Google検索で自社の商品名を調べたら、AIの回答の中に価格や店舗情報のついたショッピングカードが出ていた。しかも、そこに自社の商品は載っていなかった。
EC担当者の方から、こうした話を聞く機会が増えました。検索順位とは別のところで、載る商品と載らない商品が分かれ始めているように見えるからです。
この記事は、AI Overviewsのショッピング表示に自社の商品を出したいけれど、何から手をつけるか分からない方を想定して書きました。Google公式が言っていることと、言っていないことを分けながら、図解と会話で整理していきます。
こんなふうに調べていませんか
- 「EC AI Overviews ショッピング」で検索して、対応方法を探している
- ChatGPTに「AI Overviewsに商品を出す方法」と聞いたが、記事向けの答えしか返ってこなかった
- 上司から「うちの商品もAIの回答に出るようにして」と言われ、指示の中身が分からない
この記事を読み終えたときに手に入るもの
- ショッピング表示につながる土台が、Merchant CenterとBusiness Profilesの2つに絞れます
- 「特別な追加要件はない」というGoogle公式の説明を、社内で説明できるようになります
- 日本のEC事業者が今日から着手できることと、待つしかないことを切り分けられます
結論30秒でわかる、この記事の結論
- ECのAI Overviews対策とは、商品データを整えて、AIの回答の中に載る可能性を作る取り組みです。
- 土台は2つ。Merchant Centerの商品フィードとGoogle Business Profilesです。どちらもGoogle公式ガイドが活用を勧めています。
- 表示そのものに特別な追加要件はありません。基盤になるのは、これまでのSEOのベストプラクティスです。
この記事では、あるEC事業者のマーケティング部の3人と、専門家の会話をはさみながら進めます。あなたに近い立場の人の質問から読んでいただいて構いません。
- 若葉さん(Web担当2年目)— 「そもそも、それって何ですか?」を聞く役
- 高梨課長(マーケ課長)— 「誰が、どれくらいの手間でやるんですか?」を聞く役
- 大森部長(マーケ部長)— 「それで売上にどう効くんだ」を聞く役
- 鈴木さん(AIO/SEOの専門家・本誌監修)— 答える役
01そもそもECのAI Overviews対策って、ショッピング表示のためのAI検索対策なんですか?
若葉さんあの…そもそもなんですが、ECのAI Overviews対策って、何をすることなんでしょうか。広告の話なのか、サイトの話なのかも分からなくて。
鈴木さんいい入り方だと思います。ひとことで言うと、広告枠を買う話ではなく、商品のデータを整えておく話なんですよ。
これまでのGoogleショッピング対策は、ショッピング広告への出稿と、Merchant Centerの商品フィード整備が中心でした。露出を増やしたければ、まず出稿額を検討する。多くのEC事業者にとって、これが標準的な進め方だったはずです。
ところがAI Overviewsが登場したことで、広告に出稿していなくても、商品情報が回答の中に表示される場面が生まれています。ここが、これまでとの分かれ目です。
つまりECのAI Overviews対策とは、枠を買って露出を作る取り組みではありません。自社の商品データを、AIが読み取って使える形で置いておく取り組みです。
この章のまとめ
ECのAI Overviews対策は、広告の話ではなく商品データの話です。出稿なしでも回答内に出る場面が生まれた、というのが出発点になります。
02AI Overviewsのショッピング表示は、AIOの流れでいうとどこで決まるんですか?
順番を見ておくと、どこに手を入れればいいのかがはっきりします。
ユーザーが検索窓に質問を入れると、AI Overviewsが回答を組み立てます。その過程で、Merchant Centerの商品フィードとBusiness Profileの情報が参照され、価格や店舗情報のついたショッピングカードとして表示されます。表示されたカードから、そのまま買い物かごへ進む導線もあります。
ここで大事なのは、参照されるのが記事本文ではなく、商品データそのものだという点です。ブログ記事の書き方を工夫しても、フィードの中身が古いままなら、この経路には乗りません。
記事側から引用元が選ばれる一般的な仕組みは、別記事で扱っています。商品データの経路は、それとは別に用意されていると考えてください。
この章のまとめ
ショッピング表示が決まるのは、回答を組み立てる途中で商品データが参照される場面です。手を入れる先は、記事ではなくフィードとプロフィールになります。
03ECのAI Overviewsショッピング表示に、AI対策として特別な追加要件はあるんですか?
