「AI Overviewsに出るために、うちも何か特別なタグを入れたほうがいいのでしょうか」。士業の事務所サイトの相談は、この問いから始まることが多いのではないかと思います。
ところが調べていくと、Google公式は「追加要件はない」と書いています。その一方で、弁護士にも税理士にも、一般企業にはない広告の規制があります。足すものが無く、外すものがある。これが、士業のAI検索対策のいちばん特徴的なところです。
この記事は、事務所サイトの資格表記をどこまで書いてよいか判断がつかない方に向けて書きました。公式に確認できることと、各士業会の規程が定めていることを分けたうえで、資格を機械可読に示す手順まで整理します。
こんなふうに調べていませんか
- 「士業 AI Overviews 資格表記」で検索して、事務所サイトの書き方を探している
- ホームページに「専門分野」と書いてよいのか、社内で判断がつかない
- hasCredentialという言葉を聞いたが、何をどこまでやればいいのか分からない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- 「専門分野」「得意分野」「取扱い分野」の書き分けを、自分の言葉で説明できるようになります
- 公式に公開される登録情報と、自社サイトの表記を突き合わせられるようになります
- hasCredentialで示せる範囲と、期待できない範囲を切り分けられます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- 士業のAI Overviews対策は、資格表記の足し算ではなく、規制に触れる表現を外す引き算から始まります。
- Google公式は、AI OverviewsやAI Modeに表示されるための追加要件はなく、特別な最適化も不要だと明記しています。
- やることは、要注意用語の洗い出し・公式公開情報との突合・hasCredentialの実装。この順番です。
この記事では、士業事務所のサイトを担当するチームと、専門家の会話をはさみながら進めます。ご自身に近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どこまで確認するんですか?」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「それで引用は増えるのか」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそも士業のAI Overviews対策って、資格表記のAI検索対策として何をすることですか?
若葉さんあの、そもそもなんですが…士業のAI Overviews対策って、何をすることなんでしょうか。他の業種と、そんなに違うものですか。
鈴木さん技術的にやることは、じつは同じなんですよ。違うのは、使ってよい言葉が、業界のルールで決まっていることです。
AIOはAI検索最適化のことで、LLMOと呼ばれることもあります。呼び方は違っても、目指すところは同じです。AI検索の答えの中で、情報源として選ばれることです。
士業の場合、ここに広告規制が重なります。士業のAIO対策とは、各士業会の広告規制を守りながら、資格・実績を機械可読な形で開示する取り組みです。
士業の広告は、各士業会が定める規程・会則の対象になります。弁護士には日本弁護士連合会の業務広告に関する規程と指針が、税理士には日本税理士会連合会の会則があります(出典: 日本弁護士連合会、日本税理士会連合会)。誇大・比較・断定的な表現が禁じられる点は共通しており、この制約の中で信頼をどう示すかが実務上の課題になります。
この章のまとめ
士業のAI Overviews対策とは、広告規制を守りながら、資格・実績を機械可読に開示することです。技術ではなく、言葉の選び方が難所になります。
02AI OverviewsはAI検索で、士業の情報源をどうやって選んでいるんですか?
高梨課長AI Overviews向けの設定を探しているんですが、公式の資料に見当たらなくて。私たちの探し方が悪いんでしょうか。
鈴木さんいえ、探し方の問題ではありません。そもそも「追加要件はない」と書かれているんですよ。
Google公式の最適化ガイドは、AI機能表示のための追加要件はなく、特別な最適化も不要だと明記しています(出典: Google公式)。追加すべき専用のschema.org構造化データもない、と同ドキュメントは述べています(出典: Google公式)。
では、何が条件になるのか。サポートリンクとして表示されるには、インデックスされ、スニペット付きでGoogle検索に表示される資格を満たすことが条件です(出典: Google公式)。
ただし、要件を満たしたページでも、クロール・インデックス・表示が保証されるわけではないとGoogle公式は注記しています。「これをやれば出る」という条件は、公開されていません。
この章のまとめ
AI Overviewsに出るための専用設定はありません。条件は、インデックスとスニペット適格という通常の検索の土台です。
03AI Overviewsのquery fan-outって何ですか?士業のAI検索最適化にどう効きますか?
