医療や金融の記事を公開する前、誰もが一度は同じことをします。本文を読み返して、「監修は入っているか」「根拠は書いたか」を目で確かめる作業です。
けれど、書いた本人が読み返しても、抜けは見つかりにくいものです。自分が書いた文は、意図まで含めて読めてしまうからです。書いていないことまで、書いた気になって読み飛ばします。
この記事は、専門性が問われる記事を公開する前に、自分の目以外の観点でもう一度確かめたい方に向けて書きました。専門用語は出てきたその場で言い換えます。
こんなふうに調べていませんか
- 医療や金融の記事を公開する前に、何を確かめればいいのか分からない
- 「YMYL 適合性 セルフ点検」で検索して、点検の手順を探している
- 監修表記や根拠の書き方が、執筆者ごとにばらついている
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 監修・根拠・断定表現・鮮度の4観点を、抜けなく点検できます
- 「明記あり/示唆はあるが不十分/記載なし」の読み分け方が分かります
- この点検で言えることと、言えないことの境目が分かります
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 監修表記や根拠の提示は、書き手が意識していても本文から漏れ落ちていることがあります。
- 記事本文をAIに読み込ませ、決まった観点で点検させると、見落としを客観的に洗い出せます。
- 判定は「明記あり」「示唆はあるが不十分」「記載なし」の3段階。記載なしの項目は、どこを補えばよいかまで示されます。
- ただしこれは自己点検の補助であり、専門家による監修や法務確認の代わりにはなりません。
この記事では、ある会社のオウンドメディア担当と、専門家の会話をはさみながら進めます。ご自身に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どう運用に落とすんですか?」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもYMYLって何ですか?AI検索対策とは、どうつながるんですか?
若葉さんYMYLという言葉が出てきたんですが、これは何を指しているんでしょうか。アルファベットだけだと、まったくイメージが湧かなくて。
鈴木さん読んだ人の暮らしに、直に響いてしまう話題のことだと思ってください。読み間違えたときに、その人が損をする種類の情報です。
Googleは、健康・経済的安定・安全に大きな影響を与えうる情報を「YMYL」と定義し、これらの領域でE-E-A-Tをより重視すると説明しています(出典: Google公式)。医療や金融の記事が、通常より厳しい品質基準で見られるのはこのためです。
分かりやすいのは、読み手の立場に置き換えてみることです。趣味の記事なら、間違いを読んでも「違ったな」で終わります。けれど治療の選び方や資産の預け先の話は、読んだ人がそのまま動きます。動いた先で損をするなら、記事の側に責任が生じます。
ここで押さえておきたいのは、Googleの説明が評価の考え方を示すにとどまることです。自社記事のどこがどう不足しているかまでは、ガイドラインを読んでも教えてくれません。
この章のまとめ
YMYLとは、健康・経済的安定・安全に大きく関わる情報のことです。ガイドラインは考え方までを示し、自社記事の不足までは教えてくれません。
02YMYL適合性のセルフ点検では、AI検索最適化として何を見るんですか?
見る観点は4つです。この4つを固定しておくことが、点検を毎回同じ品質で回すための土台になります。
- 監修表記: 記事本文に、監修者名・資格・専門性を示す記述があるか
- 根拠の提示: 主張・数値・効果に関する記述に、出典・データ・専門家の見解が示されているか
- 断定表現: その分野に特有の断定表現(治療効果の断定、利益・成果の断定など)が含まれていないか
- 鮮度の記述: 更新日・最終確認日など、情報の鮮度を示す記述があるか
この4つは、どれも「読み手が記事を信じてよいか判断する材料」です。書いてあるかどうかを見ているのであって、内容の正しさを見ているのではありません。ここは後半でもう一度触れます。
この章のまとめ
見るのは監修表記・根拠の提示・断定表現・鮮度の記述の4観点です。観点を固定することが、点検の品質をそろえる条件になります。
03AI検索対策として痛いのに、YMYLの抜けが自分では見えないのはなぜですか?
