2025年後半、LinkedInとIndeedは相次いでAIエージェントを投入しました。求職者は「探して応募する」行動を、採用担当者は「探して絞り込む」行動を、それぞれエージェントに預け始めています。

本記事は、両社の公式発表にある機能と数値をもとに、その間に立つ求人ページが何を満たしておくべきかを整理します。

01事例の結論

LinkedInは2025年9月3日、初のAIエージェント「Hiring Assistant」を9月末までに英語版で全世界提供すると発表しました。早期導入企業では、レビュー対象プロフィール数が62%減少し、1職務あたり4時間以上の時間短縮を報告しています(出典: LinkedIn公式、2025年9月公表)。

InMailの受諾率(acceptance rate)も69%改善したと報告されています(出典: LinkedIn公式)。同時期、Indeedも求職者向けAIエージェント「Career Scout」を発表しました。

ここで区別が必要です。これらはLinkedInの自社プロダクト内で採用担当者の作業量が減ったという数値であり、企業サイトがAI検索に引用されやすくなったことを示す数値ではありません。企業側の求人ページがAI経由の応募を増やしたという個社の数値は、現時点では公表されていません。本記事が扱えるのは、両社とGoogleが公開している仕様に自社の求人情報を合わせるところまでです。

02背景・課題

従来の求人検索は、求職者がキーワードで検索し、求人一覧から個別の求人票を閲覧するという行動が中心でした。

この一連の行動を、AIエージェントが代行する設計が両社の発表では前面に出ています。Indeedは2025年9月10日、求職者向けAIエージェント「Career Scout」を発表しました(出典: Indeed公式)。

同社は、Career Scout利用者はモバイルアプリ利用者と比べ、関連する求人への応募が中央値で7倍速いと報告しています(出典: Indeed公式)。採用される可能性は38%高いとされています(出典: Indeed公式、2025年5月の米国テストデータ)。

採用担当者側でも同様の変化が起きています。LinkedInのHiring Assistantは、採用担当者が役職や理想の候補者像を伝えると、候補者の発掘とスクリーニングを代行します(出典: LinkedIn公式)。求職者・採用担当者の双方がAIエージェントを介して行動するようになれば、間に立つ求人票・企業ページの情報設計が、両者から同時に参照されることになります。

03施策の詳細

Googleが公開しているJobPostingの要件を、実装の優先度順に並べます。

  1. JobPosting構造化データを個別求人ページに実装する。title・description・hiringOrganization・jobLocation・datePostedが必須プロパティです(出典: Google公式)。
  2. baseSalaryを明記する。Googleの推奨プロパティであり、条件で絞り込む際の判断材料になり得ます(出典: Google公式)。
  3. validThroughで募集期限を明示する。推奨プロパティですが、掲載終了日がある求人では記載が必要とされています(出典: Google公式)。
  4. 求人一覧ページではなく個別求人の詳細ページに構造化データを配置する。Googleは求人一覧のような検索結果ページに構造化データを追加しないよう明記しています(出典: Google公式)。
  5. 職務内容をHTML形式で具体的に記述する。descriptionは完全なHTML形式の職務説明を求められています(出典: Google公式)。

04成果

数値で確認できるのは、いまのところプラットフォーム側だけです。以下はすべて両社が自社サービス内で計測した利用データであり、企業サイトのAIO成果を示す指標ではない点に注意してください。

指標数値出典
Hiring Assistant導入企業のレビュー対象プロフィール削減62%LinkedIn公式
Hiring Assistant導入企業の時間短縮4時間以上/職務LinkedIn公式
Hiring Assistant導入企業のInMail受諾率69%改善LinkedIn公式
Career Scout利用者の応募速度7倍(中央値・モバイルアプリ利用者比)Indeed公式
Career Scout利用者の採用可能性38%向上(2025年5月・米国テスト)Indeed公式

これらの数値が企業側に意味するのは、応募までの経路が短くなり、比較が機械的になるということです。求職者側のエージェントは条件に合う求人を能動的に探索するため、条件が機械可読になっていない求人は探索の対象から外れます。

05再現のためのポイント

求人ページの運用でつまずきやすい点から挙げます。

  1. 募集終了後の求人ページを放置しない。validThroughを過ぎた求人や、公開したまま残した旧求人は、AIが現在募集中の職として拾う原因になります。掲載終了時にページを閉じるか構造化データを外すところまでを、募集開始時の手順に含めます。
  2. 媒体と自社ページで条件を食い違わせない。給与レンジ・勤務地・雇用形態が掲載先ごとに違うと、どれが正しいか判断できず、条件マッチングから外れます。原本を1か所に決め、そこから各媒体へ流す形にします。
  3. AIに引用されやすいコンテンツの共通条件は、別記事『AIに引用されるコンテンツの共通点とは|3社の仕様から導く5条件』も参考になります。求人票にも同様の考え方が応用できます。
  4. 企業ページ・採用ブランディングの専門性を示す方法は、別記事『生成AI時代のE-E-A-T再定義|4要素の意味と実装ポイント』を参照してください。

06業界別の応用

同じ採用でも、AIエージェントが見る材料は領域ごとに違います。

領域特有の留意点
人材紹介・転職エージェント求人票だけでなく、コンサルタントの専門性を示すコンテンツもAIエージェントの参照対象になり得ます
新卒採用選考プロセス・企業文化の情報が、学生側のAI活用による比較検討で参照される可能性があります
エンジニア・専門職採用技術スタック・開発体制の具体的な記述が、条件マッチングの精度を左右します
アルバイト・パート採用勤務時間・時給などbaseSalary関連の構造化データが特に重要です

07FAQ

Q. JobPosting構造化データを実装すれば、AIエージェントに必ず選ばれますか?

必ず選ばれるわけではありません。構造化データはAIが求人情報を正確に理解するための土台であり、条件面での競争力そのものを代替するものではありません。

Q. 求人媒体に掲載していれば、自社ページの構造化データは不要ですか?

不要とは言えません。媒体側の掲載は媒体のフォーマットに従うため、自社が伝えたい条件がそのまま残るとは限りません。自社ページに原本を置き、構造化データで条件を明示しておけば、媒体経由・自社サイト経由のどちらから参照されても同じ内容が返ります。

Q. LinkedInとIndeed、どちらへの対応を優先すべきですか?

どちらか一方を選ぶ性質のものではありません。両社とも自然言語での検索・エージェント機能を強化しており、構造化データという共通の基礎対応がどちらにも有効です。