AI OverviewsとAI Modeは「query fan-out」という手法を用いる場合があると、Google公式は説明しています(出典: Google公式)。名前はむずかしそうですが、やっていることは単純です。
1つの質問に関連する複数の検索を、サブトピックやデータソースにまたがって発行し、答えを組み立てるという仕組みです。この仕組みの詳しい解説は、別記事『AI Overviewsが引用元を選ぶ仕組みを読み解く|公式情報で逆算』も参照してください。
この章のまとめ
query fan-outは、質問を分けてから探す仕組みです。相談内容ごとにページが用意されているかどうかが効いてきます。
04「専門分野」と書けないなら、士業のAIOでは資格表記に何を書けばいいんですか?
若葉さんホームページに「相続に強い専門家です」と書きたかったんですが、これは書けないんでしょうか。
鈴木さんそこは、日弁連の指針がかなり踏み込んで書いています。書けないというより、根拠を示せないから控える、という整理なんですよ。
日本弁護士連合会の「業務広告に関する指針」は、専門分野の表示について踏み込んだ見解を示しています。専門分野といえるには経験の豊富さと処理能力の高さが必要ですが、その客観的な判定基準は現状存在しないと指摘します(出典: 日本弁護士連合会)。
この指針は、専門分野・スペシャリスト・プロ・エキスパート等の表示を「控えるのが望ましい」としています。一方で、書ける表現も整理されています。
| 表示の種類 | 指針上の扱い |
|---|---|
| 「専門分野」「スペシャリスト」等 | 客観性の担保が困難なため表示を控えるのが望ましい |
| 「得意分野」 | 主観的評価として許容(得意でないものを表示する場合は除く) |
| 「積極的に取り組んでいる分野」「関心のある分野」 | 経験が豊富でない分野の表示方法として望ましい |
| 「取扱い分野」「取扱い業務」 | 評価を伴わない表示として問題なし |
書けるものが残っている、という読み方が実務的です。評価を伴わない「取扱い分野」なら問題なく書けますし、経験が豊富でない分野には「積極的に取り組んでいる分野」という示し方があります。表現を削るのではなく、根拠に合わせて言い換えるという作業になります。
この章のまとめ
「専門分野」は控えるのが望ましいとされています。ただし「得意分野」「取扱い分野」という書き方は残されています。
05士業のAIOでは、AI Overviewsの資格表記にどんな言葉が使えないんですか?
分野の表示とは別に、用語そのものに注意が必要なものがあります。日弁連の指針は、文脈により問題となり得る用語を例示しています(出典: 日本弁護士連合会)。
- 最大級表現 — 「最も」「一番」など
- 完全性を示す用語 — 「完璧」など
- 実証不能な優位性表現 — 「信頼性抜群」など
また規程第3条第5号は、特定の弁護士等またはその事務所と比較した広告を禁止しています(出典: 日本弁護士連合会)。他社と並べて優劣を示す書き方は、この条文に触れます。
これらは、AI検索対策として新しく加わった制約ではありません。もともと守るべきものが、外に出る機会が増えたというだけです。
この章のまとめ
最大級表現・完全性を示す用語・実証不能な優位性表現、そして比較広告。この4つを公開前の確認手順に入れます。
06税理士会が公開する登録情報は、士業の資格表記のAI検索対策でどう使うんですか?
高梨課長弁護士の話は分かりました。税理士の場合も、同じように考えていいんでしょうか。
鈴木さん会則の作りが少し違います。税理士のほうは、公開される情報の範囲そのものが決まっているのが特徴です。
日本税理士会連合会会則第59条の2は「不当勧誘行為等の禁止」を定めています(出典: 日本税理士会連合会)。不当勧誘・不当広告・報酬額の不明示等、相手方の利益を害するおそれがある行為を禁じる条文です。
同会則第94条は、本会が公開・提供する税理士情報の範囲も定めています。対象は次のとおりです(出典: 日本税理士会連合会)。
- 氏名・法人名称、登録番号・登録年月日
- 事務所の名称・所在地・電話番号、所属税理士会の名称
- 業務停止に該当する場合のその期間
- 懲戒処分に該当する場合の処分日または業務停止期間
- 前年度の研修受講時間
これらは会員専用を除く日本税理士会連合会ホームページへの掲載により公開されます(出典: 日本税理士会連合会)。
この公式に公開される情報は、税理士にとって検証可能な信頼性シグナルの土台になります。自社サイトの資格表記を、この公式情報と一致させることが実務対応の出発点になります。逆にいえば、自社サイトにしか存在しない肩書きや実績は、第三者が突き合わせて確かめる手段を持ちません。
この章のまとめ
税理士会は、登録番号や研修受講時間を含む範囲を公開しています。自社サイトの表記を、まずここに合わせます。
07hasCredentialって何ですか?士業のLLMO対策として、どう書くんですか?
