「うちの製品を探している人は、まずGoogleで検索している」。B2Bのマーケティングでは、長いあいだそれが前提でした。比較キーワードで上位を取り、比較ページに来てもらい、そこから問い合わせにつなげる。この設計で成果が出ていた会社ほど、いま起きている変化は見えにくくなっています。
見込み客が最初に開く画面が、検索結果からAIとの対話に移りつつあるためです。G2が公表した調査では、B2Bソフトウェアの購買者・意思決定者のうち51%が、GoogleではなくAIチャットボットで購買調査を始めると答えています。
この記事は、G2とSemrushが2026年に公表した購買行動の調査を手がかりに、比較検討の場面で自社がAIの回答に載るために何を整えるかを整理します。「AI経由で問い合わせが来た」という手応えはまだ薄いけれど、入口が動いている気配は感じている。そういう方に向けて書きました。
こんなふうに調べていませんか
- B2Bの見込み客が、ChatGPTで製品をどう探しているのか知りたい
- 「B2B リード獲得 AIO」で検索して、比較検討フェーズの打ち手を探している
- 上司にAI検索対策の必要性を説明したいが、手元に材料がない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- B2B購買者の入口がどこに移ったかを、数字つきで説明できるようになります
- 比較検討フェーズでAIが参照する情報源が、図1枚で分かります
- 既存の資産から着手する順番が、5つに絞れます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- B2Bソフトウェア購買者の51%が、GoogleではなくAIチャットボットから購買調査を始めています(G2調査)。
- AIの助言で当初とは違うベンダーを選んだ人が69%、知らなかったベンダーから購入した人が33%います。
- 打ち手は新規ページの量産ではありません。レビューサイト・比較ページ・導入事例という既存の資産を、AIが読める形に直すところからです。
この記事では、あるB2B企業のマーケティング部の3人と、専門家の会話をはさみながら進めます。あなたに近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 大森部長(事業責任者)— 「それで売上にどう効くんだ」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもB2Bリード獲得のAIOで、何が起きているんですか?
若葉さんあの…そもそもなんですが、B2Bの購買担当者って、本当にChatGPTで製品を探しているんでしょうか。まわりで聞いたことがなくて…。
鈴木さん感覚だと分かりにくいところですよね。ここは、購買者本人に聞いた調査を見るのがいちばん早いです。
G2は2026年3月、B2Bソフトウェアの購買者・意思決定者1,076名を対象に調査を実施しました。その結果、51%がGoogleではなくAIチャットボットで購買調査を開始すると回答しています。
この数字は、2025年4月の時点では29%でした。1年ほどのあいだに、購買調査の入口が半数を超えるところまで移っています。AIチャットボットの内訳では、ChatGPTの利用率が63%と突出しています。
押さえておきたいのは、これが「AIに詳しい一部の人」の話ではないという点です。回答しているのは、実際に製品を選び、社内で稟議を通す立場の人たちです。
この章のまとめ
入口が動いています。G2調査では51%がAIチャットボットから購買調査を始め、その内訳ではChatGPTが63%を占めています。
02比較検討フェーズのAIO対策って、どの場面を指すんですか?
高梨課長比較検討フェーズという言葉が出ましたが、うちの営業プロセスでいうと、どのあたりを指すんでしょうか。
鈴木さん購買者が複数の選択肢を絞り込んで、最終候補を決める段階のことです。問い合わせや見積もり依頼の、ひとつ手前ですね。
高梨課長いちばん受注に近い場所ですね。そこが動いているとなると、無視はできません。
比較検討フェーズとは、購買者が複数の選択肢を絞り込み、最終候補を決める段階を指します。従来のB2B向けSEOが、いちばん力を発揮してきた場所でもあります。
これまでの流れはこうでした。比較キーワードで上位に表示される。自社の比較ページに来てもらう。読んで納得してもらい、問い合わせにつなげる。上位表示から始まる一本道です。
いま起きているのは、この一本道の手前に一段が挟まったことです。購買者はまずAIに聞きます。「この用途に向いたツールは何か」「あの製品とこの製品はどう違うのか」。そこで返ってきた数本の候補が、比較検討の出発点になります。
問いの中身は、段階ごとに変わります。まず「どんな選択肢があるか」を尋ね、次に「この条件に合うのはどれか」と絞り、最後に「本当に自社で使えるのか」を確かめます。段階ごとにAIが参照する情報源が違うため、自社が用意しておく資産も変わります。
この章のまとめ
比較検討フェーズは、上位表示から始まる一本道でした。いまはその手前に「AIに聞く」段階が入り、そこで候補に残るかが先に決まります。
03AI検索最適化で見ると、B2Bの購買行動はどこが変わったんですか?
