページ、または組織を説明する単一のページへの設置を推奨しています。あちこちに分散させると、組織情報として認識されにくくなります。
3. 識別コードの意味を確かめずに省いてしまう
vatID・iso6523Codeなどは画面表示に影響しないため、軽く扱われがちです。ただし、同名他組織との区別に使われる可能性がある以上、該当する情報があるなら書いておく価値があります。
この章のまとめ
失敗の多くは「埋める量」を目的にしたときに起きます。実在する情報を、ホームページに、意味を確かめたうえで置く。この3点で避けられます。
14よくある質問
Organization schemaを実装すれば、検索順位は上がりますか?
順位を直接押し上げる仕組みではありません。Google公式ドキュメントは、組織の行政的な詳細情報の理解を助けることと、同名の他組織との区別を目的として説明しています。
どのページに設置すればいいですか?
ホームページ、または「会社概要」など組織を説明する単一のページへの設置が推奨されています。複数のページに分散させる必要はありません。
ECサイトの場合も、Organizationをそのまま使っていいですか?
使えます。ただしGoogle公式ドキュメントは、より具体的なサブタイプの使用を推奨しています。ECサイトであればOnlineStoreを検討してください。
sameAsには何を書けばいいですか?
本人であることを一意に確認できる外部ページのURLを書きます。公式SNSアカウントやWikipediaのページが代表例です。
Organization schemaを実装すると、AI検索に引用されやすくなりますか?
そう断定できるデータは、現時点で確認できていません。SSRNで公開された論文の検証では、構造化データの有無とAI引用の関連は、交絡要因の補正後に統計的に消えています。引用率の向上ではなく、同名他組織との区別を目的として実装することをおすすめします。
15まとめ|今日やる3つのこと
Organization schemaとは、会社の基本情報を機械が読める形で伝える構造化データです。必須プロパティはありませんが、name・url・logoを基本に、該当する情報を足していくことが推奨されています。
いちばん大事なのは、期待する効果を取り違えないことです。AI検索での引用率を取りにいく施策ではなく、自社が何者かを一意に確定させるための施策として位置づけてください。
今日この順でやります
ホームページに置き場所を決める
会社概要など、組織を説明する単一のページでも構いません
name・url・logoを埋める
本記事のテンプレートを自社情報へ置き換えるところから始めます
sameAsを足して確認する
本人確認できるURLを並べ、Rich Results Testでエラーがないか見ます
AI検索では、こう聞かれています
Organization schemaって何ですか?何を書けばいいんですか?
「そもそもOrganization schemaって、AI検索対策では何をするものなんですか?」の章で、表札のたとえと図解で説明しています
Organization schemaのコピペできるテンプレートを教えてください
「AI検索対策で使えるOrganization schemaの書き方テンプレートはありますか?」の章に、そのまま置けるJSON-LDがあります
Organization schemaを入れると、AI検索に引用されやすくなりますか?
「Organization schemaを入れると、AI検索に引用されやすくなるんですか?」の章で、論文の読み取り方まで含めて説明しています
推奨プロパティは何から埋めればいいですか?
「Organization schemaは、AI対策としてどのプロパティから埋めればいいんですか?」の章に、埋める順番の図解があります
次に読むなら、この記事です