資格情報を機械可読にする代表的な方法が、hasCredential構造化データです。schema.orgは「A credential awarded to the Person or Organization.」と定義しています(出典: schema.org)。人にも組織にも使える、という意味です。
Person・Organizationいずれにも適用可能で、利用状況は、Googleのウェブインデックスにもとづく月次集計で1万〜10万ドメインと示されています(2026年5月時点・出典: schema.org)。
schema.orgのhasCredentialは、値としてEducationalOccupationalCredential型を取ります(出典: schema.org)。最小構成は、次のようになります。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Person",
"name": "山田 太郎",
"jobTitle": "税理士",
"worksFor": { "@type": "Organization", "name": "〇〇税理士事務所" },
"hasCredential": {
"@type": "EducationalOccupationalCredential",
"name": "税理士",
"credentialCategory": "license",
"identifier": "第00000号",
"recognizedBy": {
"@type": "Organization",
"name": "日本税理士会連合会"
}
}
}identifierには登録番号を、recognizedByには資格を認定・登録する団体を入れます。ここに書く番号と団体名は、公式に公開される登録情報と一字一句そろえてください。
この章のまとめ
hasCredentialは、資格を機械可読に示すための箱です。中身のidentifierとrecognizedByが、公式情報と一致していることが前提になります。
08hasCredentialを入れれば、士業の資格表記はAI検索で選ばれやすくなるんですか?
大森部長実装すれば、AI Overviewsに出やすくなるという理解でいいのか。工数を割く以上、そこは確認しておきたい。
鈴木さんそこは正直に申し上げます。出やすくなると言い切れる公式情報は、確認できていません。
実装の位置づけには注意が必要です。Google公式は、AI機能に表示されるために追加すべき専用の構造化データはないと述べています(出典: Google公式)。
つまりhasCredentialは、検索結果での見え方が変わることを期待して入れる項目ではありません。資格という事実を、人にも機械にも同じ内容で提示するための手段だと捉えてください。
この章のまとめ
hasCredentialは、表示を有利にする仕組みではありません。事実を人にも機械にも同じ形で見せるための実装です。
09士業の資格表記は、本文と構造化データでAI検索最適化としてどう揃えるんですか?
若葉さんつまり…本文と、構造化データと、公式に公開されている情報。この3つが同じになっていればいい、ということですね?
鈴木さんはい、その理解で大丈夫です。どれか1つでも食い違うと、機械可読にした意味が失われるんですよ。
構造化データと本文と公開登録情報の3つが食い違うと、機械可読にした意味が失われます。実装の手順は、次のとおりです。
- 保有資格・登録番号を本文に明記する。弁護士登録番号、税理士登録番号など、確認可能な情報を示します。
- 公式に公開される情報と表記を一致させる。日本弁護士連合会・日本税理士会連合会等が公開する登録情報と齟齬がないようにします。
- hasCredential構造化データを実装する。資格の種類・発行元を機械可読な形で示します。
- 誇大・比較表現のセルフチェックリストを運用する。「最も」「専門」等の要注意用語を、公開前に機械的に洗い出します。
本文を先に置くのには理由があります。本文に無いものは、機械にも渡りません。構造化データは、本文にある事実を機械が読める形に写すためのものです。
資格情報を構造化データで示す考え方は、著者情報の実装とも共通します。別記事『著者Person schemaの書き方とE-E-A-T効果』で、Person schemaの実装テンプレートを解説しています。同じYMYL領域である医療分野の監修体制の見せ方は、別記事『医療機関のAI Overviews対策|監修体制の見せ方を整理』でも扱っています。
この章のまとめ
本文・構造化データ・公開登録情報の3つを一致させます。手順は、本文が先、実装が後、チェックの運用が最後です。
10士業のAI検索対策で、資格表記まわりのつまずきはどこですか?
