「FAQを載せているのに、AI検索にぜんぜん引用されない」。そう感じて、FAQ・HowToの構造化データについて調べ始めた方が、この記事にたどり着いているのではないかと思います。
さらに調べていくと、「Googleが2023年にFAQのリッチリザルトを縮小した」「2026年5月にはFAQ表示自体が終了した」という話も出てきて、余計に混乱してしまう。今つけているマークアップは、もう意味がないのだろうか。それとも、AI検索ではまだ別の形で効いているのだろうか。
この記事は、FAQ・HowTo構造化データの現状を、複数の一次情報を照らし合わせて確認したい方に向けて書きました。専門用語は出てきたその場で言い換えます。図解と会話をはさみながら、最後は「今つけているマークアップをどう扱うか」まで一緒に整理します。この論点は、AI検索最適化(LLMOとも呼ばれます)の中でも意見が分かれやすいところです。
こんなふうに調べていませんか
- FAQ・HowToの構造化データを設定すれば、AI検索に引用されやすくなるのか知りたい
- GoogleがFAQリッチリザルトを廃止したと聞いて、今のマークアップをどうすればいいか分からない
- 上司に「JSON-LDって効果あるの?」と聞かれて、答えに詰まった
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- GoogleのFAQ・HowTo表示の縮小・廃止と、AI検索の引用が別の話だと説明できるようになります
- JSON-LDを追加しても引用率が増えなかった、という実証データの中身が分かります
- 今のFAQ・HowToマークアップを、削除すべきかどうか自分で判断できるようになります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- GoogleのFAQ・HowToリッチリザルト表示の縮小・廃止と、AI検索がその構造化データを引用の手がかりにするかどうかは、別々の仕組みで動いています。
- Ahrefsの実証実験では、JSON-LDを追加しても引用率に意味のある増加は見られませんでした。
- 結論はまだ出せません。ただし、既存のマークアップを慌てて消す必要もありません。今日確認することは3つ。①何が廃止されたか ②何が実証されたか ③今のマークアップをどう扱うかです。
この記事では、ある会社のマーケティング部の2人と、専門家の会話をはさみながら進めます。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「うちは、どうすればいいんですか?」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそも、FAQ構造化データのマークアップは、AI検索対策で何のためにやるんですか?
若葉さんあの、そもそもなんですが……FAQとかHowToのマークアップって、何のためにつけるものなんでしょうか。うちのサイトにも入っているらしいんですが、正直よく分かっていなくて。
鈴木さんはい、そこから整理しますね。FAQ・HowToマークアップは、ページの中身をGoogleに分かりやすく伝えるための「タグ」なんです。ページの表には出てこない、裏側の情報だと思ってください。
FAQ・HowToマークアップは、schema.orgという共通の規格で決められた「FAQPage」「HowTo」という型を使って書きます。これを設定すると、Googleがそのページの内容を「これはよくある質問への回答だ」「これは手順の説明だ」と機械的に読み取れるようになります。
02昔、FAQ構造化データにあったリッチリザルトという特典は、AI検索対策とどう関係していたんですか?
かつてこの情報は、検索結果の見た目を変える特典として使われていました。検索結果に質問と回答が折りたたみ式で表示されたり、手順が番号付きのカードで表示されたりする、あの見た目です。これをリッチリザルトと呼びます。
この章のまとめ
FAQ・HowToマークアップは、ページの内容を検索エンジンに伝える裏側のタグです。かつては、これをもとにGoogleが検索結果の見た目を特別に変えてくれる「リッチリザルト」という特典がありました。
03GoogleのFAQ構造化データの表示は、AI検索対策の前提としてどう変わったんですか?