大森部長入口が変わったのは分かった。だが、入口が変わっただけで、最後に選ばれる会社まで変わるものかね。
鈴木さんそこも調査で確かめられています。AIの助言を受けて、当初考えていたのとは違うベンダーを選んだ購買者が69%いたと報告されています。
大森部長…そこまでか。それは無視できない数字だな。
G2の調査では、69%の購買者が、AIチャットボットの助言によって当初検討していたのとは異なるベンダーを選んだと回答しています。さらに33%は、それまで知らなかったベンダーから購入したと答えています。
別の調査でも、似た傾向が出ています。Semrushは2026年3〜4月に米国のB2B専門家643名を調査し、有効回答622名のうち、業務でAIを使う519名を分析対象としました。この519名のうち97%が、新規ベンダーの発見にAIが役立ったと答えています。92%は、AIが候補リストの形成に影響したと回答しています。
数字を並べると、変わったのが入口だけではないことが見えてきます。候補リストそのものが、AIとの対話の中で組み替えられています。 知られていなかった会社が候補に入り、有力だった会社が落ちる。比較検討の初期段階で自社がAIの回答に登場するかどうかが、リード獲得の入口を左右する段階に入っています。
この章のまとめ
AIの助言で当初と違うベンダーを選んだ人が69%、知らなかったベンダーから買った人が33%。候補リストは対話の中で組み替えられています。
04B2Bリード獲得のAIOは、何から手をつければいいんですか?
高梨課長分かりました。それで、うちの体制では何から始めるのがいいでしょうか。新しくページを量産する余裕はありません。
鈴木さん量産はしなくて大丈夫です。購買者がAIに聞く順番に沿って、いまある資産を直していくほうが近道だと考えています。
打ち手は、購買者がAIに聞く順番(候補を知る→絞り込む→確かめる)に沿って並べると迷いません。ここでは5つ挙げます。
購買者が聞く順番に整えます
第三者レビューサイトへの掲載と返信体制を整える
候補を知る段階で参照される場所です
比較ページの軸を、購買者の絞り込み条件に合わせる
価格帯・導入期間・対応できる企業規模・連携できる外部サービスを列にします
導入事例を、条件と成果をセットにして公開する
業界・従業員規模・導入前の課題・導入後の変化を同じ並び順に固定します
比較検討時によくある質問に、FAQページで答える
価格・導入期間・他社との違いに先回りします
営業資料の内容を、Web上でも読める形にする
AIが参照できない資料の中身は、引用の対象になりません
どれも新規ページの制作ではありません。すでに社内にある情報を、AIが読み取れる場所と形に移す作業です。5つ目だけ補足すると、個別見積もりのように公開できない条件を無理に出す必要はありません。機能・要件・導入手順から先に公開すれば十分です。
この章のまとめ
量産ではなく整備です。レビュー掲載・比較ページ・導入事例・FAQ・営業資料の公開。この5つを、購買者が聞く順番に並べて手をつけます。
05B2Bのレビューサイトの整備は、LLMO対策として本当に効くんですか?
若葉さんレビューサイトが1つ目に来るのが意外でした。自社サイトを直すほうが先だと思っていて…。
鈴木さん自社サイトも大事です。ただ、AIの回答を読んだ人が「この情報は信じていいのか」と判断するとき、第三者の声のほうが効くと報告されています。
G2の調査では、回答者の45%が「レビューサイトの引用」を、AIの回答内で最も信頼できるシグナルに挙げています。自社が語る強みと、第三者が書いた評価とでは、読み手の受け取り方が違うということです。LLMO(大規模言語モデルに向けた最適化。AIOとほぼ同じ意味で使われます)と呼ばれる領域でも、この考え方は変わりません。
ここで気をつけたいのが、掲載して終わりにしないことです。投稿が数年前で止まったプロフィールは、比較の候補として拾われにくくなります。レビュー依頼を誰がいつ回すのかを、四半期単位で先に決めておくと運用が続きます。
機械可読にする部分も押さえておきます。個々のレビューは、schema.orgのReview型でレビュー本文・評価・著者を記述できます。評価の集計値については、レビュー対象側のaggregateRatingプロパティで示すのが基本です。
この章のまとめ
AIの回答内で信頼できるシグナルとして、45%がレビューサイトの引用を挙げています。登録して終わりにせず、回す仕組みまで決めます。
06B2Bの比較ページの軸は、AI検索対策としてどう決めるんですか?