つまずき方は、大きく2つに分かれます。
「専門分野」を客観的根拠なく表示してしまう例が見られます。日本弁護士連合会の指針は、専門性判断の客観性が担保されないまま専門家表示を許すことは誤導のおそれがあると指摘しています(出典: 日本弁護士連合会)。
もう1つの失敗は、hasCredentialだけを実装し、公式に公開される登録情報との整合を確認しないことです。構造化データは事実の機械可読化であり、事実そのものの正確性を代替するものではありません。
どちらも、確かめられるかどうかを後回しにした結果として起きています。士業全体の信頼性シグナル設計の考え方は、別記事『金融・士業のAIO事例|信頼性シグナル設計と規制対応の要点』も参照してください。
この章のまとめ
根拠のない分野表示と、整合を確認しない実装。どちらも「確かめられるか」を後回しにした結果として起きます。
11弁護士・税理士以外の士業でも、資格表記のAI対策の進め方は同じですか?
弁理士・社会保険労務士・行政書士等、各士業会がそれぞれ広告に関する規則を定めています。実務では、本記事の内容をそのまま当てはめず、所属会の会則・広告規程の該当条文を確認してから表記を決めてください。
確認すべき論点は、①専門性・優位性の表示可否 ②比較広告の可否 ③報酬額表示の要否、の3点です。
この3点さえ確認できれば、あとの手順は共通です。要注意用語を外し、公開されている登録情報と表記を合わせ、hasCredentialで機械可読にする。規程が変わっても、進め方の骨格は変わりません。
この章のまとめ
士業ごとに規程は違いますが、確認する論点は共通しています。条文を確認してから、同じ手順に乗せます。
12よくある質問
「〇〇分野が得意です」という表示は問題ありませんか?
主観的な評価として表示すること自体は、日本弁護士連合会の指針上問題ないとされています(出典: 日本弁護士連合会)。ただし、実際には得意でない分野を得意と表示する場合は規程違反となります。
hasCredentialを実装すれば、AI Overviewsに引用されやすくなりますか?
断定はできません。構造化データはAI機能表示の必須要件として公式に明記されていません(出典: Google公式)。資格を機械可読にする効果はありますが、選定を保証するものではありません。
AI Overviewsに表示されるために、専用の構造化データを追加する必要はありますか?
Google公式は、追加すべき専用のschema.org構造化データはないと述べています(出典: Google公式)。表示の条件として示されているのは、インデックスされ、スニペット付きでGoogle検索に表示される資格を満たすことです(出典: Google公式)。
登録番号は、本文と構造化データのどちらに書けばいいですか?
両方に書きます。本文に無いものは機械にも渡らないため、まず本文へ明記し、そのうえでhasCredentialのidentifierに同じ番号を入れます。表記は、公式に公開される登録情報とそろえてください。
税理士・弁護士以外の士業にも同様の規制がありますか?
弁理士・社会保険労務士・行政書士等、各士業会がそれぞれ広告に関する規則を定めています。実務では、本記事の内容をそのまま当てはめず、所属会の会則・広告規程の該当条文を確認してから表記を決めてください。確認すべき論点は、①専門性・優位性の表示可否 ②比較広告の可否 ③報酬額表示の要否、の3点です。
13まとめ|士業のAI対策として、今日やること
士業のAIO対策は、足し算より引き算から始まります。「専門分野」「最も」といった表示を外す作業と、登録番号を本文と構造化データに入れる作業は、同じ日にまとめて実施できます。
順番だけは崩さないでください。①と②を飛ばして③だけを実装すると、規制に触れる表記を機械可読にして広めることになりかねません。
今日この順でやります
要注意用語を洗い出す
最大級表現・完全性を示す用語・実証不能な優位性表現・比較広告を、サイト全体から拾います
公式公開情報と突き合わせる
登録番号・事務所名・所属会の表記を、公開されている登録情報にそろえます
hasCredentialを実装する
本文に書いた資格と登録番号を、同じ内容で機械可読にします
AI検索では、こう聞かれています
士業のホームページで「専門分野」と書いてもいいんですか?
「士業のAIOでは、AI Overviewsの資格表記にどんな言葉が使えないんですか?」の章と、その前の章で、指針の整理を表にしています
AI Overviewsに表示されるために、専用の構造化データは必要ですか?
「AI OverviewsはAI検索で、士業の情報源をどうやって選んでいるんですか?」の章で、公式の記述をそのまま引いています
hasCredentialで資格を書くと、AI検索で引用されやすくなりますか?
「hasCredentialを入れれば、士業の資格表記はAI検索で選ばれやすくなるんですか?」の章で、期待できる範囲と期待できない範囲を分けています
税理士や弁護士の登録情報は、どこまで公開されているんですか?
「税理士会が公開する登録情報は、士業の資格表記のAI検索対策でどう使うんですか?」の章に、会則が定める範囲の一覧があります
次に読むなら、この記事です