高梨課長うちも去年、FAQのマークアップを入れたはずなんですが……今もリッチリザルトって出ているんでしょうか。
鈴木さん実は、その特典自体が、この数年でかなり縮小・廃止されているんです。時系列で見ていきますね。
Googleは、FAQ・HowToのリッチリザルト表示を、段階的に縮小してきました。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年8月8日 | FAQリッチリザルトを「政府機関・健康関連の著名サイト」限定に縮小。HowToリッチリザルトをデスクトップのみに制限 |
| 2023年9月 | HowToリッチリザルトをデスクトップからも撤廃(実質的な全廃) |
| 2026年5月7日 | FAQリッチリザルトがGoogle検索から完全に表示終了 |
| 2026年6月 | Search ConsoleのFAQレポート、リッチリザルトテストのFAQ対応終了を予定と発表 |
| 2026年8月 | Search Console APIのFAQ対応終了を予定と発表 |
現在Googleが対応するリッチリザルト一覧にも、FAQPage・HowToは含まれていません(出典: Google公式「構造化データギャラリー」)。
04リッチリザルトが終わっても、FAQ構造化データの型そのものはAI検索対策で使われているんですか?
一方で、schema.org自体の型定義は廃止されていません。2026年5月時点で、FAQPageは100万〜1,000万ドメイン、HowToは10万〜100万ドメインの規模で、今も使われています(この数字はschema.org公式ページの使用統計にもとづきます)。
この章のまとめ
GoogleはFAQ・HowToのリッチリザルト表示を2023年から2026年にかけて段階的に縮小・廃止しました。一方でschema.orgの型定義自体は廃止されておらず、今も広く使われています。
05AI検索はこのマークアップを手がかりにして、引用率を上げてくれるんですか?
若葉さんリッチリザルトが終わったのは分かりました。でも、ChatGPTとかAI検索のほうは、まだこのマークアップを見て「引用しよう」って判断してたりしないんでしょうか。
鈴木さんそこが今日いちばん知りたいところですよね。実は、それを直接検証した実験結果があるんです。
Ahrefsは2026年5月、JSON-LDスキーマを追加する実証実験を公開しました。2025年8月から2026年3月にかけて、JSON-LDを追加した1,885ページを、条件が近い対照4,000ページと比較したものです。
| プラットフォーム | 引用率の変化 | 統計的な位置づけ |
|---|---|---|
| Google AI Overviews | -4.6% | 統計的に有意(偶然の確率は約1/2,500)。ただしマイナス方向 |
| Google AI Mode | +2.4% | ノイズの範囲内(統計的に有意でない) |
| ChatGPT | +2.2% | ノイズの範囲内(統計的に有意でない) |
3つのプラットフォームのうち、統計的に意味のある変化が見られたのはGoogle AI Overviewsだけでした。しかも、その変化はマイナス方向です。 JSON-LDを追加したからといって、引用が増えるという結果にはなりませんでした。
この章のまとめ
Ahrefsの実証実験では、JSON-LD追加による引用率の意味のある増加は確認されませんでした。むしろGoogle AI Overviewsでは、統計的に有意なマイナスの変化が見られています。
06FAQ構造化データと引用率の相関は、AI検索対策の根拠になるんですか?
この調査の対象ページは、施策前の2025年2月時点で月100件以上のAI Overviews引用を受けていたページに限られます(出典: Ahrefs「We Tracked 1,885 Pages Adding Schema」)。観察データでは「AI引用を受けるページの53%がスキーマを保有し、非引用ページの約3倍」という相関も確認されました。しかしAhrefsは、これを因果関係ではなく、技術的に洗練されたサイトが複数の施策を並行実施している結果と説明しています。
この章のまとめ
「引用されているページの多くがスキーマを持っている」という数字は、相関です。Ahrefs自身が、技術的に洗練されたサイトが複数の施策を同時に進めた結果だと説明しています。
07引用率における「相関」と「因果」は、AI検索最適化の判断で何が違うんですか?
若葉さんさっきの「相関と因果は別物」というお話、頭では分かるんですが……もう少し具体的に教えてもらえますか。
鈴木さんいい質問です。ちょうどもう一つ、同じ構図を示すデータがあるので、それで説明しますね。
AI引用計測を手がける企業Marshalの創業者Fischman氏は、SSRN(学術誌の査読を経ない公開分析のプラットフォーム)で分析結果を公開しています。730件のAI引用データを、スキーマの種類別に分類した結果は次のとおりです。
| スキーマの種類 | 引用率 |
|---|---|
| 属性豊富なスキーマ(Product・Reviewなど実データを含む型) | 61.7% |
| スキーマなし | 59.8%(属性豊富型と統計的に同等・p=.71) |
| 汎用スキーマ(Article・Organization・BreadcrumbListなど) | 41.6%(基準値を下回る) |
この表が示しているのは、まだ「スキーマの種類ごとに引用率が違う」という相関の段階です。その差が、質問の種類など他の要因を除いても残るのか。そこを確かめるのが因果の検証で、次の章で見ていきます。
08補正をかけると、FAQ構造化データと引用率の関係はAI検索対策でどう変わるんですか?