比較ページで直すのは、比較の軸です。〇×を並べた表ではなく、購買者が実際に候補を落とす基準を列にします。価格帯、導入期間、対応できる企業規模、連携できる外部サービス。絞り込みの場面でよく使われるのは、このあたりの軸です。
各欄は、記号ではなく条件文で書きます。「◯」とだけ置かれた欄は、切り出したときに意味が通りません。どの条件までなら対応できるのかを、そのまま読める文にしておきます。AIは文の一部を抜き出して使うため、欄の中身が文になっているほど扱いやすくなります。
この章のまとめ
比較の軸は、購買者が候補を落とす基準に合わせます。価格帯・導入期間・企業規模・外部サービス連携。各欄は記号ではなく条件文で書きます。
07B2Bの導入事例とFAQは、AI対策としてどう並べ直すんですか?
導入事例で直すのは、並び順です。業界、従業員規模、導入前の課題、導入後の変化。この並びを、すべての事例ページで固定します。並びが揃っていると、AIが条件で拾い分けやすくなります。
FAQページも同じ考え方です。価格、導入期間、他社との違い。比較段階の疑問に先回りして答えておくと、AIがそのまま引ける「問いと答えの対」ができます。
この章のまとめ
導入事例は並び順を固定し、FAQは比較段階の疑問に先回りします。どちらも、AIが条件で拾い分けられる形にするための整備です。
08AI検索対策として、B2Bの比較ページで避けたい書き方は何ですか?
大森部長競合と比べるなら、うちが優れている点をはっきり書いたほうが伝わるんじゃないか。
鈴木さんお気持ちは分かります。ただ、AIは文の一部を抜き出して使います。断定的な優劣表現だけが切り取られて回答に載ると、自社側のリスクになりかねません。
比較ページで競合を名指しで批判しない。これは表示の適正さという観点だけでなく、AI検索対策としても効きます。抜き出されるのは文脈ではなく、文だからです。
代わりに「どちらが向くか」を条件別に書きます。小規模で始めたい場合はこちら、既存システムとの連携が多い場合はこちら、というように。読み手が自分の条件に当てはめられる形にしておくと、AIも条件つきで引用しやすくなります。数字を書くときは、出典とセットで示します。
公開の範囲についても触れておきます。AIが参照できない非公開の資料は、引用の対象になりません。とはいえ、出せないものを無理に出す必要はありません。公開できるところから順に出していけば十分です。
この章のまとめ
名指しの批判と、断定的な優劣表現は避けます。条件別に「どちらが向くか」を書き、数字には出典を添えます。
09業種によって、B2BのAIO対策で見られる材料は違うんですか?
同じB2Bでも、購買者が比較で見る材料は業種ごとに違います。
| 業種 | 特有の留意点 |
|---|---|
| SaaS・ソフトウェア | 機能比較表・料金比較がAIの回答に直接引用されやすい領域です |
| 製造業向けB2Bサービス | 導入実績・技術仕様の開示量が比較検討の材料になります |
| コンサルティング・専門サービス | 実績の抽象度が高くなりがちで、条件別の具体的な事例開示が有効です |
| 人材・採用支援サービス | 導入企業の業種・規模別の成果開示が比較検討で参照されやすくなります |
自社がどこに近いかで、5つの打ち手のうちどこに力を入れるかが変わります。たとえばコンサルティングのように、守秘の事情で実績を抽象的にしか書けない場合ほど、条件を添えた事例の開示が効きます。
この章のまとめ
見られる材料は業種で違います。機能と料金か、実績と仕様か、条件つきの事例か。自社に近い型を選んで、そこから厚くします。
10B2BのAI検索対策は、成果をどう見ればいいんですか?