高梨課長鈴木さん、これは専用のタグを入れる開発作業が発生しますか。だとすると、開発の工数を確保しないといけないので、早めに知りたいです。
鈴木さんそこは安心してください。Google公式ガイドは、AI Overviewsに出るための特別な追加要件はないと説明しています。基盤になるのは、これまでのSEOのベストプラクティスです。
高梨課長専用の仕込みが要らない、ということですね。
鈴木さんはい。構造化データについても「不必須」と明記されています。特別なschema.orgのマークアップが必須というわけではありません。
ここは誤解が起きやすいところなので、公式ガイドの位置づけを表にしておきます。
| 要素 | Google公式ガイドの位置づけ |
|---|---|
| Merchant Center・Google Business Profiles | 活用を推奨(可視性向上の土台) |
| 構造化データ(schema.org markup) | 不必須と明記(必須要件ではない) |
この章のまとめ
表示のための専用要件はありません。開発の大きな仕込みを待たずに、既存の土台の整備から始められます。
04Merchant Centerの商品フィード整備は、ショッピング表示のAI検索最適化としてどこまで効くんですか?
Google公式のAI最適化ガイドは、Merchant CenterとGoogle Business Profilesの活用を勧めています。両者を整えることで、AIの回答と通常の検索結果の両方で、商品やサービスの可視性が高まるとされています。
しかもMerchant Centerの商品フィードとBusiness Profileの情報は、AI Overviewsのショッピング表示に直接使われます。ここは推測ではなく、Google公式が示している内容です。
だからこそ、フィードの中身が問われます。価格や在庫が古いままだと、そのまま古い情報が使われる形になります。
フィードで見るのはこの順です
商品フィードを登録する
AI Overviewsのショッピング表示に直接使われるデータです
価格と在庫を最新の状態に保つ
古い値が残っていれば、その値が使われることになります
色・素材・サイズなどの属性を書く
記載漏れがあると、条件を絞った質問で候補に入りにくくなります
この章のまとめ
フィードは「登録して終わり」ではありません。価格・在庫・属性の3点を最新に保つことが、そのまま可視性の土台になります。
05Google Business Profilesも、AI検索のショッピング表示に関係があるんですか?
関係があります。ショッピングカードには価格だけでなく、店舗の情報が添えられる場面があるためです。Google公式ガイドがMerchant Centerと並べてBusiness Profilesの活用を勧めているのは、この2つが対になっているからだと考えられます。
言葉だけだと分かりにくいので、実店舗にたとえてみます。
値札が剥がれていても、店の看板が出ていなくても、商品そのものは棚にあります。ただ、案内する側から見ると扱いにくい。AI検索でのLLMO(AI検索最適化の別の呼び方です)も、発想はここと同じです。
この章のまとめ
Merchant Centerが値札なら、Business Profilesは看板です。片方だけを整えても、案内する側から見ると情報が欠けたままになります。
06AIパフォーマンスインサイトは、AI OverviewsでのLLMO成果をどこまで見せてくれるんですか?
大森部長やることは分かった。それで、やった結果はどうやって報告するんだ。数字が出ないものに人を割く判断はしにくい。
鈴木さんMerchant Centerに、AIパフォーマンスインサイトという機能があります。自社ブランドがAI Overviews・AI Mode・Geminiアプリでどれだけ発見されているかを確認できるものです。
大森部長それは、順位のような数字で出るのか。
鈴木さんシェア・オブ・ボイスという指標が使われます。加えて、色・素材・スタイルといった商品属性の記載漏れも指摘してくれます。
この機能で見られるものを整理すると、次の3つになります。
シェア・オブ・ボイスは、AIの回答の中で自社ブランドがどれだけ発見されているかを示す指標です。ショッピングファネル分析は、その先の動きを見るためのものです。商品属性ギャップは、色・素材・スタイルといった属性の記載漏れを教えてくれます。
この章のまとめ
成果の見え方は、シェア・オブ・ボイスという形で用意され始めています。ただし改善の手当ては、あくまでフィードの側にあります。
07日本のECではショッピングの新指標が使えないのに、AI対策として今やる意味はあるんですか?
ここは正直に書いておきます。AIパフォーマンスインサイトの先行導入は、米国・カナダ・オーストラリア・インド・ニュージーランドの5か国と発表されています(2026年5月時点の公式発表)。今後数か月かけて展開される予定とされており、日本のEC事業者は現時点で対象外です。
つまり、日本にいる私たちは、この新しい指標をまだ直接は使えません。
高梨課長使えないなら、日本で今動く理由はありますか。指標が来てから着手しても間に合う気がするのですが。
鈴木さん指標は「見るための道具」で、整えるのは商品データのほうなんですよ。土台となる商品フィードの整備とBusiness Profilesの登録は、国や地域を問わず今すぐ着手できます。
高梨課長道具が来たときに、見るべきデータが空だと困る、ということですね。
この章のまとめ
使えないのは指標だけです。指標が来るまでの間にできるのは、見られる側のデータを整えておくことです。
08Universal CartとUCPは、ECのショッピング体験とAI検索対策をどう変えるんですか?