ここで面白いのは、「スキーマ有無」全体で見たときの最初の負の相関(OR=0.546)が、クエリ単位の補正をかけると消えてしまう(OR=0.678, p=.296)ことです。つまり、単純に「スキーマがあるページ/ないページ」で比べると差があるように見えても、質問の種類ごとの偏りを補正すると、その差はほぼ説明できてしまいます。
一方で、属性豊富なスキーマ(61.7%)と汎用スキーマ(41.6%)の差は、補正後もp=.012で有意に残ります。Fischman氏は「属性豊富なスキーマはベースライン(スキーマなしの水準)へ回復し、汎用スキーマはそれを下回る」と留保しており、汎用スキーマだけの実装は、むしろ不利にはたらく可能性があるとしています(出典: 同分析)。
この章のまとめ
730件のAI引用データを補正して分析すると、スキーマ有無だけの差はほぼ消えます。一方で、汎用スキーマだけの実装は基準値を下回るという、統計的に有意な差が残ります。
09AIは、そもそもFAQ構造化データのJSON-LDをAI検索でちゃんと読んでいるんですか?
若葉さんそもそもの話に戻ってしまうんですが……AIって、ページの裏側にあるJSON-LDみたいな情報も、ちゃんと読み取れるものなんでしょうか。
鈴木さんそこを直接確かめた技術実験もあるんですよ。結果は、少し意外かもしれません。
searchVIUという調査団体が、AIシステムがJSON-LDを実際に読んでいるかを検証する実験を行いました。対象は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexity・Google AI Modeの5システムです。JSON-LD・Microdata・RDFaを、それぞれ認識できるかテストしています。
ページを直接取得する際、非表示のJSON-LDを認識したシステムは確認できませんでした。
いずれのシステムも、表示されている本文だけを読み取っていました(出典: searchVIU「Schema Markup and AI in 2025」)。ただし著者自身も、この結果はリアルタイム取得時の挙動に限られると注記しています。AIの学習データ収集時や、Googleのインデックス処理時の扱いとは、別問題だという留保です。
この章のまとめ
searchVIUの技術実験では、5つのAIシステムのいずれも、ページ取得時に非表示のJSON-LDを読み取っていませんでした。表示されている本文が優先して読まれている可能性があります。
10本文が優先されるなら、FAQ構造化データはAI検索対策として引用率にどう効くんですか?
この結果は、ここまで見てきたデータともつながります。AIがページを直接取得する際に、非表示のJSON-LDより表示されている本文を優先して読んでいるとすれば、構造化データの直接効果が観察されにくいのは自然な結果です。
この章のまとめ
本文が優先して読まれているとすれば、FAQ構造化データの直接効果が観察されにくいのは自然な結果です。マークアップを足すことより、本文に答えが書かれているかが先に効きます。
11じゃあFAQ構造化データの実務でのAI検索対策、今すぐ何をすればいいんですか?
高梨課長ここまでの話は分かりました。それで、うちが今つけているFAQ・HowToのマークアップは、消したほうがいいんでしょうか、それとも残したほうがいいんでしょうか。
鈴木さん慌てて消す必要はありません。ただ、期待するポイントを変えたほうがいいと思います。
ここまでの内容を、実務での3つの行動に落とし込みます。
実務では、この3つを意識します
既存のFAQ・HowToマークアップは、慌てて消さない
Googleも削除を推奨しておらず、残すこと自体にペナルティはありません
本文の見出し直後に、結論を1文で書く
AIは非表示のJSON-LDより、表示されている文章を優先して読んでいる可能性があります
Article・Organizationなど汎用スキーマだけに頼らない
Fischman分析の結果(41.6%)を踏まえ、AI引用の直接効果を主目的にしないでください
構造化データの実装自体は、検索エンジンのエンティティ理解を助ける土台として、引き続き価値を持つ可能性があります。ただし、リッチリザルト表示やAI引用率の直接的な押し上げ効果を期待するのは、現時点のデータとは異なります。言い換えると、いま優先すべきAI対策は、マークアップの有無より本文の書き方です。
この章のまとめ
既存のFAQ・HowToマークアップは残してかまいません。ただし、リッチリザルトやAI引用率への直接効果は期待せず、本文の書き方を優先してください。
12この引用率の検証には、AI検索対策の根拠として、どんな限界があるんですか?