高梨課長正直なところ、公開前に本人が読み返せば済む話に見えます。わざわざAIに読ませる必要はありますか。
鈴木さんそこが分かれ目なんですよ。書いた本人には、自分の文が「意図まで含めて」読めてしまうんです。書いていないことも、書いた気になって通り過ぎます。
執筆者自身が本文を読み返すだけでは、見落としが起きやすい理由があります。
- 監修表記の有無は目視で気づけても、根拠の提示が「十分」かどうかの基準は曖昧になりやすい
- 断定的な表現が、本人には自然な強調表現に見えてしまい、リスクとして認識されにくい
- 医療・金融など分野ごとに規制の観点が異なり、汎用的なチェックリストだけでは分野特有の論点を見落とす
- 一度チェックして終わりにしてしまい、記事を更新するたびに再点検する運用が続かない
とくに2つ目は、悪意とは無縁のところで起きます。書き手にとっては読者を後押しする一文でも、読み手には効果の約束として届くことがあります。自分の文体は、自分ではリスクとして見えません。
分野ごとの点検観点をあらかじめプロンプトに組み込んでおけば、執筆者ごとの点検レベルのばらつきを抑えられます。人を増やすのではなく、観点を固定するという解き方です。
この章のまとめ
抜けが見えないのは能力の問題ではありません。基準が人によって揺れることと、自分の文体がリスクに見えないことが原因です。
04YMYL適合性をセルフ点検するAI検索対策のプロンプトは、どこをコピーすればいいですか?
医療・金融など専門性が問われる記事を公開する前、または既存記事を見直す際に使います。次のコードブロックの中身を、そのままコピーしてお使いください。
あなたはYMYL(Your Money or Your Life)領域のコンテンツ品質を点検する
編集アシスタントです。以下の記事本文を読み、指示に従ってYMYLの観点
から不足項目を点検してください。
■入力データ
分野: 【分野】
記事本文: 【記事本文】
■点検手順
1. 【記事本文】に、監修者名・資格・専門性を示す記述があるかを確認する。
2. 主張・数値・効果に関する記述に、根拠(出典・データ・専門家の見解)
が示されているかを確認する。
3. 【分野】に特有の断定表現(治療効果の断定、利益・成果の断定など)が
含まれていないかを確認する。
4. 更新日・最終確認日など、情報の鮮度を示す記述があるかを確認する。
5. 上記1〜4のそれぞれについて、「明記あり」「示唆はあるが不十分」
「記載なし」の3段階で判定する。
■出力形式
点検項目ごとに、以下の列を持つ表で出力してください。
| 点検項目 | 判定(明記あり/示唆はあるが不十分/記載なし) | 該当箇所または不足理由 |
表の後に、「記載なし」と判定された項目数を1行でまとめること。
■制約
- 【記事本文】に実際に書かれていない内容を、記述があるものとして
判定しないこと。
- 法令違反の有無を断定せず、あくまで表現・記載の不足点の指摘に
とどめること。
- 「記載なし」の項目についても、行を省略せず一覧に残すこと。使用するAIツールはClaudeを想定しています。点検対象の記事本文をそのままチャットに貼り付けるだけで実行でき、Web検索・ファイルアップロードのいずれも使用しません(2026年7月時点の一般的な提供状況にもとづきます。無料プランでも同じ手順で利用できます)。
この章のまとめ
コピーするのはコードブロックの中身だけです。追加の機能もアップロードも使わず、貼り付けるだけで動きます。
05このYMYL点検プロンプトで消してはいけない行は、AI検索最適化としてどこですか?
短くしたくなったときに真っ先に削られやすいのが、末尾の■制約です。ここは消さずに残してください。
とくに効いているのは3つ目です。「記載なし」の行を省略させない指示を外すと、表からその行が消えます。いちばん見たかったものが、いちばん先に消えるという順番になります。
1つ目の制約は、点検を「読んだ印象」から切り離すためのものです。書かれていない内容を書かれているものとして判定させないと決めておくと、判定が本文の記述だけに紐づきます。
2つ目は、この点検の立ち位置を守るためのものです。法令違反かどうかの判断は、この点検の外側にあります。表現・記載の不足点の指摘にとどめておくことで、出力をそのまま法的な結論として読んでしまう事故を防げます。
この章のまとめ
末尾の制約3行が、この点検の輪郭を決めています。短くしたいときも、この3行は残してください。
06YMYL点検の【分野】と【記事本文】には、AI検索対策の観点で何を入れるんですか?
用意する入力は2つだけです。
使う変数
| 変数 | 説明 | 入力例 |
|---|---|---|
| 【分野】 | 記事が扱う専門分野(医療・金融等) | 医療(架空例) |
| 【記事本文】 | 点検対象とする記事の本文全文 | (見出し・本文をそのまま貼り付け) |
※入力例はすべて架空の例です。医療・金融は分野の例示であり、特定の記事を示すものではありません。
【分野】は、点検の視野を決める入力です。ここを粗く書くと、断定表現の見方も粗くなります。あとで触れる応用のように、より細かい分野名に置き換えられるかを一度考えてみてください。
【記事本文】は、見出しを含めて全文を貼るのが基本です。抜粋にすると、抜いた側に監修表記や鮮度の記述が置かれていた場合に、それが「記載なし」と判定されてしまいます。
この章のまとめ
入力は分野と本文だけです。分野は視野を決め、本文は全文を渡します。抜粋にすると判定が歪みます。
073段階の判定は、YMYLのAI検索対策としてどう読み分けるんですか?