大森部長それで、投資判断としてはどうなんだ。これをやった会社が、どれだけリードを増やしたのかが知りたい。
鈴木さん正直にお伝えします。AIO施策でリード獲得数を伸ばした、と数値付きで公表しているB2B企業は、現時点では見つかりません。
大森部長無いのか。
鈴木さんはい。いまお見せできるのは、購買者側の行動データから導ける打ち手の優先順位までです。そこは隠さずにお伝えします。
購買者側のデータは、AIの回答がどこまで当てにされているかを示しています。G2の調査では、AIチャットボットが候補リストに影響する情報源の第1位に挙げられました。回答者の83%は、最終的な購買判断により自信を持てたと答えています。
ここで区別しておきたいことがあります。「候補リストへの影響源」と「AIの回答内で信頼できるシグナル」は、別の設問です。後者では45%がレビューサイトの引用を挙げていました。AIに載ることと、載ったときに信じてもらうことは、別々に手を打つ必要があります。
社内に報告するときも、この2つを分けて置くと話が通りやすくなります。載る(候補に入る)ための整備と、信じてもらう(第三者の裏づけ)ための整備。どちらが足りていないのかを決めてから、予算の話に進みます。
この章のまとめ
個社の成果を数値で公表した例は見当たりません。分けて見るのは「候補に入る」ことと「信じてもらう」こと。足りない側から手を打ちます。
11よくある質問
レビューサイトへの掲載は必須ですか?
必須ではありません。ただ、G2の調査でAIチャットボットが比較検討の主要な情報源になっている以上、優先度は高いと考えられます。まずは主要なレビューサイトへの登録から着手することをおすすめします。
AI経由のリードは質が低いのではないですか?
低いと決めつける根拠はありません。G2の調査では、回答者の83%が最終的な購買判断により自信を持てたと答えています。比較検討を経たうえでの接触である可能性があります。
予算をかけずに最初の一手を打つなら何ですか?
既存の資産を機械可読にする作業が先です。主要レビューサイトのプロフィール記載を最新化し、既存の導入事例ページに業界・企業規模・導入前の課題を追記するだけでも、AIが条件で拾える情報量は増えます。新規ページの制作は、そのあとで構いません。
AIOに取り組めば、B2Bのリード獲得数は増えますか?
増えたと数値付きで公表しているB2B企業は、現時点では見つかりません。この記事が示せるのは、購買者側の行動データから導ける打ち手の優先順位までです。裏が取れないことは、断定せずにお伝えしています。
レビューの評価は、構造化データでどう書くんですか?
個々のレビューは、schema.orgのReview型でレビュー本文・評価・著者を記述します。評価の集計値については、レビュー対象側のaggregateRatingプロパティを使うのが基本です。
12まとめ|今日やる5つのこと
B2Bの購買調査は、検索窓ではなくAIとの対話から始まるケースが半数を超えました。候補リストは対話の中で組み替えられ、知らなかった会社が候補に入るようになっています。
やることは、新規ページの量産ではありません。レビューサイト・比較ページ・導入事例・FAQ・営業資料という、すでに社内にある資産を、AIが読める場所と形に移すことです。
もう一度、今日やる5つ
レビューサイトのプロフィールを最新にする
誰がいつレビュー依頼を回すかまで決めます
比較ページの軸を購買者の条件に合わせる
記号ではなく条件文で書きます
導入事例の並び順を揃える
業界・従業員規模・導入前の課題・導入後の変化の順に固定します
比較段階のFAQを先回りして書く
価格・導入期間・他社との違いに答えます
営業資料の中身をWebでも読めるようにする
公開できる範囲から順に出します
AI検索では、こう聞かれています
B2Bの購買担当者は、AIで製品をどうやって探しているんですか?
「そもそもB2Bリード獲得のAIOで、何が起きているんですか?」で調査の数字とあわせて説明しています
AI検索で自社の製品を候補に入れてもらうには、何を用意すればいいですか?
「B2Bリード獲得のAIOは、何から手をつければいいんですか?」に5つの打ち手があります
AIO対策でB2Bのリード獲得数は増えますか?
「よくある質問」の4つ目で、公表されている数値の有無を含めて答えています
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