もう一段先の動きも出ています。
UCP(Universal Commerce Protocol)は、2026年1月にGoogleが発表した共通規格です。そしてGoogle I/O 2026で発表されたUniversal Cartは、複数の小売業者を横断する買い物かごの機能です。このUniversal Cartは、UCPへの準拠を前提としています。
若葉さんこれは、今すぐ何か対応しないといけないものなんでしょうか…。
鈴木さんいまの段階でおすすめしているのは、動向を注視することです。規格の中身が固まる前に大きく作り込むと、あとで手戻りになりかねません。
買い物かごを横断する仕組みが広がれば、EC事業者にとっての導線は変わっていきます。ただし、そのときに求められるのも、結局は正確な商品データです。今やっている整備は、そのまま次の段階の準備にもなります。
この章のまとめ
UCPとUniversal Cartは、注視しておく段階の話です。備えの中身は、今日整えている商品データと同じものになります。
09AI Overviews経由でECのショッピング成果が出た事例は、AI検索対策としてもうあるんですか?
ここは正直に書いておきます。AI Overviews経由の引用や表示によって商品ページの成果を公表した国内ECサイトの事例は、見当たりません。数値を伴う定量的な成果報告も、本稿の執筆時点では一次情報から確認できていません。
この章のまとめ
公表された国内事例は、まだ見当たりません。だからこそ、確認できている土台の整備から進めるのが現実的です。
10うちのEC運用のどこに、AI Overviewsのショッピング対策を足せばAIOとして回りますか?
最後に、日々のEC運用のどこへ差し込むかを整理します。新しい担当を立てる必要はありません。フィードの更新作業に、確認項目を足すイメージです。
WEBMARKSとしては、AI Overviewsのショッピング機能を特別な対策として構えるより、Merchant Centerの基本運用を丁寧に行う延長線上で考えることをおすすめします。公式ガイドが明言しているとおり、特別な追加要件そのものが存在しないためです。
この章のまとめ
差し込む先は、フィードの更新作業です。新しい体制ではなく、既存の運用に確認項目を足す形で回せます。
11よくある質問
AI OverviewsのショッピングカードとGoogleショッピング広告は何が違いますか?
ショッピング広告は、出稿費用を伴う広告枠です。一方、AI Overviewsのショッピング表示は、回答の中での情報提示にあたります。土台となるMerchant Centerの商品フィードは共通ですが、表示の性質は異なります。出稿していれば自動的に回答内に載る、という関係ではありません。
Merchant CenterのAIパフォーマンスインサイトは日本でも使えますか?
2026年時点では、米国・カナダ・オーストラリア・インド・ニュージーランドが先行導入の対象と発表されています。日本への提供時期は、現時点で明らかになっていません。指標が使えるようになるまでの間も、商品フィードとBusiness Profilesの整備は進められます。
Universal Cartに対応するには何が必要ですか?
Universal Commerce Protocol(UCP)への準拠が前提になります。UCPは2026年1月にGoogleが発表した共通規格です。現段階では、規格の動向を注視しながら、商品データを正確に保つことが実務的な備えになります。
構造化データは、入れなくてもいいということですか?
Google公式ガイドは、AI機能の表示にあたって構造化データを「不必須」と明記しています。必須要件ではない、という意味です。ただし本記事のチェックリストでは、schema.org Productなど基礎的な構造化データの実装を挙げています。商品データを機械が読める形にしておくこと自体は、EC運用の基本にあたるためです。
AI Overviews経由で成果が出たECの事例はありますか?
AI Overviews経由の引用・表示で商品ページの成果を公表した国内ECサイトの事例は、見当たりません。数値を伴う定量的な成果報告も、一次情報からは確認できていません。事例が出ていないことと、着手しなくてよいことは別の話です。
12まとめ|今日やる3つのこと
ECのAI Overviews対策は、特別な追加要件を探す作業ではありません。Merchant Centerの商品フィードとGoogle Business Profilesという基本要素を、丁寧に整えることが土台になります。
新しい指標が使える国はまだ限られていますが、商品データの整備そのものは、先送りする理由になりません。Universal CartとUCPの動向もあわせて見ておくと、次の段階で慌てずに済みます。
今日この順でやります
Merchant Centerを開く
商品フィードの価格と在庫が最新になっているかを確認します
Google Business Profilesを見る
店舗情報が最新かどうかを確認します
属性の記載漏れを埋める
色・素材・サイズなど、条件で絞られる項目から埋めていきます
AI検索では、こう聞かれています
ECの商品をAI Overviewsのショッピング表示に出すには、何をすればいいですか?
「Merchant Centerの商品フィード整備は、ショッピング表示のAI検索最適化としてどこまで効くんですか?」の章に手順があります
Merchant CenterのAIパフォーマンスインサイトは日本でも使えますか?
「日本のECではショッピングの新指標が使えないのに、AI対策として今やる意味はあるんですか?」の章で、提供範囲を整理しています
AI Overviewsのショッピング表示と、ショッピング広告は何が違うんですか?
「よくある質問」の1つ目で答えています
Universal CartやUCPに、EC事業者は今から備えるべきですか?
「Universal CartとUCPは、ECのショッピング体験とAI検索対策をどう変えるんですか?」の章で説明しています
次に読むなら、この記事です