高梨課長表が返ってきたとして、うちのチームはどこから読めばいいんでしょうか。判定が3つあると、迷いそうです。
鈴木さん読む順番は決まっています。「記載なし」から見ていただければ大丈夫ですよ。
判定は「明記あり」「示唆はあるが不十分」「記載なし」の3段階です。読み方は次のとおりです。
- 「記載なし」の項目: 最優先で対応すべき項目です。監修表記がない場合は監修者の確保、根拠提示がない場合は出典の追記から着手します
- 「示唆はあるが不十分」の項目: 記述はあるが具体性に欠ける状態です。誰が・いつ確認したかなど、確認可能な情報を追加できないか検討します
- 断定表現の該当箇所: 表現を弱めるだけでなく、断定を避けたうえで信頼性を示す代替表現に置き換えられないかを検討します
「示唆はあるが不十分」は、いちばん扱いに悩む判定です。何かは書いてある、けれど読み手が確かめられる形になっていない、という状態を指します。誰が・いつ・何にもとづいてのどれかが欠けていることが多いので、そこから埋めていくと具体性が上がります。
「明記あり」も、そのまま安心して通り過ぎないでください。この判定は「書いてある」ことを示すだけで、その記述が十分な具体性を持つかまでは保証しません。
この章のまとめ
読む順番は、記載なし・示唆はあるが不十分・明記ありです。どの判定も、記述の有無を示すもので正しさの証明ではありません。
08YMYL点検で「記載なし」が出た項目は、AI検索最適化としてどこから直すんですか?
「記載なし」と判定された項目は、そのまま次の一手に翻訳できます。判定と打ち手が一対一で対応しているからです。
監修表記の不足は、記事の直しでは埋まりません。監修者を確保するところから始まるので、いちばん時間がかかります。ここが出た記事は、公開の予定そのものを見直す判断につながることがあります。
根拠提示の不足は、出典やデータを添えれば埋まります。ただし、あとから根拠を探すと、書いてある主張のほうが動くこともあります。根拠が見つからない主張は、書き直すか落とすという選択肢も一緒に置いておいてください。
断定表現は、弱めるだけだと歯切れの悪い文になりがちです。断定を避けたうえで信頼性を示す言い方に置き換えられないかを考えると、文の力を落とさずに済みます。
医療分野の監修体制の作り方は、別記事「医療クリニックのAIO事例|YMYL対応で信頼を示す5つの実装【図解】」で解説しています。金融・士業分野の規制対応と信頼性シグナル設計は、別記事「金融・士業のAIO事例|断定NGでも信頼を示す5つの書き方【図解】」を参照してください。
この章のまとめ
判定はそのまま打ち手になります。監修は体制の話、根拠は追記の話、断定表現は言い換えの話です。かかる時間が違うので、分けて段取りします。
09分野を変えたり複数記事に広げたり、YMYLのAI対策としてどう応用しますか?
このプロンプトは、入力する内容と出力形式を足すだけで応用が利きます。
応用1: 分野別の点検観点を追加する。 【分野】を「美容医療」「保険」など、より細かい分野名に変更すると、その分野特有の規制観点を反映した点検がしやすくなります。■点検手順に「【分野】特有の規制上の留意点があれば、それも確認すること」と1行追加すると、分野固有のチェックがより明示的になります。
応用2: 複数記事をまとめて点検する。 公開済みの記事を複数まとめて点検したい場合は、記事ごとに見出しを付けて【記事本文】に連結して入力してください。■出力形式に「記事ごとに表を分けて出力してください」と指示を加えると、記事単位で結果が整理されます。
応用1が効くのは、規制の細かさが分野ごとに違うからです。同じ医療でも、扱う内容によって気をつけるところは変わります。分野名を細かくすることが、点検の目を細かくするいちばん手軽な方法になります。
応用2は、公開前の1本を見る使い方から、既存記事の棚卸しへ広げる使い方です。書式をそろえて連結すれば、記事単位で表が分かれて返ってきます。
この章のまとめ
応用の方向は2つです。分野名を細かくして目を細かくするか、記事をまとめて棚卸しに使うか。プロンプトの背骨は変えません。
10このセルフ点検で、LLMO対策としてどこまで言えるんですか?