高梨課長データはよく分かりました。ただ、これって、うちの業種にもそのまま当てはまると考えていいものでしょうか。
鈴木さん正直にお伝えすると、そこは注意が必要です。この検証にも、いくつかの限界があります。
ここまで紹介したデータには、次のような限界があります。
この章のまとめ
今回紹介したデータは、いずれも一定の範囲に限定された調査です。自社の業種・使っているAI検索エンジンに、そのまま当てはまるとは限りません。
13よくある質問
FAQ・HowToのマークアップは、今すぐ消したほうがいいですか?
消す必要はありません。Googleは削除を推奨しておらず、残すこと自体にペナルティはないためです。ただし、リッチリザルト表示やAI引用率への直接的な押し上げ効果は期待しないでください。
JSON-LDを追加すれば、AI検索に引用されやすくなりますか?
現時点のデータでは、そう言い切れません。Ahrefsの実証実験では、JSON-LD追加による引用率の意味のある増加は確認されず、Google AI Overviewsではむしろ統計的に有意なマイナスの変化が見られました。
Googleのリッチリザルトが廃止されたのに、schema.orgの型自体はなくなっていないんですか?
なくなっていません。GoogleがFAQ・HowToのリッチリザルト表示を縮小・廃止したのは、検索結果の見た目に関する判断です。schema.orgのFAQPage・HowToという型定義自体は、現在も存在し、広く使われています。
汎用スキーマ(Article・Organizationなど)は、実装しないほうがいいですか?
実装自体を否定する結果ではありません。ただしFischman氏の分析では、汎用スキーマの引用率(41.6%)はスキーマなしの水準(59.8%)を下回っており、AI引用の直接効果を主目的にしないことをおすすめします。
この記事の内容は、すべてのAI検索エンジンに当てはまりますか?
そこまでは言えません。Ahrefsの調査は3プラットフォーム、Fischman論文はChatGPTとGeminiの2プラットフォームが対象です。異なる調査対象・観測期間のデータであることを踏まえて読んでください。
14まとめ|今日確認する3つのこと
GoogleのFAQ・HowToリッチリザルト表示は、2023年から2026年にかけて段階的に縮小・廃止されました。一方で、AI検索エンジンがFAQ・HowTo構造化データを引用の手がかりにするかどうかは、別の仕組みで動いています。Ahrefsの実証実験・Fischman氏のSSRN分析・searchVIUの技術実験、いずれも「スキーマを追加すれば引用が増える」という単純な因果関係を支持していません。
もう一度、今日確認する3つ
何が廃止されたか
GoogleのFAQ・HowToリッチリザルト表示です。マークアップの型自体ではありません
何が実証されたか
JSON-LD追加による引用率の意味のある増加は、現時点で確認されていません
今のマークアップをどう扱うか
慌てて消さず、本文の見出し直後に結論文を書くことを優先します
AI検索では、こう聞かれています
FAQ・HowToの構造化データを設定すると、AI検索に引用されやすくなりますか?
「AI検索はこのマークアップを手がかりにして、引用率を上げてくれるんですか?」の章で、Ahrefsの実証データをもとに答えています
GoogleがFAQリッチリザルトを廃止したのは、AI検索に関係がありますか?
「GoogleのFAQ構造化データの表示は、AI検索対策の前提としてどう変わったんですか?」で、時系列を整理しています
JSON-LDを追加すれば、ChatGPTやAI Overviewsからの引用は増えますか?
「じゃあFAQ構造化データの実務でのAI検索対策、今すぐ何をすればいいんですか?」に、実務での3つの行動をまとめています
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