自社の見込み客が製品を探すとき、最初に開くのはGoogleでしょうか、それともChatGPTでしょうか。G2の2026年調査では、すでに後者が過半数です。従来のSEOが最も力を発揮してきた比較検討フェーズで、入口が入れ替わりつつあります。
本記事は、G2とSemrushが2026年に公表したB2Bバイヤー調査を一次情報として、比較検討フェーズでAIの回答に載るための対応を整理します。
01事例の結論
G2は2026年3月、1,076名のB2Bソフトウェア購買者・意思決定者を対象に調査を実施しました。その結果、51%がGoogleではなくAIチャットボットで購買調査を開始すると回答しています(出典: G2、2026年4月公表)。
この比率は2025年4月時点の29%から22ポイント上昇しています。AIチャットボットの中では、ChatGPTの利用率が63%と突出しています(出典: G2)。
なお、この変化にAIO施策で応じてリード獲得数を伸ばした、と数値付きで公表しているB2B企業は現時点では見つかりません。本記事が示せるのは、購買者側の行動データから導ける打ち手の優先順位までです。
02背景・課題
従来のB2B向けSEOは、比較キーワードでの上位表示を通じて、自社サイトへの流入とリード獲得を狙う設計が主流でした。
しかしG2の調査では、69%の購買者がAIチャットボットの助言によって、当初検討していたのとは異なるベンダーを選んだと回答しています(出典: G2)。さらに33%は、それまで知らなかったベンダーから購入したと答えています(出典: G2)。
Semrushは2026年3〜4月に米国B2B専門家643名を調査し、有効回答622名のうち業務でAIを使う519名を分析対象としました。この519名のうち97%が新規ベンダーの発見にAIが役立ったと答えています(出典: Semrush、2026年7月公表)。92%はAIが候補リストの形成に影響したと回答しています(出典: Semrush)。
つまり比較検討の初期段階で、自社がAIの回答に登場するかどうかが、リード獲得の入口を左右する段階に入っています。
03施策の詳細
購買者がAIに聞く順番(候補を知る→絞り込む→確かめる)に沿って、5つの打ち手を並べます。
- 第三者レビューサイトへの掲載・返信体制を整える。G2の調査では、回答者の45%が「レビューサイトの引用」をAI回答で最も信頼できるシグナルに挙げています(出典: G2)。レビュー本文・評価・著者はschema.orgのReview型で機械可読に記述できます(出典: schema.org)。
- 比較ページの軸を購買者の絞り込み条件に合わせる。「価格帯」「導入期間」「対応できる企業規模」「連携できる外部サービス」のように、実際に候補を落とす基準を列にし、〇×ではなく条件文で書きます。
- 導入事例を条件・成果とセットで公開する。業界・従業員規模・導入前の課題・導入後の変化を、全事例ページで同じ並び順に固定します。並びが揃っていると、AIが条件で拾い分けやすくなります。
- 比較検討時によくある質問にFAQページで答える。価格・導入期間・他社との違いなど、比較段階の疑問に先回りします。
- 営業資料の内容をWeb上のコンテンツとしても公開する。AIが参照できない非公開資料の情報は、引用の対象になりません。個別見積もりなど公開できない条件は無理に出さず、機能・要件・導入手順から先に公開します。
04成果
購買者側の行動データは、AIの回答がどこまで当てにされているかを示しています。G2の調査では、AIチャットボットが候補リストに影響する情報源の第1位に挙げられました(出典: G2)。回答者の83%は、最終的な購買判断により自信を持てたと答えています(出典: G2)。
ここで区別しておきたいのは、「候補リストへの影響源」と「AIの回答内で信頼できるシグナル」が別の設問だという点です。後者では45%がレビューサイトの引用を挙げています(出典: G2)。AIに載ることと、載ったときに信じてもらうことは、別々に手を打つ必要があります。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| Googleより多くAIチャットボットで購買調査を開始 | 51%(2025年4月は29%) | G2 |
| AIの助言で当初と異なるベンダーを選択 | 69% | G2 |
| 未認知ベンダーから購入 | 33% | G2 |
| AIで新規ベンダーを発見(AI利用者519名ベース) | 97% | Semrush |
05再現のためのポイント
先に、実務でつまずきやすい点を2つ挙げます。
- レビューサイトは「登録して終わり」にしない。投稿が数年前で止まったプロフィールは、比較の候補として拾われにくくなります。レビュー依頼を誰がいつ回すかを、四半期単位で先に決めておきます。
- 比較ページで競合を名指しで批判しない。断定的な優劣表現は、AIに切り取られて引用されたときに自社側のリスクになります。「どちらが向くか」を条件別に書く形にとどめ、数字は出典とセットで示します。
- 個別レビューはschema.orgのReview型で記述します。評価の集計値はレビュー対象側のaggregateRatingプロパティが基本です(出典: schema.org)。
- 比較検討フェーズで引用される条件は、別記事『SaaS企業のAIO事例|比較検討フェーズで引用される条件』でも詳しく解説しています。AIに引用されやすいコンテンツの共通条件は、別記事『AIに引用されるコンテンツの共通点とは|3社の仕様から導く5条件』を参照してください。
06業界別の応用
同じB2Bでも、購買者が比較で見る材料は業種ごとに違います。
| 業種 | 特有の留意点 |
|---|---|
| SaaS・ソフトウェア | 機能比較表・料金比較がAIの回答に直接引用されやすい領域です |
| 製造業向けB2Bサービス | 導入実績・技術仕様の開示量が比較検討の材料になります |
| コンサルティング・専門サービス | 実績の抽象度が高くなりがちで、条件別の具体的な事例開示が有効です |
| 人材・採用支援サービス | 導入企業の業種・規模別の成果開示が比較検討で参照されやすくなります |
07FAQ
Q. レビューサイトへの掲載は必須ですか?
必須ではありませんが、G2の調査でAIチャットボットが比較検討の主要な情報源になっている以上、優先度は高いと考えられます。まずは主要なレビューサイトへの登録から着手することをおすすめします。
Q. AI経由のリードは質が低いのではないですか?
低いと決めつける根拠はありません。G2の調査では、回答者の83%が最終的な購買判断により自信を持てたと答えており、比較検討を経たうえでの接触である可能性があります(出典: G2)。
Q. 予算をかけずに最初の一手を打つなら何ですか?
既存の資産を機械可読にする作業が先です。主要レビューサイトのプロフィール記載を最新化し、既存の導入事例ページに業界・企業規模・導入前の課題を追記するだけでも、AIが条件で拾える情報量は増えます。新規ページの制作はその後で構いません。