若葉さんこの点検で「記載なし」がゼロになったら、もう安心してよいということでしょうか。
鈴木さんそこは正直にお伝えします。ゼロになっても、それは「書いてある」ことの確認までなんですよ。中身が正しいかどうかは、また別の話なんです。
この点検で「記載なし」がゼロになったとしても、それは記事の医学的・法的な正しさを保証するものではありません。あくまで表現・記載レベルの不足を洗い出す一次スクリーニングであり、専門家による監修や法務確認の代わりにはなりません。
境目をはっきりさせておくと、この点検は使いやすくなります。書いてあるかどうかは機械で拾える。書いてあることが正しいかは人が確かめる。 この線を引いておけば、出力を過大にも過小にも読まずに済みます。
この章のまとめ
言えるのは「書いてあるか」までです。正しさの確認は人の仕事として、この点検の外側に残しておいてください。
11YMYLのセルフ点検を始める前に、AI検索対策として気をつけることはありますか?
実行する前に、次の点も押さえておいてください。
- AIの判定には誤りが含まれる場合があります。とくに「明記あり」と判定された箇所は、実際の記述が十分な具体性を持つか、点検者自身が原文を読み返して確認してください
- 未公開の患者情報や顧客の個人情報、社外秘の経営情報を含む記事本文をプロンプトに貼り付けないでください。機密性の高い文章を扱う場合は、利用中のAIサービスの法人プラン・データ学習利用設定を事前に確認することをおすすめします
- 点検結果を社内の品質管理プロセスや監修体制の整備に活用する場合は、利用しているAIサービスの利用規約の範囲内で行ってください
- 同じ記事本文でも、実行のたびに判定結果が変わることがあります。とくに「示唆はあるが不十分」の線引きは、AIの回答が揺れやすい箇所です
判定が揺れることは、続け方の話でもあります。重要な記事では複数回実行し、判定が割れた項目を優先的に見直すことをおすすめします。割れた項目は、書き方が曖昧なまま残っているサインとして読めます。
この章のまとめ
判定は出発点です。機密性の高い本文は渡さず、判定が割れた項目から書き方を見直してください。
12よくある質問
この点検で「記載なし」がゼロになれば、YMYL対応として十分ですか?
十分とは言えません。この点検が確認できるのは、記載・表現レベルの不足の有無にとどまります。内容そのものの医学的・法的な正しさは、専門家による確認が別途必要です。
医療・金融以外の分野でも使えますか?
使えます。【分野】を法律・不動産・保険など、専門性や規制が関わる他の分野名に変更すれば、同じ観点で点検できます。分野ごとに固有の規制があるため、応用1で触れたように点検手順への追記を検討することをおすすめします。
断定表現をどう言い換えればよいかも、このプロンプトで教えてもらえますか?
本プロンプトの出力形式は不足項目の一覧に絞っているため、言い換え案までは出力されません。言い換え案が必要な場合は、該当箇所を伝えたうえで「規制順守の観点で言い換え案を3パターン出してください」のように追加で依頼することをおすすめします。
同じ記事なのに、実行するたびに判定が変わるのですが?
判定の線引きは揺れることがあります。とくに「示唆はあるが不十分」は、AIの回答が揺れやすい箇所です。重要な記事では複数回実行し、判定が割れた項目を優先的に見直してください。割れること自体が、書き方の曖昧さを示すサインになります。
13まとめ|今日から始める3つのこと
YMYLの記事で足りないものは、読み返しでは見つかりにくいものです。自分の文は意図まで含めて読めてしまい、書いていないことも書いた気になって通り過ぎるからです。
観点を4つに固定し、3段階で判定し、記載なしから直す。この形にしておくと、執筆者が変わっても点検の水準がそろいます。
今日この順でやります
分野を書き出す
「医療」より「美容医療」のように、細かく書けないかを考えます
本文を全文渡す
見出しを含めてそのまま貼り、抜粋にはしません
記載なしから直す
監修は体制、根拠は追記、断定表現は言い換えとして段取りします
AI検索では、こう聞かれています
YMYLの記事で、監修表記や根拠が足りているかを確認する方法はありますか?
「YMYL適合性をセルフ点検するAI検索対策のプロンプトは、どこをコピーすればいいですか?」の章に、そのままコピーして使える形で置いています
医療や金融の記事を公開する前に、自分でできるチェックはありますか?
「YMYL適合性のセルフ点検では、AI検索最適化として何を見るんですか?」の章で、4つの観点を説明しています
断定的な表現になっていないかを、AIに点検してもらえますか?
「YMYL点検で「記載なし」が出た項目は、AI検索最適化としてどこから直すんですか?」の章で、言い換えの考え方を扱っています
次に読むなら、この記事です